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男塾な不審者(笑)

「そーいえば、今日、変なヤツおったぞ」陣内は言った。

 空気を変えたかったのかも知れない。

「変なヤツ?」

「おう、校門の向かいの道に立ってた」

 ボクらの高校には校門が2つあって、住んでる所の関係で、ボクと陣内は、それぞれ別々の校門から入る。

「変て、何が?」ボクは訊いた。

「全身、真っ白ッ!」

「真っ白!?」

「おお、ズボンも上着も真っ白よ。

 上着って、アレやで?

 ロングコートっちゅーか何ちゅーか、中華風って言えば中華風やけど、なんか昔の応援団の制服みたいなん」

「なんや『魁!!男塾』の敵キャラみたいなヤツやな」

「言いようが古いな」陣内は笑う。

「上品そうに澄まして登場する系の」ボクは畳み込む。

 的を射ていたみたいで、陣内は顔中を笑いにして、声も出さずにウンウンと頷く。

「で、いろいろあって、気がついたらいつの間にか味方になってるヤツな」で陣内はアッアッアッと息よりも発声系の、ノドで笑うタイプの笑い声をあげた。

 で、一拍おいて、今度は陣内が攻めに転じる。

「この季節やでっ!?」と声を裏返らせて間欠泉が小さく噴き上がるみたいにツッコミのセリフを言う。

 ボクは「おお、おお……」と笑う。

「今日なんかもうカンカンに晴れてるやんか?」と低く早口で言うといきなりトーンを変えて「っクァァァーッ!!って日差し強いのにそんなン立っててクァァァーッ!!って眩しいて、オレ、もう目に刺さるかと思うた」

 ボクらは笑う。

 で、陣内は不思議そうに「そいつがオレらの学校をジーっと見とんねん」と言う。

「汗だくで?」とボクが言う。

「汗だくやったんちゃうかなぁ」と陣内が言って、ボクらは笑った。


 陣内が真顔になった。

 鴉谷は来た。


 ボクは鴉谷が今日も登校したことに安堵して、胸の中に涼やかな風が小さく吹いた。

 鴉谷は並んで立つボクらを見て、「お?」という顔をする。

 陣内は背中で壁を押す反動で前に少し揺れて、小さく「敵なわけじゃないから落ち着けよ」とボクに言って、そのまま鴉谷にまっすぐ歩きながら大きく手を広げた。

「おお、おはよー鴉谷ァ!」

 精一杯に陽気に振る舞っているが腹の底から声が出てて不自然。

 マフィア映画のパーティー場面で、来客を歓迎するドンみたいだ。

「おお、おお……」と鴉谷は明らかに引いている。


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