第二十一話 引きずられる想い
放課後。
瑠璃は友達と駅に向かう道すがら思った。
(諒祐くん、どうしたんだろ……)
自分に責任があるみたいな言い方をしていた。
それに私にも、しっかりしないと呑み込まれるって。
………何に?
「瑠璃?大丈夫?」
「あ、うん……大丈夫」
ボーッとしている自分を見かねて、友達が顔を覗きこむ。
「もうすぐ列車が来るでしょ?私、もう行くから」
彼女とは反対のホームなので、駅に入ってから別れる。
彼女は私と東雲君のことを知っていたので、本当に心配そうな顔をしてくれた。
それが本当に嬉しかった。
そろそろ列車が来る頃だろう。そう思い線路の方をみやると、にわかに周囲がざわつき出した。
「なんか、あの列車おかしくね?」
「スピードが落ちてない……」
(え?)
「通過すんのかな?それにしては……」
キキーーッ、ドガァァン!!
「うわぁぁぁぁぁ!!」
周囲の叫び声をかき消すような爆音に驚き、その場に立ち尽くす瑠璃。
列車が横転した。煙がもうもうとしていて、周囲の状況が掴めない。車内の人は無事なのか。
目が痛い。
「けほ、けほっ」
「きゃぁぁ!!人、人が……」
「おい、早く救急車を……!!」
煙の中目を開けると、沢山の人が横転した車内に取り残され、血を流して倒れていた。
直視するのが怖い……
だけど。
瑠璃は線路に飛び降り、列車のドアを開けようと手をかける。
(誰か、まだ助けられる人がいるかもしれない……!!大切な人が亡くなって、誰かが私みたいに辛い思いをするのはイヤ!!)
「ーーーー!!」
誰かが私を呼んだような気がした。
と同時にあり得ない光景が目の前に広がった。
黒いローブを羽織り、鎌を持った何者かが空に浮いている。
フードから覗くその顔は。
金髪碧眼の、あの憂いを帯びた表情はーー
(東雲君……!?)
吸い寄せられるように彼の傍に近寄り、そしてーー
気が付くと、私は冥界と呼ばれる場所にいた。