神の運命
起きると、俺は牢屋に入れられていた。手足は拘束され、動くことすら困難だ。それに、かなりきつく縛っているのか手首が痛い。
「もう朝か?」
ひとりポツンとそう言う。
「朝ですよ」
「誰だおめぇ」
俺がそう言うと、そいつはふふっと笑った。
「朝比奈と申します。今川様のお近くでお仕事をさせてもらっとります」
朝比奈か。きいたことねぇな。兄さん、助けに来てくれるかな?俺は、生きて帰れるかな?
「なぁ、この鍵とってくれよ」
「馬鹿言わんといた方がええですよ。私はいつでも貴方様を殺せますからね」
「お前に俺は殺せるはずがない」
俺がそう言うと、朝比奈は疑念の声をあげる。
「だって俺は、神様なわけだろ?誰にも殺せやしないさ、神の俺のことは……」
朝比奈は眉にしわをよせる。
「阿呆を言わんといて下さいな。どうやっても、誰も神様にはなれやしないですよ」
朝比奈は俺を下にみているのか。いつか後悔するぞこいつは。
「俺の母はキリストで、父は閻魔大王だ」
なんとなく偉大なやつをいれてみたが、この組み合わせも中々いい。
「お前は織田より馬鹿らしいですね。キリストは男ですよ」
あれ、待てよ。この時代ってまだ、キリストが伝わっているのか?俺、馬鹿だからわかんねぇんだけど。
「じゃあ、母がマリア様で、父がキリストだな。息子が閻魔大王だ」
な、なんか家族構成が酷いくらいにカオスになってきたのは気の所為だろうか。いや、違うだろう。明らかに、どうみてもこれはおかしいぞ。時代も、系統も全然違うじゃんかよ。
「頭大丈夫ですかね。俺はもう出ていくんでゆっくりして」
そう言うと、朝比奈は去っていった。
「はぁ、なんで俺、転生されたんだろ」
俺は笑いながら言う。だって、そうだろ?こんなファンタスティックな出来事、起こりやしないさ。普通はな、神だから選ばれたのかな。やはり俺は、皆とは違うなにかを持っていたのか。
「神の運命ってやつか」
お兄ちゃんは、はたして迎えにきてくれるのだろうか?あんなのきいちまったら、来てくれるかどうか。わかんねぇよ。
「罪な男だぜ、俺は……」
もう死んじまうのかな、俺。まだファーストキスもしてないのに。




