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第2話 侍女

 この者たちには本当に申し訳ないと思っている。

 だが、勇者を召喚しなければこの国は、いや世界は滅んでしまうかもしれない。

 先日、誰かが魔王を解き放ったのだ。

 歴史に類を見ない最強の魔王、サフィニアを。


「武器をしまえ」


「しかし!」


「良いと言っている」


「わ、わかりました」


 こちらから呼び出しておいて、武器を向けるとは何事だ。

 騎士団長の忠義は誰よりも厚い。だからこそ、彼らの無礼な態度を許せないのだろう。


「楽にせい」


 勇者たちはまだ落ち着きを見せない。

 ……いや、一人だけ妙に落ち着いている者がいるな。


「はぁ……」


 そんな時、落ち着いておった者が深い溜息を吐いた。

 そしてその双眸で私を見据えている。

 背筋がぶるりと震えるのがわかった。

 此奴はヤバイ。下手をすると騎士団長より強い、と。


 国王様は甘い。

 しかし、この者たちは本当に勇者たり得るのか?

 見た感じではさして強くなさそうだ。


「なんだよ、つーか誰だよあんた」


 溜息を吐いた妙な奴に、黒の服を纏う少年が突っかかった。

 おそらく、バカにされたとでも思ったのだろう。

 あの者だけ5人の中で浮いている感じがすることから、また別のところでは来たのだろうか。

 来ている服も黒の服ではないし。


「いや、なんでもない。気にせず喚き散らしてもらって構わない」


 これは明らかな挑発。

 少年と少女たちがわなわなと震え、その怒りを瞳に宿した。


「てめぇ!ふざけんな!」


 少年が妙な奴に殴りかかったが、それを一睨みするだけで抑えた。

 あいつは何者だ?


 クッソ、こいつバカにしやがって。

 なんだよ、落ち着きすぎだろ。俺たちの反応が普通に決まってるだろ。

 そんなゴミを見るような目でこっちを見るな!


「ここはリーデルハイト王国で相違ないか?」


 なんだ、こいつ。

 そんな国聞いたことねぇぞ?頭でもパンクしたのか?

 だけど、俺が思ったのと周りの奴らが思ったことは別だったらしい。


「な、何故知っている!」


 俺たちに武器を向けた奴が明らかに狼狽している。

 ふっ、ざまぁみろ。


「で、合っているのか、間違っているのか?」


 意味のわからない質問だ。

 玉座のようなところに座っている男が厳しい目つきに変わって口を開く。


「……その通りだ。しかし、異世界には我らのことを知る機会でもあるのか?」


「さぁね」


 こいつだけ妙に納得しやがって、許せない。

 絶対、ぶん殴ってやる。


 おーおー、怖い怖い。

 少年よ、大志を抱け。

 まぁ、俺が挑発したのも悪いんだろうが、それにしたって睨みつけすぎだ。

 ただ予想通りと言うべきか、この謁見の間には見覚えがあったからな。

 俺が僅か3ヶ月前に国王に礼を言われ送り返してもらった地でもある。


「……予定が少し狂いはしたが、説明は明日にしよう。夕食と部屋を用意させている。疲れを取って、明日からのことに備えてほしい」


 国王がそう言って俺たちに一人ずつ侍女を付けた。

 というか、何故国王が変わってるんだ。それに俺がまた召喚されたのはどういうわけだ?

 しかし好都合でもある。

 あれだけ帰りたいと思っていた地球だが、俺が帰ったらニートになっていた。

 親には見放されていたし、警察に少しだけ事情聴取を受けたり、と。だから、俺はサフィニアが解き放たれたことが少しだけ嬉しい。

 この世界でなら、サフィニアを除けば一番強いだろうし、無職ニートだった地球とは違いこの世界には探索組合や傭兵組合というものがあり、金を稼ぐことは容易にできる。


「私のことはリスレイとお呼びください。勇者様」


 どうやらこのリスレイが俺の侍女になるらしい。

 赤毛の髪を肩辺りまで伸ばし、キツイ印象を出していると思えば目つきは優しい。身長は俺よりもだいぶ下だな。

 俺が180センチあるのに対してこいつは150そこらだろう。


「少しの間だが、よろしく頼むぞ」


「はい」


 リスレイの後を付いて行き、俺は与えられた自室に来ている。

 あの頃と特に変わらないな。城はそう簡単に改築出来ないだろうから仕方ないか。


「こちらに服が入っていて、こちらがタオルなどがあります。浴場はこちらをお使いください」


 ベッドとタンスと風呂、それから机か。


「あの扉はなんだ?」


「そちらは私が控える部屋となります」


 なるほど、そういうことか。

 だいたい分かったことだし、そろそろ飯でも食いに行くか。


 勇者様の名前はユキトと言うらしい。

 このユキト様は他と違って、この国のことを知っているように感じた。

 だからか、国王様から密命を受けている。


「あの勇者の素性を調べよ」


 そんなの出来っこないのに。

 一介の侍女にどこまで求めているのだろうか?

 とにかく、ユキト様は夕食を所望された。あの殺気を浴びたくない一心で食堂までご案内する。


「うまいな」


 ほっ……よかった。

 勇者様方の世界のものとは違う食事だろうから、内心ドキドキしていた。

 だけど杞憂で済んで本当によかったと思っている。


「よし、戻るか」


 ユキト様が立ち上がる。他の勇者様はまだ食堂にすら来ていない。

 ということは、何か揉めているのだろう。

 そう考えると、ユキト様につかされたのは運がよかったと思うべきかもしれない。


「風呂に入る」


 どうやら入浴されるらしい。

 私は奉仕用の濡れてもいい服に着替えてから浴場に入る。

 ……凄い。

 これだけ大きな浴場が各部屋にあるのかと思うと、私の実家である男爵家の何と規模の小さいことか。

 みればユキト様も若干戸惑いを露わにしている。


「ってか、なんでお前が居るんだ?」


 何故、申されましても。

 私たち勇者様専属侍女にはこうしたお世話や下のお世話までしなくてはならないことになっている。

 それを伝えると、そうか、と呟いた。

 あまり興味はないのだろうか。

 それはそれで、少し自信を失ってしまう。


 リスレイは何を言い出すんだ……そんな可愛い容姿でそんなことを言われては、我慢できなくなってしまう。

 今夜、ベッドに誘おう。

 病気やなんかは魔法で無効化すればいいだろうし、特に問題も見当たらない。

 強いて言えば、妊娠だけは防ぐことが出来ないということか。

 魔法で避妊はできないから、それだけには注意しなくてはならない。


「リスレイ」


「はい。なんでしょう?ユキト様」


 リスレイが近寄ってきた。

 そのままリスレイの手を引き、彼女に覆い被さる。


「え、えと……」


 リスレイは戸惑っているようだ。

 だが、お前がそういうことも仕事の一つだと言ったのだから、拒否出来ないはずだ。


「は、初めてですので、優しくお願いします……」


 消え失せそうな声だ。

 顔も真っ赤になって若干俯いている。

 俺は彼女にキスをして、その後滅茶苦茶に犯してやった。

魔王サイドは○.5話とする予定です

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