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モノゴイと呼ばれた男  作者: クラノ恩樹
第1章 開拓村編
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6.僕の名前は…

「さあさあ、こっちよ~!

 ズリ、バイ!ズリ、バイ!

 きゃー、なんて可愛いのかしら!」


ハイハイの一歩手前のズリ這いを一心不乱にしている赤ん坊。


前世の地球で宇堂正太郎という名前のごく普通のサラリーマンだった男の生まれ変わりだ。


朝の通勤途中で不慮の事故で死んでしまい転生することになったのだが、

なんと前世の記憶を失わずにいたのだ。


運よく記憶が残っていたロイが美人閻魔様(仮)の笑顔を思い出しながら、

母親のお腹の中でいつ誕生できるのかと考えていると、

死後の世界で親切だった黄色い服を着たおじさんが会いに来てくれた。


「お前に与えるスキルの説明を忘れていた。

 すまなかった、とあの方が仰っていた。」


と言ってぺこりと頭を下げた。


「それは、わざわざありがとうございます。」


俺も、そう言ってぺこりと頭を下げた。


僕に与えられることになったスキルはたった一つだけ。

これがなんとも誤解されそうなネーミングのスキルなのだが、

説明を聞くとなかなか面白そうだった。


本来、わざわざスキルの説明などはしないそうだが、

分かりにくいスキルのため特別配慮してくれたらしい。


やはり記憶の引継ぎができずにせっかく伝えても忘れられてしまう事が多いようだが、

難解なスキルに関しては説明することが義務であるらしい。


いずれにしても、

無難に生きてきた前世の自分と笑顔の素敵な美人閻魔様(仮)に感謝である。


うん、感謝は忘れてはいけないな。


他人にはもちろんだが、自分にも大きく感謝すべきである。

自分への感謝は自信に変わり、それがさらなる成長の糧となる。


死んだじいちゃんの受け売りだ。

美人閻魔様(仮)には自分を大切にしていないと怒られたけども。


ところで、この身体はスキル適正がほとんどアリで、

身体能力も普通の人より高めに設定してくれたらしい。


このスキルは脳に負担がかかるから、

少しばかり頑丈な肉体にしなきゃならないという。


授かったスキルにちょっとだけ不安になるが、

あの美人閻魔様(仮)に限って横暴なことは無いだろうと考えなおした。


ほかのスキルを追加することができなかったことをお詫びされたが、

身体が丈夫なのは良いことです!と気にしてないアピールをしておいた。


それに気を良くしたのか黄色いおじさんは「ハハッ」と笑い、

これはおまけだぞ、と前置きをしてから一つアドバイスをくれた。


「持って生まれたスキルを知らずに一生を過ごすこともある中、

 記憶を持ったままというのはかなりのアドバンテージだ。

 新しい人生を大事にするのだぞ?

 それと、誕生後の振舞には気を付けたほうがいい。

 親に気味悪がられて捨てられた者もいるからな。」


このアドバイスは実にありがたい!

そして実に深刻な問題だ。

チートしてやるぜ!と、楽観的になっていたのは改めなければ…。


そう思い子供の喋り方を練習しながら誕生の時を待っていると、

抗えようの無い力に襲われ、外の世界に押し出された。


完璧な安産で母子ともに健康だった。


その後無難な数か月を過ごした俺は、

強く健康に産んでくれた母親の元へ向かって必死にズリ這いしている。


「そうよ!頑張るのよ!

 ローイ!ローイ!」


僕はロイという立派な名前をもらったんだ。

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