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陣内の推理

 陣内は「いや、マジで」と笑って、言葉を続けた。

「だからよー、むっちゃテキトーに読んでたから、いつの話なんか、ホンマにやったんか計画だけで終わったんかも覚えてないねんよ。

 ただ、相手の頭の右側を殴るために左手にハンマーって……なんか納得できるようなできへんような話やなぁって、気になってたのだけ覚えとってさ」

「なんで?」

「いやいやいやいや、そんなん失敗せえへんように殴るんやったら、やっぱり右手に持ったほうがエエやろ?

 相手の右側やってもよぉ」

「なるほどな」ボクは笑いながら感心する。


 そして、陣内は「平良、スマホをちょっと見せてくれへん?」と突然に言い出す。

 ボクは「え?ああ……」とスマホを渡す。

 陣内はスマホを見て「うーん……」と考えた後、「アルバム見てもええ?」と訊くので、ボクはロックを解除する。

「なんや、えらい画像が少なくないか?」と言う陣内。

「ウソっ!?」とボクも慌てて確認するけど、確かに少ない。

 ボクが男子ってことを差し引いても、少なすぎる気がする。

 ボクは写真を撮るのを嫌がるような硬派な男子でもない。

「ごめん、もう1回」と陣内はもう一度スマホを手に取ってアルバムを眺めていたけれど、小さく「問題は、科学か魔法かやな……」と呟いた。

 ボクが「え?」と訊き返すと、陣内は答えず「オレのスマホ見てくれ」とボクにスマホを返すついでに、自分のスマホをボクに手渡した。

 陣内や、クラスは違うけど今でも仲のいい赤城やガンちゃん、そして時々、矢吹や麻田も混じってどこかに遊びに行った時のものだろう画像がびっしりと収まっている。

 そして、たまに、ホントにまれにボクも混じっている画像もある。

 ボクは覚えていないけど。


「お前が混じってる画像もあるんやけどよぉ、正直、記憶が無いねん。

 つまり、“記憶”は無いけど“記録”は残ってんねん」

 ボクは、心の底から陣内に連絡をして良かったと思った。

 どこから手をつけたらいいのかもわからなかった途方もなく感じていた悩みが、どんどん輪郭を持っていく。

 陣内は続ける。

「お前のアルバムを見て思ってんけどよ、オレらには消された“記憶”があって、たぶん、それに絡んだ“記録”も消されてる。

 で、ホンマに単なるカンなんやけどさ、たぶん女のコが絡んどるんとちゃうか?」

 ボクは驚いて陣内の顔を見た。

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