EP1-2
正直長い時間考えていた。
あの頭のイカれた男がこの部屋に来て数時間たったのかもしれない。
まだこの状況が現実だと思いたくないし、これは悪い夢と思っていた。
もうすぐしたら目が覚めて
いつものベットから起きて
いつもどおりに学校に行かなきゃと思い
そして日常を送る。
だから早くこの悪夢から覚めろ。
ずっとそう考えてた。
長い時間ずっと。
ガチャ
ドアが開く音がした。
「えーと、この部屋のはずなんだけど…」
女性の声が聞こえた。
さっきのイカれた男の仲間だと思って顔をあげた…
年齢的には俺と同じくらいの女性が立っていた。
髪は長い金髪、目は青色。
正直モデルかなと思うくらい美人だった。
ただあのあのイカれた男とは違い白衣ではなく、
白い学生服みたいな衣装着ている。
女性が口を開いた。
「気分は…良くないよね…とりあえず静かにして。
私は貴方を助けにきたから。」
「え?」
今なんていった?
助けにきた?
「とりあえず鍵はないから。ぶち破るしかないんだけど、バレるから状況を話してから出してあげるね。」
「あ、はい。わかりました。」
何故か釣られて小さい声で答えしまう。
「とりあえず時間ないから手短かに話すね。私はここの人間じゃないからさっき見た資料を分析して話すから。」
「了解です。」
「まずは自己紹介ね。私はシア。シア・カートライト。貴方は?」
「研人。直谷研人です。」
「ケントね。じゃあまず貴方は今置かれた状況から話すね。貴方は何かの事故、もしくは何かの方法で私達の世界に来てしまったと思うの。」
「はっ…」
大きい声が出そうになった。
この人が言ってることがホントなら俺は異世界に来たってこと?
「ちょっと待ってください。なら俺は別の世界から来ちゃったってことですか?」
「私も信じられないけど資料見た限りそうだと思う。
そして不幸にもここの連中に拾われて、心臓を入れ替えられた。悪魔の心臓をね。」
「………」
人間が突拍子のない事を言われると何も反応できないんだなと身を持って知った。
ゲームと漫画でよくある設定なのだが、いざ自分が体験してみると思考回路が完全に止まってしまった。
「貴方、本当についてないわね…(ため息)」
何故か俺を同情してくれた。
「とにかく、ここから出たら詳しく話すからちょっと待って。」
と言って虹色の石を取り出した。
宝石みたいに輝いていて凄く綺麗。
「通話。接続。」
そう言うとその石は光りだし、少し宙に浮いた。
「え!?なにそのてじ…」
「ごめん。ちょっと静かにして。キール聞こえる?」
キール?いきなりこの人、何言ってんの?
「聞こえる。生存者はいたか?」
どこからか声がした。
周囲を見渡すけど誰もいない。
「まともな人は1人だけ。あとは多分…」
「そうか…なら俺達の部隊は2分後に正面から突入する。だから中から派手に暴れてくれ。」
「わかった。」
その会話が終わるとはもと虹色の石に戻っていた。
声はどうやら石から聞こえてたらしい…
「連絡は終わったから扉をぶち破るね。少し離れて。」
そう言うと彼女は腰から拳銃を取り出した。
ゲームやモデルガンに比べると少し大きい。
黒く光った拳銃だ。
「これちょっと硬いかも…。エンチャントするか。」
そう言って銃を構える。
「属性付与。炸裂弾。」
そういって彼女は銃の引き金を引いた。
そして扉に弾丸が当たったと思ったら扉が吹き飛んだ。
まるで爆弾が爆発したみたいに。
「怪我はない?」
「とりあえず…無事」
「よし、なら離れないでついて来て!」
そして、俺は部屋の外を出た。
どうやら訳の分からない状況は続くらしい…
ある意味、現実味がないこの状況が…