ヲタッキーズ50 君はリトルヒロイン
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
彼女が率いる"ヲタッキーズ"がヲタクの平和を護り抜く。
ヲトナのジュブナイル第50話"君はリトルヒロイン"。さて、今回は眼の前で母親を殺された幼女にスーパーパワーが覚醒w
殺人犯を追うヲタッキーズの前に、巨大な経済犯罪の影、そして拝金主義の新電力が破綻した真相が、ついに白日のもとに…
お楽しみいただければ幸いです
第1章 ママが死んだ朝
「ダイヤ、急いで!もう遅刻なの!」
「ママ、すぐ行くから」
「弁護士との約束に遅れちゃうわ!」
こんな時に限ってチャイムw
さらに…銃声?2発3発4発←
「ママ?」
高級タワマン最上階のペントハウスは、2フロアのメゾネットタイプ。
幼女が階段を降りると物陰からハイヒールをはいたママの脚がのぞく。
「きゃー!」
幼女の脳裏に走り去る車の影が映る…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
30分後、殺人現場は蜂の巣を叩いた騒ぎだ。
凶器の拳銃を鑑識が証拠用の袋に押収スル。
「とてもプロの犯行とは思えないわ」
「下手な鉄砲ですね。乱射とはw」
「どうせ銃も未登録でしょう」
現場指揮は、敏腕ラギィ警部だ。
ビニ手をしながら、報告を聞く。
「結局、命中したのは1発です」
「被害者は?」
「ルシダ」
「ん?聞き覚えがあるわ」
「シペル社の財務責任者です」
「あ。証券詐欺で破綻した新電力の大手ね!」
「YES。彼女は検察側の証人で、法廷で証言スル予定でした」
「勇気ある内部告発者なの?」
「いいえ。司法取引の結果です。告発前には自分もかなり稼いでたらしい」
確かに億ションに住んでるw
「裁判所との下打ち合わせに現れないので執行官が訪れると殺されてました」
「死体の傍にはベレッタ。薬莢は4 つです。死亡推定時刻は2〜3時間前」
「警護は?」
「保護命令は出てませんでした」
「何で?」
「ホワイトカラーの詐欺事件ですょ?殺人に発展スルなんて誰も思ってなかった」
溜め息をつくラギィ警部。
「彼女に証言されて困る人は?」
「シペル社の元会長ですね。アリバイをとりますか?」
「もちろん」
「うーん大物で…お抱え弁護団の鉄壁ガードを突破スルのがタイヘンだw」
現場は、制服警官や鑑識であふれかえり、誰もが右往左往している。
ダイヤは、そんな大人達を眺めて、独りダイニングテーブルに座る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さらに30分後。ダイヤはトランプをしてるw
相手は…この現場で最も忙しいラギィ警部←
「警部!銃の製造番号の照合結果が出ました。展示会で個人が購入してますが、身元チェックがなくて購入者は不明です」
「手がかりにはならないわ…新電力の破綻で失業した6000人全員が容疑者ょ。一刻も早く絞り込みをかけないと」
「そりゃ"アキバ FIVE-O"の包括的権限に手伝ってもらうしか…でも、やってくれますかね?」
アキバ FIVE-O は、僕の推しミユリさん率いるヲタッキーズについたコードネーム。
ひょんなコトから、都知事に気に入られて"包括的権限"とやらを与えられている。
「うーん確かに FIVE-O の出番だわ。アキバ案件だし」←
「コレで被害者がコスプレとかしてれば、天才メイドちゃんがやってくれルンですが」
「天才メイドちゃん?私のコト?」
会話アプリからルイナの声がスル。
彼女はヲタッキーズの科学顧問だ。
「ルイナ?オンライン?」
「ねぇ今のは褒め言葉ょね?」
「決まってるじゃない」←
「お嬢さんは?」
「ソレが…何も話さないのょ(ババ抜きはスルけどw)」
「ルシダに娘が?」
アプリ画像の中でラギィが指差す先に幼女。
「ダイヤちゃん。ルイナ、被害者とはお知り合いなの?」
「内部告発があった時、私も財務調査に入ったの。官邸経由で財務省から頼まれて…彼女は協力してくれたけど」
「司法取引したらしいわ」
「ルシダは潔白ょ。むしろ、不正を知って告発に踏み切った側だモノ。お嬢さん、テリィたんに任せれば?幼女の扱いには長けてるわ」←
「あ、そっか。その手があったね」
「で、私は何を?」
「破綻した新電力の元社員と株主から容疑者を絞って欲しいの」
「財務記録を分析スルわ。誰が得して誰が損したかを明らかにすれば良いのでしょ?一目瞭然にしてあげる」
「そーこなくちゃ。解析を続けて」
「OK」
ココで、ラギィは場にトランプを捨てて、立ち上がり、スマホに向かって小声でボヤく。
「被害者はシングルマザーなの。元父親や親族を探してるけど未だ不明w」
「まぁ。お嬢さんの様子は?」
「感情的反応が欠如してる」←
「何ソレ?トラウマによるショック?」
「そうねぇ一過性なら良いけど。今は、完全に心を閉ざしてる…にしては、ババ抜きだけはヤタラ強いけど」
「でも、話を聞き出さなきゃ」
「わかるけど…まだ怯えてるのょ」
「実は、犯人を目撃してたりして」
「つまり、怖がってるのねwだとスルト、無理強いスルと余計に話さなくなる恐れがアル。うーん確かに、テリィたんの出番だわ。幼女には人気だし」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ダイヤ、テリィだ。万世橋警察署のラギィ"お姉さん"に逝われて来たょ?」
ニコリともしないダイヤ。
万世橋警察署のB応接室w
「ママのコト、残念だょ。辛いだろうね。きっと君は今…女子の考えてるコトはわからナイけど、気持ちは理解出来るょ。僕もママを亡くしたばかりだ」
顔を上げるダイヤ。
「どんな時も、必ずいてくれたママだ。なのに突然消えてしまった。ねぇ君と僕でチームを組まないか?"ママなし同盟"だ。今から、僕達は相棒だぞ。お互い助け合うンだ。今朝、何か見たかい?」
「見てないわ」
「何も?」
「チャイムが鳴って…実はソレから」
「ママが出た?」
「黒い車が見えたの」
現場は47Fの超高層マンションだ。
地上を走る車が見えるハズがナイ。
「へぇ。話し声はした?」
ダイヤは首を振る。彼女の脳裏では、何かがフラッシュバックし銃声が響いてるらしいw
「その後は?何か見なかったかな?」
僕を真っ直ぐ見て首を振るダイヤ。
「そーか!それで良いンだょ!すごーく助かったょありがと!ダイヤ」
「テリィたん。ママに…会いたい」
「うん。わかるょ僕もだ」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
不思議幼女ダイヤと別れた僕は、次はジャドーのラボにルイナを訪ねる。
ジャドーは"リアルの裂け目"から襲来スル脅威と闘う秘密防衛組織だ。
ヲタッキーズはジャドー傘下の民間軍事会社。
ルイナは黒板に何やら数式を書き殴っている。
「ルイナ〜w」
口裂け女風の唸るような声で呼んだらビクッとして振り返るルイナ。
一応仕事中で白衣なんだけどムダに翻るミニスカが実にケシカランw
「テリィたんなの?口裂け女かと思った」←
「コレ、枝の刈り込みアルゴリズムだね?」
「大量の変数を共通点で絞り込んでるトコロょ」
「2つの部分集合に分けたンだ?」
「同じ犯罪の容疑者だけど、時が2つの集団に
分けたと思うの。お金を損して報復に萌えてる集団と手に入れた高値をキープしていたい集団ょ」
「うーん破綻した新電力シペル社の件だょね?」
「YES。鋭いね、テリィたん」
「財務責任者が殺された事件だ。実は、僕もシペルに投資して損をした」
「え。ラギィに今朝のアリバイとか聞からちゃうょ?」
「げ。どっちの集合に入れられちゃうのかな」
「大損したの?」
「17万5000」
「大したコトないわ」
「ドルだょwまさか会社ぐるみで不正を行ってるとは夢にも思わなかった」
「新電力は拝金主義者が多いから。でも、テリィたん大損だけど大丈夫なの?」
「昼間のサラリーマンに精を出して一生懸命働くよ。実は、Google でヘッジをかけてたし」
「OK。抜け目ナイのね!じゃ協力して。2つの部分集合がある。金銭的な動機やリスクを踏まえて並べ合わせていくつもりょ」
「犯罪を犯す動機の高い順に並べたら?この変数は何?」
「容疑者の検挙をもとに動機の強さを数値化してみた」
「ソレは、今の暮らしぶりとかで判断するワケ?」
「いいえ」
「OK、ルイナ。コレは思考実験だょ。君がエデンの園を知らないとする」
「アダムとエヴァ?」
「ルイナは、楽園を追われたばかりのアダムとエヴァにタマタマ出会う。2人の様子を見ただけで、どちらが先に禁断の果実を食べたかわかる?」
「あ…そっか。結果だけを観察しても原因がわからないコトってアルょね?犯人を突き止めるには、先ず不正事件の分析からだわ」
「正解。先ず禁断の実まで遡らなきゃ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
脇目も振らず解析に没頭するルイナを後に、僕は裏アキバのホーリンパークを散策。
お相手のラギィ警部共々、手にはチョコ駄菓子"ブラックパンダー"のアイスバー。
因みに、檄レアのチョコミント味←
「公園の散歩は大好きょ!」
「シペル社の会長と重役陣を追ってルンだって?」
「え。テリィたんも興味アル?ちょっぴり元気が出て来た!実は…養子を取るかで揉めたレイカと別れてから何ゴトも盛り上がらなくて…」
レイカはジャドーの司令官だが、ふたりはゲイをカミングアウト、幸せそうだったのに…
「え?ラギィ、レイカ司令官と別れたの?どーりで最近レイカの出番が少ないと思ってたょ」
「何なのソレ。単なる作者の描写能力の欠如でしょ?もう50話だし、ココらでそろそろ登場人物を殺して整理しなきゃ」←
「…ところで、ルシダは大切な証人だったんだろう?」
「彼女の証言抜きでは、元会長が不正を指示したかどうかを立証出来ない。ねぇ元会長に殺人罪を問えると思う?」
「うーん大企業の会長が証人を殺すかな?」
「モチロン、自分の手は汚さナイ。でも、資産40億円を死守するためなら指示したカモ」
「その元会長とは、何処に逝けば会えるのかな?」
「シンガポール。裁判中なのにコネを総動員して海外旅行の許可が出てる」
「しかも、このコロナ渦に?呆れるな」
「明日、帰国スルけど面会は無理ね」
「なぜ?」
「鉄壁ガードの弁護士軍団が元会長を警察に会わせるワケがないわ」
「保護を口実にすれば?」
ラギィのアイスを食べる手がピタリと静止。
僕の半袖シャツを摘んでベンチに座らせる。
「私が襲撃犯から元会長を保護スルの?だっから、テリィたんって大好き!」
「もし元会長が断れば、自ら犯人を知っていマスと認めるよーなモンだ。会長は、保護のオファを受け入れざるを得ない」
「名案ね」
「だろ?」
「ありがとう」
「いつでも逝ってくれ。僕って安上がりだろ?」
僕はラギィ警部に"ブラックパンダー"檄レアアイスバーチョコミントの空袋を見せる。
「OK!チョコミント味を買い溜めしておくわ!私も今日からチョコミン党!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻、ジャドーのラボで解析に没頭中のルイナを、上司であるレイカ司令官が訪ねる。
「ルイナ」
「あ。司令官、どーもです。テリィたんは?さっきまでいたのに」
「ラギィ警部とホーリンパークでデートしてるわ。被告のシペル社の重役に近づく方法を相談スルとか…何か急接近ょね?あのふたり。ま、もう私は別れたから良いけど」
未練タラタラ発言にもルイナはどこ吹く風w
「良かったわ!私の方は分析に思ったより時間がかかりそうなので」
「え?分析?何ソレ美味しいの?」
「動機を正確に測るには元の不正事件を再現する必要がアルのです」
「またまた意味不なコトを…で、どのぐらいかかるの?」
「何百万件もある取引履歴を関連づける必要がありますが、量子コンピュータなら数時間で済みます。是非"シドレ"を…」
"シドレ"は、アキバ上空3万6000kmの軌道に浮かぶ量子コンピューター衛星。
この"シドレ"が"リアルの裂け目"を感知スルとジャドーは警戒態勢に入る。
計算セクターの使用には司令官決裁が必要←
「もちろん"シドレ"を使って頂戴。ところで、証人が幼女ナンだって?ショックを受けてルンじゃない?」
「えぇ…まぁ元気になれと言う方が無理なのカモ」
「祖母が青森県にいるけど、コロナで迎えに来るのは無理らしいわ」
「じゃ…幼女はどうなるの?」
「施設で引き取るコトになルンじゃないの?」
「かわいそうに。環境は劣悪でしょ?」
「子供だし、裁判所命令もナイから証人保護プログラムは受けられない。仮に受けても、どの道、入る施設に大差はナイわw」
「これ以上心を閉ざしたら捜査に影響が出るのでは?」
「わかるけど、どーしよーもナイわ。ねぇ何処かナイスな託児所とか知らない?」
第2章 やって来た幼女
その夜の"潜り酒場"。
元は、僕の推しミユリさんがメイド長をやってる御屋敷のバックヤードだ。
禁酒法時代の潜り酒場風に改装したらヤタラ居心地が良くなり溜まり場にw
「テリィ様?…おかえりなさいませ。また"48時間休暇"ですか?」
「ただいま。明日の正午までだ。よろしくね」
「はい。つまらないコトで喧嘩しないようにしなくちゃ」
ミユリさんの正体は、ムーンライトセレナーダーだが普段はココのメイド長だ。
ソレから、僕は昼間はサラリーマンで単身赴任中w週末だけココに御帰宅スル。
「いや実は…ミユリさんに頼みがあって」
「はい。何でしょう、テリィ様」
「ダイヤちゃん、おいで」
ダイヤがスタスタと入って来るが…あれ?
メイド服だょ?ハロウィン幼児コスプレ?
「こ、この子は?まさか、テリィ様の…」
「ダイヤちゃんだ」
「ダイヤちゃんて…誰や?」笑
色んな意味でオトナの度肝を抜きながら、当のダイヤはミユリさんの前に出て見上げる。
「こ、こんにちわ。ダイヤちゃん」
「貴女がミユリ?私、テリィたんのメイドになる」
「はい?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕の"新人"メイドは"Uper eats"で取り寄せたマチガイダのチリドッグを頬張ってる。
あ。マチガイダ・サンドウィッチズは、聖都アキバ最凶のホットドッグステーションだ。
「平気なのですか?テリィ様。仮にも"証人"ナンですょね?」
「うーん法的にはね。ラギィ警部に聞いたら大丈夫だって。どの道、証人保護プログラムは使え無いンだ」
「何か起きれば御屋敷の責任になります。母親を襲った犯人は、証人がいると知れば、御屋敷を襲撃しますょ?」
「その時は変身して闘ってょ…確かに賢いやり方じゃ無いカモな」
「…かと逝って、母親を失った日に即施設送りじゃ可哀想」
「そーナンだ!僕も真っ先にそう考えた!あぁ何も起こらなければ良いけど。頼めるかな、ミユリさん」
「…かしこまりました、テリィ様」
小声で意見交換を終えた僕とミユリさんは、満面の笑みを浮かべて、クルリと振り返る。
「ダイヤちゃん。チリドッグ美味しい?」
「ママの方が美味しい」
「あちょw」
ダメだ。ミユリさんを敵視してるw
「テリィたん。私、少し思い出した。朝、私が何を見たかって。車ょ。銃声の後に窓から見た」
「どんな車?」
「真っ暗だったから…黒かな。大きいけど流行りのSUVナンかじゃない」
ミユリさんは僕に目配せ。現場はタワマンの47Fで走り去る車は見えない。
わかってるって。そもそも、今朝の話だから真っ暗なハズがアリはしナイ。
「そっか。写真を見たらわかるかな。思い出すか、やってみよう」
「私も頑張って犯人"達"を思い出してみるわ、テリィたん」
「ん?犯人"達"って…既に何かを思い出してるのかな?」
「だって、ラギィ警部が警察署で言ってたょ?ママを殺したい人は6000人もいるンだって!」
ミユリさんが美しい瞳を丸くして僕を凝視←
「ソ、ソ、ソレは誤解だ。違うょ。犯人を探すには、大勢の人を調べなきゃイケナイって意味だ。全員がママを憎んでたワケじゃナイょ。僕は、ママを殺した犯人は1人だと思ってる」
「…私、今宵は何処で寝るの?」
「今、座ってる僕のお気に入りのソファ」
「テリィたんも、今宵は泊まるょね?」
「え?あ。そーだね。わかった、泊まるよ。大丈夫だ」
その全力で心配そうな顔ヤメろミユリさんw
相手は幼女だ!巨乳小学生じゃあるまいし←
第3章 脅迫状を追え!」
その夜、万世橋の捜査本部は全員徹夜だw
「ルシダへの脅迫状だ。"神がお前に裁きを下すだろう"凡庸ね。この人はシロ」
「警部。コレはどうでしょう?"お前の血を絞り出してやる"容疑者入りにしますか?」
「うーん当落線上ギリギリだわ」
「しかし…6000人ナンて余りに数が多過ぎますょ」
「ルイナに期待しましょ…最初は、破綻した新電力シペル社の重役陣を疑ってたけど、ソレ以外の従業員にも恨んでた連中は大勢いるのね。みんな新電力シペル社の破綻で財産や仕事を失ったワケだから、当然ではアルけれど」
「確かに重役達が散々儲けた後での破綻ですからね」
「このスティって人、知ってる?」
「何処かで見ましたょ警部。マーケティングの平社員でしょ?」
「人事記録に"超短気"とあるンだけど」
「ソレにしちゃ彼女の脅迫状は、恐ろしく平凡ですょ?こりゃDマイナスだな」
「あのね。過激な脅迫状は、怒りを爆発させるだけ、実は健全という見方もあるの。スティは、怒りを抑えてるけど退職者面接では見事に大爆発して、カウンセリングの対象になってるわ」
「OK。容疑者に格上げしましょう」
スティの写メ付き調書のハードコピーが黒板に貼られ、データは容疑者フォルダへ格納w
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
タワマン最上階にある御屋敷の朝は早い。
「テリィたん!お気に入りのソファに誰か泊めたの?ミユリ姉様は御存知なの?ってか姉様は何処?」
「朝マックの買い出し」
「で、"潜り酒場"に誰を泊めたの?」
御屋敷ヘルプメイドのつぼみんは激オコ←
トンでもない噂がアキバを駆け巡りそうw
「つぼみんに断らズに悪かったね」
「何を?」
「破綻した新電力シペル社財務責任者ルシダさんのお嬢さんを泊めたコト」
「え。マジ泊めたの?ケダモノ!未だ幼女でしょ!」
「…で、今から元会長に会いに空港へ逝く。ミユリさんが戻るまで頼めるかな」
「私が?子守を?」
「1人には出来ないンだょ。襲撃される可能性もアルし」←
「テリィたん。私は、姉様と違ってタダの秋葉原メイドでスーパーヒロインじゃないの…でも、実は子守は得意。定評がアルのょ」
「さすがはミユリさんのヘルプだ。さ。ダリヤを紹介スルょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田リバー水上空港。
シンガポールからの朝1便、JASSのA-3000が神田川に飛沫を飛ばして鮮やかに着水スル。
飛行艇桟橋へと近づく機体をラギィとラウンジで見てたら拳銃を構えた黒服に囲まれるw
「両手を頭の後ろに!何者だ?」
「万世橋警察署。破綻した新電力の元会長さんを保護しに来たわ。貴方達こそ何者なの?」
「会長の警護だ」
ラギィ警部は落ち着いたモノだ。
モチロン、両手は上げもしない。
「シンガポール便はチャーター機だ。部外者にはラウンジから御退室願おう」
「誰が部外者かは、直接ご本人から伺うわ。あ、ソレから貴方達、拳銃所持の許可証を見せて頂戴。はい、ソコの貴方から」
「あ、会長」
ラウンジに入って来た会長は初老の男性。
ココからは僕の出番で、しゃしゃり出る。
「何ゴトかな」
「"FIVE-O"のテリィです。知事から与えられた包括的権限に拠り貴方を保護します」
「ちょっと待ったー!弁護士のバレトだが、何か?」
こりゃまた会長と見分けツカナイ初老の男w
「こりゃ冗談か?」
「冗談に見えますか?」
「ルシダ氏が死んだからか?」
「YES。あの殺人事件で会長の身にも危険がおよぶ可能性が生じた」
元会長が重々しく口を開く。
「警察に話すコトは何もナイ」
「なるほど。確かに貴方なら命を狙われても平気そうだw」
「会長、何もお話しされる必要はありません」
ココで思いがけない展開がw
「実は、脅迫状が届いた」
「いつ?」
「昨日の朝」
「マリリ!」
「失礼。アンタ、誰?私はラギィ」
元会長がマリリと呼んだ女子は、大柄オカッパ頭にスーツ姿の一見デキる女子系だが…
何かウソ臭い。ミニスカに入ったスリットがヤタラと深くて何処かコスプレ臭いのだ←
「私は、会長の娘ょ。脅迫状は、シンガポールのホテルに届いた」
「なぜ警察に隠そうとスルんです?」
「私を有罪にしたがってる警察にソンは話をスルと思うかね?」
不機嫌そうな元会長。
「その脅迫状、万世橋警察署まで御提出を願います」
「裁判所命令を持って来い」
「じゃ急ぐので失礼」
迎えのリムジンに乗り込み走り去る御一行。
「脅迫状が出たか!大収穫ですね!」
「第1ラウンドは、こんなモンでOK?」
「上出来ょテリィたん。押してるわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃"潜り酒場"では、ダリヤが意地でもソファから動こうとしない。
ミユリさんが隣に座って話しかける。アラサーメイド vs 幼女メイドだw
ミユリさんの奇襲攻撃←
「ダリヤちゃん。テリィ様と同盟を結んだでしょ?」
「…えっ。ミユリも?」
「テリィ様はね。別名"慰めの魔術師"と呼ばれてるw私もヤラれたわ」←
「そ、そーなの?」
「たいしたモノょ。なぁ悲しんでも良いンだぜ、その方が亡くなった人も喜ぶハズさ…こんな感じ?」
「かなり違うけど、そのセリフを聞いたら、何だか胸がキュンキュンして来た!」←
「内緒だけど、私も子供の頃、涙を隠していつも強がってた。今もそうょ。ねぇ何を読んでるの?」
「車の本。犯人の車を思い出してテリィたんに教えようと思って」
「私にも見せて」
「テリィたんは…今でも泣くのかしら?」
「テリィ様が?さぁどうかな。あるメイドが悲しい時は泣いても良いと教えてあげたから。その時、メイドはヒドく怒られたけど、チャンとわかってる。テリィ様は、その生意気なメイドをいつかは分かってくださるって」
「そのメイドは…ミユリなの?」
「みんなには内緒ょ」
微笑みを交わす僕のメイド"達"。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドーのラボでは、ルイナが脇目も振らズ解析作業に没頭している。
入って来たレイカ司令官は、華麗なるコスモルックに身を包んでいる。
ジャドー司令部はパーツ通りにあるゲーセン地下にアルがソコのコスプレ店員との設定←
「"シドレ"の計算結果は?」
「さっき万世橋に送ったトコロです。さすが量子コンピューター。助かりました。ありがとう」
「どういたしまして。もらうわょ?」
ラボ常備の色とりどりのキャンディが詰まったボックスから1つ摘んで口に入れるレイカ。
「あ!今、何色とった?」
「赤ょ」
「え。メチャクチャ興味深いわ」
何かがヒットしたのだろう、猛烈な勢いでノートに描き込みを始めるルイナ。
不思議なモノでも見るかのようにルイナを見つめながら、レイカが口を開く。
「ねぇ万世橋が破綻した新電力元社員から容疑者を7人選び出した。次の犠牲者が出る前に絞り込みたい」
「あ。私がベンチマークした女子がいるわ。スティょ。犯人の確率は10%未満ナンだけど…」
その瞬間、レイカ司令官は目にも止まらヌ速さでスマホを抜く!
「ラギィ!貴女の読みどおりスティよっ!」
第3章 その女スティ
神田リバー水上空港の裏にある安ホテル。
「よく見つけたわね」
「カード番号から」
「結婚してるの?旦那サンは何て?」
「シペル社への怒りから犯行に走ったのカモと言ってたわ」
スティの滞在先が割れて踏み込むトコロだ。
"FIVE-O"の立場からヲタッキーズ同行w
「警部。中にいるかは不明ですが…支配人から預かった合鍵がアリます」
「スティのいる3階へは?」
「階段は2つ。1つは修理中で使用禁止です」
「行くわょ」
防弾チョッキを着たラギィ警部の後ろに僕、さらにヲタッキーズの妖精担当のエアリとロケット兵装備のマリレ…彼女達はメイド服w
「テリィたん。ノックして」
「え。僕が?」←
「スティ!令状はナイけど"FIVE-O"よっ!」
拳銃を構え飛び込むラギィ。
ワンルームは散らかってるw
「クリア!」
中は、狭いベッドの他にはチャチなデスクとチェア…スティはいない。
しかし、壁一面に新聞記事の切り抜きや付箋がベタベタ貼られている。
「スゴい!全部破綻した新電力シペル社裁判の報道写真や新聞の切り抜きだわ」
「ひとりで何を企んでるのかしら。不気味」
「ねぇコッチも見て」
チャチいデスクの引き出しを開けると、元会長はじめシペル社重役の写真がドッサリだw
「ターゲット?」
ソコへコンビニの有料ビニール袋を下げて帰って来たスティと鉢合わせ!
メイド姿の侵入者に驚くのも束の間、次の瞬間には脱兎の如く逃げ出すw
「階段よっ!」
「了解!」
「袋を置いて止まって!」
ラギィに逝われて初めて気づいたか、手にしたコンビニ袋を放り投げるスティ←
カップ麺やらチョコバー"ブラックパンダー"やらが廊下から階段に散らばるw
「銃を持ってるわ!銃ょ!」
「先ず銃を捨てて!罪が重くなるだけょ!」
「中に入って出て来ないで!」
ラギィ警部がタマタマ廊下に出て来た(恐らく不倫)カップルを部屋に押し込む。
一方、階段を駆け降りるスティの横を"飛びながら"説得するヲタッキーズ。
「ねぇ逃げられナイょ?私達、ヲタッキーズだけど?」
「え。ヲタッキーズ?あ、その羽根は…」
「妖精のエアリょ。コッチはロケット兵装備のマリレ。旦那さんも心配してるわ」
「彼に会ったの?本当にアナタ、妖精さんなの?」
背中の羽根を見せるエアリ。
「見て。さぁ銃を置いて」
「わかったわ。ギブアップする」
「OK。悪いけど跪いて。両手は…そう。頭の後ろょ」
「ねぇ私なら出来るの!私にしか連中を止めるコトは出来ないのょ!」
「何ワケわかんないコト言ってるの?」
追いついたラギィが女に手錠をかける。
「今は貴女を止めるのが先だわ」
第4章 その飛行艇を停めろ!
スティは万世橋に連行され直ちに取調べだ。
「脅迫状は貴女が描いたの?」
「YES」
「元会長へも?」
「YES」
「うーんダメょウソつかないで。シペル社への脅迫状はヤタラ詳細で長いお手紙風だったわ。ソレに引き換え、元会長宛のは"次はお前だ"と一言ょ?明らかに別の人が描いてるでしょ?貴女が描いたのはドッチ?」
マジックミラーのコチラ側で僕は舌を巻く。
「ラギィすげぇ。前任地でとった"新橋鮫"の異名はダテじゃナイなwでも、実際のトコロ脅迫状を描いたのは誰ナンだ?」
「PCから送られてルンだって。私達が踏み込んだ連れ込みにPCはなかったけど、こんなの、何処からでも送れるわ。そもそも本人は誤解だと言ってるし」
「誤解?どういう意味だょ?」
「今から彼女が話すから自分で聞いて。彼女は、捜査責任者にしか話さないって」
ヲタッキーズの"空飛ぶ系"エアリとマリレは揃ってマジックミラーの向こうを指差す。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ねぇ引き出しにギッシリ入ってたシペル社の重役連中の写真は何に使うつもりだったの?」
「貴女が捜査の責任者?」
「YES」
「そう…ちゃんと捜査してょ!」
ラギィは顔色ひとつ変えズ写真をバラ撒く。
「ルシダを殺して満足?残された幼女ダリヤに貴女が釈明してょ」
「犯人は私じゃない。そう説明したでしょ」
「説明って?」
「あのね。犯人は、証人を殺して事件を隠蔽する気なの。だけど、私は証拠をつかんでいる。貴女に渡しても良い」
「マジ?」
「でもね。あんな捜査じゃダメょ。犯人が見つかるハズ無い。私は、仕事も貯金も全てを失ったの。犯人を絶対許さない!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
大見得を切ったが、実は方程式が解けズ煮詰まってるルイナは"潜り酒場"に御帰宅。
"潜り酒場"の流儀に従いメイド服だが、今宵は歯車ワッペン付きのスチームパンク。
「貴女、ソレは何?」
「わ、わ!可愛い!ハロウィンのコスプレの幼女かしら?貴女はだぁれ?」
「ソンなコト、どーでも良いわ。ソレ何?」
メイド服姿の幼女に驚くルイナだが、幼女は真面目な顔で彼女のタブレットを覗き込む。
「あ。コレ?お姉ちゃんは今"データの例外"を分析してるトコロなのょ」
「だから!何ソレ?」
「うーん方程式の何処かがおかしいワケ。だから、その理由を考えてる。今のママだと、得した人と損した人が交換殺人してるみたいな解が出るのょねw」
「貴女、首相官邸の最年少アドバイザーのルイナね?私のママに会った?」
「そーゆー貴女は、ルシダのお嬢さん?確かにママに会ったコトある。数回だけだけど、ソンなに良くは知らないの。でも、良い人だった。とても、勇敢なコトをしたわ」
「貴女は、ママの味方ね?でも、ママは、いつも怖がってた。必死に隠してたけど、私には全部わかってた」
「…貴女、人の心が読めるの?」
「ちょっと違う。でも、ママは"人は完璧じゃない"っていつも言ってたわ」
うなずくダイヤ。
ひらめくルイナ。
「そうょ!完璧ナンかアリ得ないンだわ!」
ダリヤの肩をポンと叩くや、急に殺気立った顔になってタブレットに方程式を書き殴る。
「ダリヤのママのおかげだわっ!」
浮力を発見したアルキメデスが風呂から飛び出す勢いで"潜り酒場"を飛び出すルイナ。
さすがに百戦錬磨?の幼女ダリヤも呆気に取られキョトンとした顔のママ取り残される。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マジックミラーの向こうでスティは退屈中w
「あっ!あの女ですっ!何度も署に電話して来た女だわ!シペル社裁判の件です!」
「内容は?」
「ソレがラギィ警部。雑誌の切り抜きを並べて証拠だと言い張るンですょ!相手にしませんでしたが…もしかして重要参考人ですか?私ったら…」
一方、マジックミラーのコッチ側では交通課の婦警が興奮してスティを指差す。
どーやら、署内では有名?な困らせ系の要注意人物らしい。頭を抱えるラギィ。
「で、彼女のアリバイは?」
「コンビニで新聞記事をコピーしてたのが複数目撃されてます」
「うーん振り出しに戻ったわね」
その場の全員が仲良く?頭を抱えるが…
「警部!ジャドーのパツキン姉さんから朗報がアルそーです!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「先ず、ルシダ殺人の動機を探るために不正経理を再分析してみたワケょ」
「ソレで?」
「どーやらシペル社を立件出来るカモ」
非常呼集のかかる捜査本部全員の前でルイナは鼻息荒いが…うっかりメイド服のママだ←
「シペル社は、新電力と言いながら、ビジネスになるなら、安定供給ナンか二の次で天然ガスや石油に手を出している。即ち、資源株の先物取引ね」
「あ、ナルホド。しかし、違法行為では無いわ」
「確かに。でも、取引パターンを分析すると常に完璧な読みをしているトレーダーがいるの」
「え?完璧な相場師?ソレってアリ得ナイでしょ?」
「ところが、ホントに完璧なの。なぜなら、彼等は将来の価格を予測したのではなくて、操作してたから」
「つまり…イカサマ?」
「YES。例えば、ネットワークを持つ新電力が供給を制限する。理由は設備点検とかね。供給が減ると…」
「価格は上がる」
「その通り」
「金額は?」
「3億円」
「ソンなに?証拠は?」
「完璧性。完璧な取引であるコト自体が、動かぬ証拠ね」
「うーん検察は新電力シペル社の破綻に関して、上海のオフショア会社に隠した負債までは調べてたけど…確かに先物までは調べて無いわ」
「私も、テリィたんやダリヤに言われ、再分析してみて初めて気がついたの」
「テリィたんはともかく、ダリヤって誰や?」←
「殺されたルシダの一人娘。とにかく、会計システムの設計者でもない限り、気づかないと思うわ」
「ルシダは、財務責任者でシステムの設計者だったから気がついた?」
「その可能性が高い」
「そして…口封じに殺されたのね」
ラギィ警部が頭を掻きむしる。
「捜査を方向転換よっ!先物の価格操作を考慮する前は、容疑者ですらなかった連中がゴッソリいるわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田リバー水上空港の飛行艇格納庫。
ラギィが会長の娘マリリを呼び出す。
「何ですか?警部さん。会長への疑いは晴れたと思ってた」
「不正経理を知ってる前提で再分析したら、元会長も容疑者になったワケ」
「じゃあ脅迫状は?あ。会長が自ら送ったのか…」
「YES。恐らく捜査の目をそらすためね…お父さんに話がアルんだけど」
「今、出掛けたトコロょ…今日は脅迫状の件で?」
「捜査内容は話せない」
「会長は今、大変な状況なの」
「不正経理の後始末で?」
「大企業グループの会長をやっている。社員の行動全てに責任は取れないわ」
「会長は先物取引のコトも御存知かしら?」
「モチロン。新電力とは名ばかりで収益が大きければ何でも手を出す。コレはビジネスだもの」
「私腹も肥やしやすいしね」
「何?ヤハリ父への事情聴取はお断りょ!」
「あーらヤハリやましいコトでもアルの?殺人犯をかばうと貴方も同罪ょ?」
「父は無実よっ!」
「いたいけな幼女から母を奪った。貴女達、父娘は断れない」
庫内でシンガポール便の飛行艇が揺れてる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕は"潜り酒場"にダリヤを訪ねる。
カウンターのミユリさんが気がつく。
「あ。おかえりなさいませ、テリィ様」
「ただいま。飛行艇基地からの帰りナンだ」
「方向が違います」
アッサリ見破られる僕w
「ダリヤは?」
「奥のテリィ様お気に入りのソファ」
「ダリヤにミルクセーキを。ステアせズにシェイクで」
007のマネ…ミユリさんはニコリともしないw
「ダリヤ。調子はどう?」
「あ、テリィたん。ダメなの。私、どーしても思い出せナイ」
「え?あ、ダリヤが脳内目撃したクルマのコトか。大丈夫。そのうち頭に浮かんで来るさ。いきなり思い出すカモ。ミユリさんのミルクセーキ、飲む?」
うなずくダリヤ。
「何か心配ゴトかな?大丈夫?」
「…テリィたん。犯人は私のコトも殺そうとするかしら?」
「え。ダリヤを?」
ミルクセーキを載せたお盆を持ちポールにもたれているミユリさんが視線が絡めてくるw
「ダリヤは大丈夫さ。ナゼか知りたい?」
「うん」
「僕達"アキバ FIVE-O"が、そうはさせないからさ。ダリヤは、僕の大切な相棒だからな。青森のおばあちゃんと話したよ。君のために飛行艇の手配をしてる。今は辛いだろうけど、いつか必ず元気になる時が来るさ」
そう聞いてパッと…とは逝かナイが少しはダリヤの顔が明るくなった…よーな気もスル←
「ダリヤは強い幼女だ。僕にはわかる。信用しろ。じゃね」
去ろうとスル僕に、ミユリさんが行き掛けの駄賃みたいな微妙な上目遣いをしてみせるw
「あの、テリィ様…」
「何?」
「い、いいえ。別に。いってらっしゃいませ、テリィ様」
あ、あれ?こりゃ何かアルなw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
続いて、ジャドーのラボにルイナを訪ねる。
「テリィたん!3億円が手に入ったら何をスル?正確には3億1200万円だけど」
「え。ジャドーが金欠なの?」
「え。あ、いや、あれ?私、ソンなコト言ったかしら」
先客のレイカ司令官が勝手に慌ててる。
ルイナがニコリともせズに話題を訂正←
「本題に戻るわ。シペル社のお金の動きが未だ掌握出来ない。キャッシュフローに先物利益が現れるハズなのに」
「でも、出て来ないのか。送金は全て電子化されてるの?」
「そーなのょ。目に見えない電子送金って、物理の法則に縛られないから」
「ソンなコトないさ。だって、時間には縛られてるし、そもそも時間の逆行も出来ない…あれ?司令官、ルームの床に水が溜まってるけど」
「あぁ地下基地だから水漏れスルのょ。実は、見積もり取ったら水漏れ原因を探るには壁を剥がすしか無いって言うのょ。予算は無いし最近の職人さんの人件費はスーパーヒロイン並みに高いし…」
「あぁ!仕事に集中出来ないわっ!」
レイカ司令官のボヤきに煮詰まってるルイナの投槍な叫び声。
世紀末な風景だが、とりあえずカーペットをめくると水溜りw
「うーん何かがおかしい」
「テリィたん、何してるの」
「漏水箇所の特定」
万年筆のインクを垂らす。
「あ、汚さないで。お掃除の人件費が…」
「水にインクを垂らしてその広がり方を観察する。流れのパターンを見極めれば水の出所がわかる。ほらね。壁からフロアに落ちるんじゃなくて、フロアから壁に上がってルンだ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
1時間後、またまた捜査本部に非常呼集!
「順番を勘違いしてたわ!お金の移動は先物取引の前に行われていたのよ!」
「取引より金が先?あり得ない!」
「破綻した新電力シペル社が不正経理に使ってた上海のオフショア会社だけど、流体力学を応用して調べてみたら貸付の形で送金されてたの!」
「流体力学って…水は抵抗のないトコロへ流れるって奴?もしかして、先物取引で横領を隠蔽してたとか?!」
「YES」
得意げなルイナ。
「でも、3億円も消えれば、誰かが気がつくでしょ普通は」
「不正の直後に会社が破綻すれば、破産処理と同時に貸付は帳消しにナルから誰にもバレないのょw」
「まさに新電力シペル社破綻の前夜に行われた"墓場の魔術"ね」
「その踊り子にルシダは気がついた」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"墓場の魔術師"を追え!
幹部の個人情報が集まる←
「そのマイナンバーを入れてみて!」
「該当ナシ」
「次は?」
「コレも実在しません!」
「そんなの変ょ」
「ううん。コレでやっと納得出来そうょ」
「何言ってるの?」
「だから"完璧なトレーダー"ょ。実在してないンだわ。ホラ、スティは何て言ってたかしら?」
「犯人ナンか見つかるハズがナイと」
「その通りょ。だって、実在して無いンだモノ」
「じゃどーすれば?」
「犯人は、トレーディング部門のトレーダー以外の誰か」
「人事記録を当たって!」
ソコへ電話。
「ミユリさん、どーしたの?落ち着いてょ。ええっ?ダリヤが消えた?」
万世橋警察署は騒然となる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミユリさんが取り乱してるw
ラギィと"潜り酒場"に飛び込むと呆然と立ち尽くすミユリさんがいる。
こんなミユリさんを見るのは池袋から元カレが追っかけて来た時以来だw
僕を見てワッと泣き出すw
「5分ほど目を離しただけナンです。ドリンクを取りにキッチンへ。ソレまでダリヤはソコに立っていたの」
「大丈夫だから!落ち着いて話してょ」
「テリィ様。あの子、私の心の中に入って来た。ソレも未来の私の心の中に…」
「ソレは"未来視"だ。スーパーパワーの1種だ。ダリヤがスーパーヒロインとして覚醒したンだ」
「わからない。私、未来の自分の心を閉ざすのに精一杯で…気がついたら、ダリヤは消えてた。ごめんなさい、テリィ様」
未来の自分の心を閉ざすだって?
電話が鳴りラギィが手を伸ばす←
「待った!その電話を使うな!」
「え?誰かからかかって来たけど」
「多分リダイヤルしたら…タクシー会社だ」
「ダリヤがタクシーを呼んだと言うの?」
「とにかく、確認してくれ」
「わかったわ。でも、テリィたん。どーせダリヤの行き先には心当たりがあるンでしょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ソレはダリヤのママが殺されたタワマンだ。
「アンタ達はアッチをお願い。テリィたんは私の後ろにピッタリついて離れないで!」
防弾チョッキに拳銃を構えたラギィ警部が指揮スル万世橋特捜班と一緒に踏み込む。
いつもなら変身したミユリさんが一緒だが…珍しく彼女は"潜り酒場"を動かないw
「ダリヤ?!大丈夫だったか?」
「心配したのょ!」
「ごめんなさい、テリィたんと…あら?ミユリは?」
ダリヤは無事だ。メゾネットの階段の上から玄関ホールに突入した僕達を見下ろしてる。
「テリィたん。思い出したの!ママが殺された時、私は天使のエンブレムを見たの」
「え。事件直後に脳内目撃した犯人の車のエンブレムか?スゴいぞ。エラい!」
「今なら頭の中にハッキリ見える。走り去る車のシーンがフラッシュバックしてる」
ココでラギィ警部のスマホが鳴る。
「はい、ラギィ…えっ?!元会長に出国許可が出た?国外逃亡スル気だわっ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田川の川面いっぱい使ってJASSのロケット飛行艇A-3000が離水態勢に入る。
Sボートのトーイングは神業で、川を見下ろすビルに翼端が今にも触れそうだ。
「会長。本艇は離水後、仏領ギアナに向かいます。この度はチャーター便の御用命、誠にありがとうございます」
「うむ。万世橋が色々うるさく嗅ぎ回っておってな。暫く秋葉原とはオサラバだ」
「間もなく離水致します。シートベルトをお締めください」
絵に描いたようなパツキン美女スチュワーデスが現れ、チャーター客に挨拶をした瞬間…
ガクン!
A-3000は川面で急停止し、元会長は前のシートへ吹っ飛びスチュワーデスは床に転がるw
「きゃー!」
「何ゴトだ?!」
「あ!アレは」
離水態勢を整えた飛行艇の正面から、浮上した潜水艦が全速力で神田川を遡上して来るw
「ソコのA-3000!ジャドー"死海ダイバー"のウォタ艦長だ。直ちに停止せょ!エンジンをカットし、パイロットはキャノピーから両手を見えるトコロに出せ!」
「何?飛行許可は出てるが…」
「"アキバ FIVE-O"の包括的権限に拠る命令だ!直ちに停止せょ。さもなくば貴艇を撃破スル」
"死海ダイバー"。ソレはジャドーの海底部隊。U-boat 7C型を原子力潜水艦に改造、その前部には"死海1"と呼ばれるロケット機が装備され海上を超スピードで進み、敵を撃破スル。人間の最高頭脳を結集して作られたジャドーのメカニック…って何で機械工ナンだろう?
「レイカ司令官。よろしいですか?」
「うーん実はテリィたんにはココまでヤルとは言って無いけど…まぁ良いわ。やって頂戴」
「了解。"死海1"!警告射撃!」
"死海ダイバー"のブリッジでジャドー司令官と"死海ダイバー"艦長の話がまとまるw
「いてまえ!」
ヤタラ Me-163 にソックリな"死海1"が MK-108 機関砲でギリギリの威嚇射撃を開始スルw
文字通り射すくめられ停止したA-3000に、万世橋の警備艇が横付けし警官隊が斬り込む…
あ、海賊じゃなかった…臨検スルの間違いw
「秋葉原警察署!両手を頭に!」
「ホラ!悪徳弁護士もヤクザ上がりのボディガードも全員だ!」
「早くしろ!」
完全に圧倒された元会長が必死に抗弁スル。
「横暴だ!娘のマリリまで拘束する権利は無いハズだ」
「おっと。私達が捕まえるのは娘の方ょ。アンタ達はオマケ。ソレとも公務執行妨害の現行犯になる?」
「何?マリリお嬢さんを逮捕だと?容疑は?」
弁護士軍団から怨嗟の声。
「あら?アンタ達、娘の弁護も請け負ってるの?ルシダの殺害ょ。マリリ、パパに話したら?」
「マリリ、何の話だ?」
「上海のオフショア会社を使った3億円の横領。ソレを先物取引で隠蔽した。コレが新電力シペル社破綻の真相ょ」
「ホ、ホントか?」
その瞬間、マリリは鬼の形相になるw
「ハーバードまで出た私を、パパはヒラのトレーダーとして扱ったわ!」
「ソレは…全て修行のためだ」
「私は3億円も稼いだのょ!」
「でも、その代償として6000人が失業し、幼女がママを失った。両手を後ろに。貴女には弁護士を呼ぶ権利がある…けどもロールスロイスに乗る権利はナイわね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
全てが終わった神田リバー水上空港。
国内線青森便ドローン飛行艇に乗り込むダリヤ。
ヤタラ"遠く"から見送るミユリさんとラギィ。
「な、何でミユリさん達は、あんな遠くから見送るのかな?とにかく、僕とダリヤは"ママなし同盟"だ。青森空港には、おばあちゃんが迎えに来てるハズだけど、着いたら電話くれょな」
「テリィたん」
「何?」
「私、いつか秋葉原に戻ってテリィたんのメイドになる」
「そりゃどーも」
「ソレから…テリィたんはママを思って泣いても良いと思う」
「え。僕の話か?」
「YES。だって…テリィたんが大泣きしてる姿が見えるの。ヲタクだって泣いても良いのょママを思ってね」
言葉もない。
「ところで、テリィたん。"きょにゅー"って何?」
「な、な、なンだょいきなりステーキ…じゃなかった、いきなりw」
「…ううん、忘れて。あ、ダメ!大事なキスはオデコになんかしないで!」
思い切り背伸びし、唇を突き出すダリヤのコトを傍らの地上スタッフが笑って見ている。
振り向くと"遠く"カート置き場の辺りからミユリさんとラギィ警部が手を振っている。
「元気で」
ダリヤは、振り向きもせズ搭乗口に消える。
僕は、ミユリさん達が待つカート置き場へ。
「テリィ様」
「何だょ」
「ダリヤちゃんは何か逝ってましたか?」
「え。あ、何か"きょにゅー"がどーしたとか…」
「ダリヤは、ママの死を契機にスーパーパワーに覚醒しました。彼女のパワーは"未来視"です」
「だょな?」
「ソレは、視覚に特化した未来予知能力で、他人の未来が見えてしまう…ダリヤちゃんは、未来の私の心を読みました」
「な、何だソレ?未来のミユリさんは何を考えてたの?」
「え。ソレはその、あのぉ、ホラ。ダリヤちゃんはテリィ様のメイドになりたがってたでしょ?」
「うん。でも、僕の推しはミユリさんだょ。どんな未来においても」
「…実は。ダリヤちゃんが未来の私の心を読んだ時、私には彼女の心が読めてしまったのです」
「え。ダリヤちゃんは何を…」
「"いつか巨乳になってテリィたんを推し変させる"」
「え。ミユリさん、そんなコトが心配なの?バカだな、あは、あはは」
と大笑いした…のは僕だけだw
ミユリさんの目は笑ってナイ←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
テリィを見ると
私はカラダが熱くなる
一瞬の眼差しが
長く甘い夜を約束する
テリィの眼差しはメッセージ
幼女の心を妖しく惑わす
オトナは口々に言う
先のコトは考えるなと
テリィは自分の道を逝く
恋は終わると彼は逝う
愛の廃人になるのはゴメンだと
幼女にとってやりにくい男
でも私には自信がある
テリィに2度と言わせない
廃人はゴメンだと言う言葉を
おしまい
今回は、海外ドラマでよくテーマとなる"拝金主義に陥ったエネルギー企業の破綻"を軸に、拝金主義者の新電力経営陣、その犠牲となりパワーに覚醒スル幼女、事件を追う警部や秋葉原防衛組織の司令官や天才学者、数々の秘密兵器などが登場しました。
さらに、TOをめぐる幼女とヒロインの葛藤や母とヲタクの微妙な関係などもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、第5次コロナ宣言下でパラリンピックを終えた秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




