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金色の箱庭  作者: たかまち ゆう


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第217話 大河原桜子-23

「和己さん。私が声を聞いていることは、誰にも言わないでいただけますか?」

「……もちろんです」


 こんなことは、誰かに話してはいけないだろう。

 美樹さんのような特殊な魔法については秘密にする決まりになっているらしいが、そうでなくても、この能力のことが知れ渡った時のリスクが大きすぎる。


 もしも、美樹さんに予知能力があることを知ったら、この町の住民はそれを前提に行動するようになるだろう。

 だが、本人にも誰の声か分からないような、謎の能力をアテにするのは危険だ。


 実際に、一ノ関や渡波は、もう少しで後遺症が残るリスクがあった。

 あらゆる被害を防げるわけではないということだ。


 それに、美樹さんは、この町にいない時がある。

 助けてもらえたら運が良かったと思うべきで、頼りにしてはいけない人だろう。


「美樹さんが声を聞いてることって、他に誰が知ってるんですか?」

「梅花様と雅さん、そして春華さんです」

「……」


 つまり、大河原先生ですら、美樹さんが声を聞いていることは知らないのか……!


 それほどの秘密を、俺なんかが聞いたとは……。

 この話は、墓場まで持って行こう……。



 美樹さんとの話が終わって、俺は大河原姉妹と会うことになった。


 色々なことがあったので、先生や桃花と会うのは緊張する。

 だが、美樹さんがいれば、俺が襲われるようなことはないだろう。


 美樹さんに連れられて、屋敷の中を歩く。

 リボンは着けていないが、美樹さんは、後ろ姿も宝積寺とそっくりだった。


「和己さん。これからご案内する、桜子さん達にお待ちいただいている部屋について、お伝えしておきたいことがあります」

「何ですか?」

「その部屋の隣には、お布団をご用意しておきました」

「どうして、そんな余計なことを……!?」

「和己さんと桜子さんが完全な仲直りをするためには、そういう形も良いのではないかと思いまして。桜子さんが教師でなくなって、無理強いされないのであれば、桜子さんを抱くことに抵抗はありませんよね?」

「……」


 美樹さんは、俺の日記を読んだ。

 つまり、俺の妄想を全部知っていて、性癖もバレバレということだ。


「でも、そんな用意をしたら、先生は期待して待ってますよね……?」

「ご安心ください。桜子さん達にはお伝えしておりませんので」

「……どれだけシミュレーションしても、実際に抱くとなると、結構ハードルが高いんですけど……」

「そこは、桜子さんの方が年上なのですから、リードを任せても良いのではないかと思います」

「……」


 この人……意外と、性的な話に抵抗がないんだな……。

 そうであったとしても、あまり余計なことに気を遣わないでほしいのだが……。



 美樹さんに案内された部屋に入ると、そこには、大河原先生と桃花が並んで座っていた。


 少し驚いた。

 先生が、授業中と同じ格好をしていたからだ。


「大変お待たせして申し訳ありません」

「いえ、お気になさらないでください。時間がかかることは分かっていましたから」

「お兄ちゃんが、変なことを質問しませんでしたか?」


 桃花が、こちらを白い目で見ながら言った。

 美樹さんのスリーサイズを聞いてしまったので、俺は思わず目を逸らしてしまう。


「いいえ。和己さんは、とても優しい方ですので」

「……良かったね、お兄ちゃん」


 美樹さんの人柄を知っているからなのか、桃花は俺のことを疑ったままだった。

 そんな桃花の頭を、先生が困った顔をしながら撫でる。


「桃花……貴方は、今は自分の心配をしないと……」

「……」

「桃花さんのことも大切ですが、まずは桜子さんと和己さんの問題を解決しましょう。私と桃花さんは席を外します」

「……お願いします」


 美樹さんに促されて、桃花は部屋から出て行った。

 俺は、先生と2人で部屋に残される。


 俺は、先生に向かい合うように座った。


「黒崎君、ごめんなさい……。まさか、梅花様が、貴方のスマホをあんなことのために使うだなんて……」

「いえ……この町の人間が、御三家に逆らえないことは理解しています。でも、花乃舞家の当主はどういうつもりなんでしょうか? 花乃舞と神無月が合併なんて……どちらかといえば、神無月の方にメリットがありそうですけど……?」

「私にも分からないわ。梅花様は賢い御方だから、私なんかには想像できないようなことをお考えなんでしょうけど……」


 先生はそう言ったが、花乃舞家の当主はまだ10歳である。

 ただ単に、神無月先輩の弱みを握れば、神無月の巨大勢力を屈服させられると思い込んでいるだけなのかもしれない。


 だが、神無月は人数の多い集団であり、各々の自由度が高い組織だ。

 一人一人の魔力量も多い。


 宝積寺や早見のような実力者がいて、白石先輩のような人気者も所属している。

 長町姉妹もいるし、外から来たのに莫大な魔力を保有している桐生だって神無月の人間だ。

 いくら花乃舞が少数精鋭でも、主導権を握るのは簡単ではないだろう。


 本当に、合併後はどうするつもりなのだろうか?


「もしも、花乃舞と神無月の合併が順調に進んだとしても……御倉沢との対立が深まったら、黒崎君は困るわよね……」

「……まあ、やっぱり、ますます裏切者っぽい扱いをされるでしょうね」

「黒崎君を支えるために、私にできることはさせてくれないかしら」

「……」


 俺は、1回、ゆっくりと呼吸した。


「先生……。先生は俺の日記を見たから、この際、包み隠さず話そうと思うんですけど……」

「いいわ。話して」

「俺……結局のところ、先生のおっぱいが好きなんです」

「……」

「もちろん、それ以外の部分だって好きなんですけど……どうしても、一番はそこから変わりません。だから、先生と別れて触れなくなることよりも、先生との関係を続けて触れることを選ぼうと思います」

「……そう。理由がどうであれ、嬉しいわ」

「でも、先生との関係がどれだけ良好でも、俺と桃花の関係には影響しません。だから、後で『騙された』とか言わないでくださいね?」

「……」

「それと、先生は、子供が2人は欲しいって言ってましたけど……俺にとって、先生との子作りの優先順位は低いです。なるべく、一ノ関や須賀川との関係を優先しようと思ってます」

「……」

「それでも許容してもらえるなら、先生と夫婦生活を送っても構いません」

「……分かったわ」


 意外なことに、先生は俺の提示した条件をあっさりと受け入れた。

 こういう条件が出されることを、ある程度は予想していたようだ。


 ゴネられなかったので、俺は安心した。

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