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モノゴイと呼ばれた男  作者: クラノ恩樹
第1章 開拓村編
16/183

16.エマさん激怒

「ん?あれは…」


向こうに何か落ちているのを発見した。


(これは、ガナイの指部分がない皮のグローブだな。農作業の時にいつも使っているやつだ)


ガナイは皆とワイワイ弁当を食べているので、

拾って持って行ってあげよう。


「父さん、これ、父さんのグロー……ッ!?」


ガナイのグローブを拾い上げようとしたその時、

突如、意識が真っ白い空間に引き込まれていく。


これが何かとは言うまでもない。

スキル【修練宝塔】が発動したのだ―。



「きたか、ロイ」


「お久しぶりですね、エマさん」


相変わらずお美しい。


今日はオレンジ色を基調としたチャイナドレスだ。

髪をアップさせていて、うなじの色気が半端ないな!


「今日もきれいです」


「世辞はいい。まず座れ」


「はい」


そんな挨拶を交わしながら、スタスタとこたつに向かう。

こたつに座るとエマさんがミルクティーとビスケットを出してくれた。


座って一息ついて、自分の姿を確認してがっかりする。


「やっぱり…こうなんですね」


「なにがだ?」


「赤ん坊の姿…。」


「このスキルに入るときには最初の発動時の姿に固定されると言ったであろう」


なんでそんな仕様なんだよ!

どうにかできないのか、修練宝塔!?


「ふ~…。仕方ない、そのような心持では修行に集中できそうにないからな。

 なぜこのような仕様になっているか教えてやる。」


「えっ?何か理由があるのですか?

 ただの嫌がらせだと思ってましたが。」


俺がそう言うと、エマさんは額に手を当てて物凄くがっかりしていた。


いや、違うな。

なにかこう、エマさんの背中がメラメラと…。


「なんと罰当たりなことを…。

 よいか?人というものは得てして、強くなるにつれ傲慢になる生き物だ。

 世界の頂点に立ったように錯覚する者もいれば、

 教えを乞う事ができる師への恩を忘れてしまう者もいる。

 そのような慢心をさせぬために、初心を都度思い出せる仕様となっているのだ!

 毎度、常に自分を戒めてくれるこの有難いスキルに感謝もできぬやつだったのか、貴様!?」


お、怒られた!

それもすごい剣幕で!


「す、すみません!そのような深い意味があるとは…ッ!

 自分の考えが至らないことを反省するばかりです!

 真剣に!誠実に!これからは真摯に修行に当たらせていただきます!

 ですから、何卒!何卒ー!!」


現実世界なら景色が歪むほどのプレッシャーに必死に土下座で謝罪する。

おしめ一丁の赤ん坊の前に仁王立ちするエマさん怖すぎるんだけど!


「…二度とそのような事は口にするでないぞ。よいなッ!?」


「は、ハハァーッ!」


な、なんとか怒りを鎮めてもらえたようだ。

死後の世界でもここまで怒られなかったのに…かなりヘコむ。


「わかったらガナイが待っておる!

 さっさと行けいッ!!」


「承知しましたーっ!」


…俺、泣きそうだ。



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