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モノゴイと呼ばれた男  作者: クラノ恩樹
第1章 開拓村編
3/183

3.辱めを受ける

とうとう俺の番が来た。


なんとなく中華的雰囲気のする建物に入ると、

大きな机の前に一人の女性が座っていた。


長い綺麗な黒髪で紫色のチャイナドレスのような服を着た、

少し切れ長の目をしたとてもきれいな女性だった。


彼女から物凄い重圧を感じるが嫌な感じはしない。

昔、ジェットコースターに乗った時に感じた()に少し似ているかもしれない。


「よ、よろしくお願いします!」


背筋を伸ばして腰から45度にピシッとお辞儀をする。


「挨拶などいらん。」


「…。」


渾身の挨拶を突っぱねられて少し寂しい。


「えーと、お前は…と。

 生前は宇堂正太郎という名前だったのだな?

 む?お主、我を前にして跪かぬか!

 見上げた者よ!」


さっきの黄色いおじさんといい、

この人といい、跪かせるのが趣味なのか?


「えーと、なになに?

 4歳。泣いてる子には必ず駆け寄って声をかけてあげた。

 やるな!この年でここまでやるとは偉いじゃないか!」


ん?


「5歳。忙しい独り身の母に変わって2歳の弟の面倒を見ていた。

 離乳食まで作っていただと!?すごいなお前は!」


んんん?


「6歳。駄菓子屋で万引きしていた友達を叱って、

 一緒に謝りに行ってやっただと!?素晴らしい!」


お裁きってそんな感じなの?


褒められるのは嫌ではないが、

この年でヨシヨシされてるようでむず痒くなってくる。


「ほかには、心を込めたいただきますとごちそうさま。

 横断歩道で爺さん婆さんの荷物持ち。

 満員電車で席を譲る、か。

 なんと、毎朝近所のゴミ拾いをしていたというか!

 素晴らしい心の在りようであるな!

 褒めてつかわす!」


もうやめて!

恥ずかしいったらありゃしない!


「あ、あのう…。」


「む、なんだ?」


「ほめて頂けるのは嬉しいのですが、

 なんだか恥ずかしいです…はい。」


自分がキョドりながらもそう言うと、

目の前の美女の眉間に皺が寄った。


え?あれ?

もしかして怒られるの、俺??


「…書いてある通り、お前の悪いところだ。

 謙虚なのはまだしも、お前のは卑屈に近い。

 そのようなことでは他人は助けられても、

 その分自分を痛めつけることになる。 

 他人も大事。自分はもっと大切にするのだ。

 せっかく授かった生を侮辱するでない。」


怒られた…。





 

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