表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金色の箱庭  作者: たかまち ゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/287

第10話 黒崎和己-1

 伊原の話を聞いていて、何かがおかしい気がした。

 最初は、それが何なのかが分からなかったが……しばらく考えて答えが分かった。


 どうして、平沢のことは何も言わないのだろうか?


 伊原は、違うクラスの女子や、上級生や教師、おまけに、高校に併設されている中学校の女子の名前まで挙げていた。

 そこまで守備範囲が広いのであれば、性格が最悪な早見はともかくとして、平沢について何も言わないのは不自然だ。


 平沢は美人だし、スタイルだって、一ノ関や早見と比較すれば見劣りするものの、決して悪くないように見える。

 加えて、頭がいいし面倒見もいい。多少口うるさいところはあるが、理不尽なことを押し付けてくるわけではない。

 うちのクラスにいる男子ならば、最初に気になる人物であるはずだ。


 そんなことを考えながら、注意して伊原の話を聞いていると、あいつが名前を挙げる女子は偏っているような印象を受けた。

 うちのクラスの女子で、名前を挙げられたのは半分程度である。

 そして伊原は、俺が知っている女子の中では、北上の名前も挙げなかった。


 理由を直接尋ねても、伊原は誤魔化そうとするばかりだった。

 ならば、その法則性を突き止めてやろうと考えて、クラスの女子を観察したのである。

 そこを、一ノ関に見られてしまったのだろう。

 非常に迂闊だった、と言うべきである。



 ちなみに、俺の分析では……伊原は、スカートの短い女が好きなようだ。


 伊原が名前を挙げた、うちのクラスの女子は、皆がミニスカートだった。

 須賀川や蓮田も同様である。


 逆に、伊原が名前を挙げなかった平沢や北上や早見、そして宝積寺は、揃ってスカートが長めで、膝下まである。

 おそらく間違いないだろう。


 ひょっとしたら、伊原には、女の脚に対する、何らかのこだわりがあるのかもしれない。

 ただ、同程度のミニスカートを履いていても、名前を挙げられなかった女子が何人かいた。その理由までは分からなかったのだが……。



 それにしても、一ノ関にエロいことができる機会を逃すなど……俺は、なんて勿体ないことをしたんだろう。

 せめて、胸だけでも触っておけば……。


 寝る前に、そんなことを考えながら悶々としてしまった。



 翌朝になってから、宝積寺が、昨日のうちに訪ねてこなかったことに気付いた。

 謝罪に来るなどとメールに書いていたが、予定が長引いて、来られなかったのだろうか? 


 そんなことを考えながら、俺は、毎朝の日課になっている近況報告のメールを実家に送ろうとした。

 すると、宝積寺が今朝になってメールを1通送ってきていたことに気付き、文面を確認する。


『申し訳ありません。本日は、先に登校させていただきます』


 そこには、簡潔な言葉が書かれていた。


 ……ひょっとして、俺は避けられているのではないだろうか?

 そんなことを考えて、不安になってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ