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EP.1-1

―こいつが俺の新しい体かよ―


頭に声が響いた。

男性みたいな声なのはわかる…

まるでラジオにノイズが走ったような声


―今回は当たりみたいだな―


声は淡々と話す。


―こいつとは相性が合いそうだ―


正直五月蝿い…


―初めまして、新しい俺―


最後の一言だけはノイズがなくなって聞こえた。

とても聞き慣れた声。

テレビのアナウンサーや両親より聞き慣れた声。








()()()()!!










「うわっああああ!」


そして俺は我に返ったように目を開けた。

どうやら凄く嫌な夢を見た…


まるで頭の中に違う誰かが入ってきたような夢。

パソコンにはソフトをインストールして新しいことが出来るようになる。でも人間にはそんな事出来ない。

気持ち悪い。素直にそう思えるくらい。


汗も出てる。まるで風邪で凄い熱が出でるみたいに。

あれは夢だと自分に言い聞かせたいように周りを見た。

どうやら悪い夢は続いているらしい…

本来ならここは自分の部屋で起きているはず。

俺は知らない部屋で目を覚ました。




「ここはどこだ?」


自分がどこにいるのかを再確認する為に声を出して確認する。

正直自分が見知った部屋ではないことはわかる。

自宅でなければ、実家でもない。

そもそもこんな部屋は自分は見たことがない。

見たことある部屋を言えって言われたら、病室に近い白い部屋。

でも…俺の知ってる病室はこんなものは付いていないはずだ。そう。鉄格子なんか…まるで動物園の檻の中のライオンみたいに。俺は檻に入れらている。



ガチャ

ドアの開ける音が聞こえた。


コツコツ


足音が聞こえる。

此方に近づいてきている。この足音を立てている奴が俺を檻に入れた犯人なのだろうか。それとも…


そして、白衣を着た男が檻の前で立ち止まった。

年齢は俺より年上だろう。多分30歳くらいだろうか…

しかし、医者とは思えなかった。理由はわからない…

何故かその男が不審に思った。

男は俺を観察するように見ている。まるで俺の身体に異常がないかと確認をしているようだった。

男はニヤリと笑い淡々と口を開いた。



「拒絶反応はないみたいだな…おはよう。気分はどうかな?」


俺は警戒しながら質問を返す。


「檻に入れられて気分が良い訳ないじゃないですか!?。これはドッキリや冗談ですか?だとしても度が過ぎてます!」

「冗談?君はこんな状況を冗談で済ませるほどバカな頭なのかね?まぁそんな頭ならある意味、説得しやすいがね。」


男は馬鹿にしたように質問に答える。

どうやら俺を檻に入れた犯人はこいつらしい。


「ぶざけないでください!なんでこんな事をしたんですか!?説明してください!」

「実は君の身体である実験をした。実験を無事成功したみたいらしい。まぁ実験の内容は言えないがな。」


実験?勝手に()()()()()()()()ってことなのか?


「実験ってなんですか!?俺の体に何かしたってことですか!警察に通報します。いいから早くここから出してください!」

男は疑問を浮かべた表情をした。

「警察?なんだそれは?まぁいい。君はここから出す訳にはいかない。そもそもなんで檻に入れたと思う?

君が危険だからだよ。」


どうやらこいつの頭はイかれてるらしい。

そして俺は何か犯罪に巻き込まれたということがわかった。

そう思うとこいつに対して怒りが湧いてきた。

「いいから早く出せ!じゃないとマジで警察に…」


男は研人が入れられている檻の鉄格子を蹴った。

「おまえさぁ?そろそろ状況を把握したらどうだ?

どっちが主導権を握ってるかわかるか?檻に入れられた犬かおまえは。キャンキャンうるさいんだよ。」


男の雰囲気が変わった。

眉間にシワを寄せ、血管が浮き出てそうな表情をしている。

そして話を続ける。


「いいか?おまえはただの実験体としてここに送られてきた。おまえはただの実験動物と変わらないんだよ。」


最初に思った不審感の正体がわかった。

こいつは俺の事を人間として見ていないんだ。


男は一呼吸を置いて、元のニヤついた表情に戻った。

「まぁいい。君は運がいい。実験は今のところは成功みたいだからな。少し頭を冷やすといい…君の態度も変わるだろうしな。」

そう言うと男はドアに向かって歩き出した。


俺はなんでこんな事になった?

朝起きて大学に向かって…

そこから記憶が途切れる。

記憶が途切れて何時間たった?

ここはどこ?

あの男は何者?

俺の体は一体、何をされた?

やばい。

訳がわからなくなってきた。


研人は頭を抱えた。




コツコツと聞こえる足音が自分の日常から離れていくような気がした。

そして、ドアを閉める音がする。

その音が自分の人生が壊れたような音だと思ってしまった。

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