明智光秀という人間
「兄さん……」
布団に入って、布団を口元まで被った。
「どうした?」
俺は兄さんの方を向くが、兄さんは俺に背中をみせている。
「兄さんは、戦いにでるだろ?死ぬ可能性はあるのか?」
暫く間があく。
「……あるよ。そりゃあ、戦争だらかね。リスクがあって当然。それに、あの今川義元だ。生きる確率より、死ぬ確率が断然高い」
「生きて帰ってこいよ」
兄さんは、それに返事はしてくれなかった。
朝起きると、兄さんはそこにいなかった。他の部屋もみにいったが、家康も、秀吉も、誰もいなかった。
光秀「おはよう真琴」
後ろから声がした。
「光秀……兄さんは?みんなは?」
信玄「俺達は、真琴を見守るようにとここに残った。今ここにいるのは、家臣以外で俺と光秀だけ」
光秀「信長殿は、近くの道場で剣術を極めておられる。他のやつもそうだ」
「へぇ……」
光秀「お前…本当に信長殿に気に入られてるんだな」
「は?」
なんだよ、急に。まるで、妬むようにきいてきやがった。
光秀「剣術の腕はあの中では1番であろう俺と、信長殿のことをとても信用している信玄をここに残すとはね」
心配してくれているのか、兄さんは。自分が死ぬかもしれないのに。
「俺も剣術極めたいなぁ。光秀、教えてくれない?」
光秀「はぁ、しょうがない。いいだろう」
兄さんが頑張ってるのに、俺が頑張らなくてどうすんだってんだ。
「いよいよ、俺の真の力を出すときだな……」
信玄「真の力?」
「うん。俺の、本当の力だ!」
三成「やはり、信長様の太刀筋は綺麗ですね」
信長「ありがとうな」
家康「それにしても、信長が弟を欲しがるなんてな」
信長「ははっ!いいじゃないか、俺だって弟くらい欲しいわ!」
家康「変わったな、信長……」
「どお?!」
剣を振って数時間。疲れる一方なんだけれど。
光秀「真琴、剣筋がいいな」
こんなんで上達すんのかよ。疲れたし、もう休みたい。
光秀「疲れたから休むのか?そんなに戦場は優しくないぞ。それに、こんなんで上達するというか、上達している。気が付かないだけだ」
流石、心が読めるんですね。もう、あの人の悪口とか言わないようにしよう。
光秀「実践するのはもう少し先だ」
そう言うと、光秀は部屋に戻っていってしまった。
「信玄は、戻らないの?」
信玄「あなたは人質になりやすい立場にあります。今川達が狙ってくるかもしれやせん。だから、私が見守ってないと行けんのですよ」
「そっか……ありがとう」
信玄「私は、あなたみたいな人も好きですよ」
……そっか。こいつ、男好きなんだったわ。
信玄「でも、あなたを襲ったりしたら、切腹ですね。いや、これは信長様に斬られますね。だから、襲いたくても襲えません」
あれ、最後にハートマークついたぞ。それに、これもろ下ネタだろ。大丈夫かこれ。
そろそろ日が暮れてきたな。兄さんももうすぐ帰ってくるかな?
信玄「真琴、風呂に入ってくるといい。今日、真琴はとっても頑張ったからな」
信玄も一緒に入ってくるんだろうね。
「信玄、兄さんがもし死んだらどうなるの?」
信玄「まだ信長様は若い。これからだ、だけどね、今の時代、いつ死んでもおかしくない。もしも、死んでしまったら次は秀吉だろうな」
そうか、信長の次は秀吉か。ここは歴史通りだな。
「光秀はさ、兄さんのこと、嫌ってたりするの?」
信玄「どうだろうな。あいつの考えていることはいつもわからない。だけどな、あいつは信長の右腕だ……」
「え?」
信玄「あいつは誰よりも信長様のことを信用信頼している。そして今も、信長様にとって誰よりもなによりも大切なものとなった、貴方様を、守ろうとしている……!」
「大切なもの……?」
信長にとって誰よりもなによりも大切なものが、俺なのか?
信玄「つまり、明智光秀は、すべてを信長様に捧げた武将です」
光秀は……そんなやつだったのか?でも、歴史上で、織田信長は明智光秀によって殺された……。これからなにかが、変わっていくのか?
光秀は、自分の部屋の外で酒を飲んでいた。
光秀「あれまぁ、こりゃ、毒を盛られましたわ。一体、誰でしょうねぇ、体に力が入りませんわ」
?「俺だ……お前とはまだ戦いたくはないんでね」
光秀の目の前に、謎の男が現れた。
光秀「あんただったか」
その男は、光秀の横を通り過ぎて中へ入っていった。
光秀「俺は……守れんです。すみません、信長殿。やっぱり、弱ぇですわ、俺は。守れんです、守れんです……申し訳ございません……」
バタンッ




