旅行
翌日、俺が起きると横に兄さんはいなかった。
「なんでだろう、落ち着く」
起きて隣に織田信長がいるというなんとも言えない状況にあった俺だが、今日は普通の朝を迎えられたようだ。
ブスッ
音を立てて、俺の部屋の障子に剣が突き刺さった。
「え?」
やはり、ここに居る限り俺に普通の朝は迎えられないようだ。
誰かの剣が見事に障子を破いている。これはこれは、帰ったら兄さんが怒りそうだ。
ピシャンッ
入ってきたのは、家康。もしかして、この剣も家康のか?
家康「わざとじゃない。手が滑ってこうなっただけだ」
そう言うと剣を障子から引き抜いて、剣を収める。
家康「お前今日から剣の稽古をつけてもらうのだろう?こういうことは良くあるから避けられるようにしておけ」
そう言ってニコッと口角を上げた家康。いやいや、余計に怖い。なんとも悪意がある。良くあるって、あっちゃいけなくない?こんなこと。こんなこと良くあったら兄さんの首吹っ飛んでるわ阿呆。
「家康、笑顔が素敵だよ」
家康「気持ち悪」
そう一言毒を、毒を吐いて、もう一度いう。毒を吐いて、俺の部屋から立ち去った。
「家康って本当に冷血で、短気だよなぁ」
ブスッ
俺がそういった直後、直後に剣が再び障子を突き抜けてきた。
今の、わざとじゃなかったらやばいだろ。絶対わざとだろこれ。
家康「殺すぞ。次はお前の心臓狙うからな」
狂気のオーラを身にまとった家康がそう言った。お前、なんかさ、教科書で習った家康と全然違うよな。教科書で習った家康は、気が長くてそれなりに心が広いはずなんだけど。
「すみません……」
三成「真琴さんおはようございます」
「お、おはよう」
信玄「おはよう空から舞い降りた王子様」
「な、なんですかそれ」
信玄「真琴が信長の弟になる前の夜に空から真琴が降りてくる夢をみたんだ!」
知らねぇわそんなこと。こいつ、あ、すみません。信玄、お前は……俺よりイタイ。イッタイよぉ信玄さん。
信玄「君は、きっと神様からの、贈り物だ!」
「それは間違ってないね」
俺は即答する。
「あれ待って。俺、神様だから。神様(俺)が、人間の様子見に降りてきたんだ。贈り物と言うのは少し違うよ」
俺は片手を天に向ける。
秀吉「あぁ!そうだったのか!」
秀吉は納得したように手を叩く。
家康「馬鹿。そんなわけないだろ。はぁ……朝から、自惚れしてるやつと、自分神様だと思ってる奴と、馬鹿に構わないと行けないなんて」
「俺も行きたかったな、旅行……」
三成「行かない方がいいですよ。信長様は有名なお方にございます。夜襲や人斬りにあう恐れがあります。それに、暗殺があるかもしれません。もし、その場に居合わせたら、真琴さんも殺されてしまいますよ」
「それはいやだ」
はい、即答です。俺は神様だから死ねねぇけど、だけど、血を見たくはないんだ。俺が望んでいるのはただひとつ……平和、だ、ふっ。よし決まった!
幸村「おはようみんな!今日から剣術修行だ真琴!」
あ、また空気を壊しにきたな幸村。お前ってやつは、本当に空気を壊すのが上手だな。




