依代学園高等部の新入生
「あー。終わった。色んな意味で終わった。」
ツツジの花が咲き始め、依代学園高等部では、毎年恒例の実力テストが行われている。世界史のテストの後、絶望感に満ちた声が一年生の教室に響いた。机に突っ伏している私の頭の上に何かを乗っけて遊んでいる蓮華が雑に返事を返す。
「世界史のテストそんなに酷かったの?」
「見た感じ40点くらいしか取れてない。全く手が動かなかった。」
「えっと赤点が35でしょ。今回補修は、40点からだから。補修確定圏内だね。残念!」
まぁなんと嬉しそうな、ニッコニッコである。こんな所がなければ、ただのゴスロリクール美少女なのに。ゆるゆる校則のお陰で完全に学校指定じゃない薄い紫のフリルシャツと黒いリボン。すみれ色の髪に霊属性の象徴である、こぼれ落ちそうな濃い紫の目。俗に言うお人形さんみたいとは、このことだ。
「そう言う蓮華は、どうなの?」
「どうなのって?ポケ○ンの厳選?」
「テストでしょ。テスト!話聞いてた。後あの害悪テッ○グヤ使うのやめてよ。」
「いつも通り。いい感じ」
手をピースにして、満面の笑みでこちらを見ている。こいつの努力がすごいことは、知っているけど相変わらずいつもどこで勉強してるんだよ。
「ギャプ履き違えた、ゴスロリ女のくせに。」
「あ?もう一回言ってみろ。」
「さーせん。」
完全に目がヤバかった。ハイライトが消えて、赤色の光が入った。人1人は、殺ってる顔してた。
「菜ノ花。次は、得意な化学だよ。頑張ってね。その理系科目と家庭科と体育しか出来ない呪いは、解けるよ。」
もう呪いであってくれ。全く文系で機能しない頭には、散々だ。興味がないことが覚えられないとか最悪だ。中等部は、赤点10回で退学、90点以上を2回取れば一回赤点が減ると言う特殊ルールがあったが、今回高等部になってこれが一回のテストで3回95点以上。赤点7回で退学になると強化されたのだ。今回初めての高等部のテストでギリギリをいつも生きているのだ。
「じゃ頑張って!」
人の不幸は、蜜の味とは、言うがその顔は、人としていかがなものか。先生が入ってきたので自分の席に戻っていく蓮華の背中をにらめつけた。