表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

EP.1-3

「さあ、早くこんな辛気くさい所から出ましょ。」


シアが破壊してくれた鉄格子の扉から外にでる。

正直、狭苦しい部屋から出ると気が楽だ。

ふと見渡してみる。他にも鉄格子の部屋があるみたいだ。


まさか、俺以外にも捕まってる人がいる?

そんな不安が頭をよぎった。そう思い隣の部屋を覗く。




部屋の中は誰もいなかった。

しかし、部屋の壁には赤黒い絵の具をぶち撒けたように赤かった。まるで遊園地のお化け屋敷の中で使っている部屋のように。その赤い絵の具は人の血だと思う。俺はその光景を見て自分はただ立ちつくしていた。


「何をしてるの?早くいくよ!!」

その一言で我に返り、この異質な部屋から出て行く。

まるで早くこの状況から逃げ出したいみたいに。



そこからはただ走った。目の前にはシアが走ってる。

違う部屋からは金属音や銃声みたいな音が聞こえていた。映画やTVみたいな状況が今、自分の目の前で起こっている。下手したら自分が死ぬかもしれない。そんな不安を抱えながら。


「キール達が突入したかな。暴れてくれって言ってたけど、ほとんどあっちに行ってくれたみたい。君、大丈夫?」

彼女は走りながら、質問してきた。

「きついけど…大丈夫です…」


自分は運動神経は普通だと思ってた。だけど目の前で走ってる彼女は早い。

早い上に息をあまり切らしていない。

(自分と同じくらいの年なのに体力が凄い…)

と思ってしまった。


「ちょっと待った。」

その一言で足を止める。

「誰かいる…」

彼女はそう言い、拳銃を取り出す。



「おい!この支部は破棄だ!資料を全部持って逃げるぞ!」

どうやら部屋の向こう側にはあの白衣の男の仲間がいるらしい。

「後ろを見てて…私が先に入るから。」

「わかりました。」

返事を聞くと彼女は部屋に入る。


「!?」

男達は驚いたような声を出す。

そういって銃を構える瞬間、シアはすでに引き金を引いていた。ポップコーンが弾けた音のような銃声が2回聞こえた時、男達は赤い血を流しながら倒れた。


「入ってきていいよ。」

そう言われたので部屋に入る。

俺は質問した。

「この人達は…死んでるんですか?」

彼女は答える。

「急所を当てたから多分…投降したら撃つつもりなかったけどね…」


目の前に血を流している人が倒れている。正直、目を背けようとした。だって数秒前まで普通に話している人間だったのだから。見たくない。それが普通の感情だと俺は思った。

だが見てしまった。人だったものが()()()()()()()()いくところを。


「え…?」

俺は驚いた。いや、驚かない方がおかしい!人間は死んだら死体が残るじゃないか!まるでRPGのゲームの敵が死んで体が消えるように死体が消滅した。


「死んだ…みたいね。」

彼女はそう呟いた。

「死体が…消えた…」

知らない間に俺は呟いてた。


「人間が死んだら、死体は残らないでしょ?もしかしたらそっちの世界じゃ違うの?」

シアはそう答えた。

「え?あ、はい…」

「そっか。なら驚くよね。よし、出口に進むよ。」


そう言いつつ、彼女は出口に向かおうとする。

俺は死体があった場所を見ていた。死体はない。残っていたのは血痕だけだった。




そのあとはただ進んだ。ただ真っ直ぐに。途中で何人かあのムカつく白衣の仲間に出会った。

しかし、全員が銃を所持していたが、引き金を引く前に倒れていった。いや消えた方が正しい。

相手が構えて撃つよりも、シアが引き金を引く方が早かった。ただそれだけのことだった。

俺はその光景をただ見ていることしか出来ない。

でも、一般人で素人の俺でも見ればわかる。

シアは銃を使い慣れているのだ。西部劇のガンマンみたいな早撃ちでは無く、ただ構えて撃っている。

判断力の違い。まさに経験の違いって奴だと思う。


「ホント素人ばっかり。素直に投降すればいいのに…」

と彼女は呟いた。




「よし、ここが出口。もうすぐだから頑張って!」


彼女はそう言ってドアを開ける。

ここまで走ってきたし、この現実味のない状況で俺は疲れきっていた。

俺はやっとこの状況から終わったと思い、ドアの向こう側の風景を見た。


そこには銃を持った男達が立っていた。

気づいた時は相手が此方に向かい銃を構えている。


「しまっ…」


シアがそう叫んだ瞬間、一発の弾丸が飛んできた。

それが俺に命中し、俺の体から赤い液体が吹き出る。

そして俺は倒れ、暗い闇に飲まれていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ