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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

霊感ゼロの怖い体験談

作者: 蓮見忍

 人生のうち、幽霊を見たのは2度しかないので、私の霊感機能はほぼゼロに近いと思っていただければ間違いないです。

 そんな私の創作ではない実際にあった怖い話?を披露致しましょう。

 実際にあった事件に絡んだ話なので、検索すると出て来るかもしれません。

 そして、時が経っているのと、私自身の脳の病による記憶の不鮮明さによる事実との齟齬があるかもしれませんのでその辺は予めご了承くださいませ。






 数年前、私と家族は近所の公園で毎年開催されるイベントに行きました。

 各ブースで様々な体験できる参加型で、緑茶のおいしい淹れ方のレクチャーや子どもに幕末なコスプレをさせたりといろいろあり、家族で楽しめるイベントです。

 子どもに薄幸な某幕末美少年剣士っぽい格好をさせたところ、歴女かナニカわからない通りすがりのお嬢さんに「○○○○っていいですよね〜♡」といきなり話掛けられ、コミュ障の私は度肝を抜かれましたが。

 中央には舞台が設置され集団でダンスを披露したり和気藹々の雰囲気を醸し出しているところ、時代物のイベントのパレードの到着が遅れるとのアナウンスが流れ、その後いきなりドーンと大きな音が鳴り響きました。

 毎年のように参加していましたが、こんな事が起こったのは初めてでした。


(パレード一団が到着してなかったけれど、大砲を空砲で撃ったのかなぁ。今年は一味違う〜)


 当時の私はのんきにそう思ったのですが、そのうちイベント会場は騒然となりました。

 それもそのはず、北の方角にもうもうと黒煙が立ち昇ったからです。

 先程までの楽しい雰囲気から一転、動きが止まった人々の視線が一斉に同じ方角に向けられ、緊迫した空気が流れました。

 消防車のサイレンが近づいてきて大きな音を最後に止まり、その音に紛れてボンッとまた爆発音のようなものが響きます。

 私と家族は野次馬根性丸出し状態で、現場へと向かう人々の群れに流されて行き着いた先には、有料駐車場で真っ赤に燃える車と隣家の白い壁を黒く染める煙。

 体に悪そうな臭いが辺りに立ち込め、火の勢いは牛一頭を放り込んでもすぐにウエルダンにしそうな高火力ぶり。

 呆然としている見物人達を縫うように消防隊員が地域一帯を封鎖して、消火活動を始ます。

 そこはパレード一団が時間通りに進行していたら通過していた場所でした。

 もし遅れる事がなかったら行列に何らかの被害が出た事は確実です。

 

 イベント会場に戻るとイベントスタッフが走り回り、救急車が到着していました。

 見に行った北側ではなく東側道路に一台止まっており、私達が自転車を置いた桜並木周辺は封鎖され、警察官達が何らかの作業をしていましたが、その時はまだイベント続行中でした。


「怪我人が出たみたいだよ」


 他人から発せられるそんな言葉が耳に届きました。


(燃え上がったのは北側駐車場。救急車が来たのは東側道路。なぜ燃えた場所より離れた所で怪我人が出たのだろうか?)


 野次馬な人々の話をよくよくきくとその謎はすぐに解ける。

 実は桜並木にあるベンチで爆発があり、そこに座っていた人が負傷したとの事でした。

 搬送先が見つかった救急車はサイレンを鳴らして現場を離れ、そうこうしているうちに遅れていたパレード一団が本来の経路を迂回して西側入口に到着し、到着のアナウンスと一緒にイベントを中止すると告げられました。

 イベントが中止になったので家族と帰ることになりましたが、自転車は黄色い規制線の中に駐輪しており、規制線前にいた警察官に話し掛け、帰るので自転車を出したいと主張しましたが、現場検証が終わらないと動かせないがどの自転車の持ち主か教えて欲しいと言われ、規制線の中へ入りました。

 私の停めていた自転車のそばには何故か血のついた衣服が上下置いてあり、家族の置いた自転車はそこから離れた場所に駐輪されていて、自転車に近づかずに指で指し示してとの警察官の指示に従い、連絡先等を告げて自転車を置いたまま一旦家に帰る事になりました。





 警察の指定した時刻に自転車を取りに向かうと、公園より手前の道路に規制線が貼られており、規制される地域が当初より拡大しています。

 規制線前の警察官に自転車を取りに来た旨を伝えると、規制線を上げてくれたのですんなり中へ入る事が出来ました。

 救急車があった辺りに青いビニールシートが掛けられ、番号が書いてある小さな表示板?が何個も置いてある様は、ニュースでよく見る事件現場な様相を呈しており、野次馬な人々がベンチが道路まで吹っ飛んだと言っていたのはのは本当だったのかなぁ、と思いつつ自転車の近くにいた警察官に名前を言って自転車を指差し、自転車を持ってきてもらい、帰りの経路は北側の道路を使って欲しいと説明を受けたため、回り道をして帰る事になりました。

 帰る道には各テレビ局の中継車が停まっており、レポーターがいたり、野外照明が発光していたりと非日常的です。

 そんな光景を目のあたりにしながら、自転車を押してゆっくり家路につきました。




 

 自転車を停めて家族が家に入り、私も家に入るために自転車を停めると、自転車の前輪泥除け部分に黒い汚れがいくつか付着している事に気づいた。

 白い車体の自転車なので汚れは目立つし、イベント参加前にはなかったものだ。

 座って汚れをよくよく確認して見ると豆粒大の黒い物体にはピンクの部分が混ざっている。

 私の自転車は爆発したベンチの近くに停めてあったはず。

 ベンチから遠くに停めてあった家族の自転車を見ても、その物体は付着していない。


(まさか肉片!?)


 少しの脳内の混乱の後、家の中からテッシュペーパーを持ってきて拭き、何も見なかった事にした。

 



 この事件はニュースに取り上げられ、東側のベンチ爆発は犯人自身の自爆自殺であり、北側の車炎上は犯人が自分の車に自作の時限発火装置をつけてパレード一団の到着予定時刻にセットしテロを狙ったものであった。




 さて、この話には続きがある。

 近所という事もあり、事件後も生活道路として公園東側道路をちょくちょく利用していますが、子どもを後部座席に乗せて走っていたところ対向車がセンターラインを越えてぶつかってきた。

 幸いハンドルを左に切り、右サイドミラーの接触と植え込みに自動車左側面を傷つけられるぐらいの損傷で済んだが、もし数メーター進んでからぶつかっていたら、左側面はガードレールに当たり、子どもも無事では済まされなかった事故となっていたことでしょう。

 まさに運が良かったとおもいます。

 しかし、相手の車の運転手が駆け付けた警察官と話している時に、不可解な事を言いいました。


「あの車(私の車)が見えなかった」と……。


 事故がおきたのは自爆テロのあったベンチが見える場所でした………。






 ちなみに肉片らしきものがついていた自転車は現役で乗り回していますし、公園東側道路も利用しています。

 実母が実母の二人目の夫が練炭自殺した車を乗れなくなるまで乗っていたので、私はそういう事を気にしない血筋なのでしょう。

 でも、想像力豊かな私は思ってしまうのです。

 あの公園の桜の木の下のベンチには、東側道路をじっと見ている人ならぬものが今でも座っているんじゃないのかと。

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