第5話 師匠と弟子
「はーい、あと30分〜」
「はい!」
早朝から二人の声が森に響き渡っているがなにをしているかというとシーラが弟子になり俺が鍛えてやっている最中というわけだ。
「そこまで!少し休んでお昼にしようか」
「師匠!お昼は僕が作ります!」
正直なところ師匠になってよかったのかもしれない。シーラは男のくせに料理できるし、教えたことはちゃんとやるし、飲み込み早いし。1つダメなところをあげるとしたらこの世界の殆どの者に当てはまるが魔力の使い方についてなにも理解していないことくらいか。
「師匠、お昼ご飯出来ました。」
ほうほう、今日のお昼はドライムスライムのスープとマイルーメの刺身か〜。ドライムスライムは炎攻撃を得意とするスライムで、なかなかつよくマイルーメはマグロみたいな形なのだが動きが早くなかなか仕留めることができない。まあ、これらは俺が捕まえたんだけどね。
「シーラ、そろそろ筋トレの訓練はやめて、魔力について教えよう」
やはり、この世界でつよくなるには体を鍛えるのもいいし、自らの魔法を磨くのもいいが魔力についてしっかりと理解する必要がある。そしてこれを理解できずに魔法を使っているものがこの世の中では大半だ。
「まず、魔力について説明するが、魔力とは体の中に誰しもが持つ者であり簡単に言うと血液をイメージするとわかりやすい。体の中に血液と同様魔力が流れていてそれを自分でコントーロールする感じがつかめればより強力な魔法が撃てる。ちなみに、シーラが使うような魔法は魔法のコントロールではなく、強制的に魔力を押し出している感じだからなかなか、威力が出ない」
そして、この魔力のコントロールができるようになると武器に自分の魔力を纏わせて威力をあげることが出来るようになる。
「ということは、この魔力コントロールを完璧にこなせれば今よりももっと強くなれるということですね!!」
「まあ、そんなとこだ。ということで今から魔力コントロールの練習やっぞ!」
「はい!!」
そんなこんなで昼飯を食べてから夜まで訓練は続いた。
「疲れたーーーー。し〜しょ〜、もう動けません〜」
まあ、6時間もぶっ続けでやってればそうもなるだろう。しかし、シーラの能力は相変わらず高く覚えたことは基本的にできるようになっていく!
「俺なんて魔力コントロールに慣れるのに1年かかったって言うのに....」
「なんか言いました?師匠?」
「なんでもない!さっさと飯食って明日に備えるぞ!」
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その頃、ガルデガルド王国冒険者ギルドでは、シーラが深淵の森に行ったということで大きな騒ぎが起きていた。
「テメェが、あのガキを深淵の森に行かせたって聞いたんだが。あん?」
大きな声で冒険者にシーラのことを聞いているのはこのギルドのマスター、カルテルだ。
「ち、違う!!俺はあんなガキが冒険者になるなど到底無理だ。まあ、深淵の森にでも行けたら認めてやらんこともないって言っただけで別に行けなんて....,」
「ばかもん!!」
カルテルの腕が男の頭を掴み机に叩きつけた。このギルドマスター今ではギルド内で書類に追われるおじさんだが昔はSランクにまで上り詰めた冒険者なのだ。
「すぐにでも深淵の森に向かう!報酬はこいつらの有り金全てを山分けだ!参加したい奴はついてこい!」
カルテルの言葉に続いて多くのものが声を荒げた。
「生きていてくれ坊主、今助けに行く」
いやーここ2ヶ月ほど丸一日休みと言うのが無くとても辛いですね(笑)
はやく、お布団戻りたいです