プロローグ
この世界の頂点に立つ。それがおれの昔の夢だった。今思えばばかげた夢だと思うが、その頃の私はできると信じていた。 俺は人よりもはるかに魔術に長けていて、召喚獣だけで軍隊をつくれるほどだった。
圧倒的な力で様々な国を侵略、支配していったが、最終的には失敗に終わった。 裏切られたのだ。
自分の召喚獣たちに。 当たり前のことだったのかもしれない。 戦争のたびに弱い召喚獣たちを壁として使い、千や万を超える召喚獣たちを殺してきたのだ。
一部の強力な召喚獣たちに止められ、咎められたりもしたが、俺は無視して壁として使いつづけた。結果、自分たちの使役する召喚獣に裏切られ殺された。
殺されるとき、俺は思った。「もし、次があるなら、召喚獣たちと仲良くしたい」
今更だと思った。酷い扱いをしたのに、もう一度やり直したいなど・・・
目が覚めた時、俺は真っ白な部屋にいた。
(・・・ここはどこだ? 俺は死んだはずなのに)
真っ白な部屋には、机といす。そして何か書かれた紙と羽ペンが置いてあった。
紙には、「あなたは死にました。最後にあなたの願いをお聞かせください。」と、書かれていた。
死んでいるのに、願いなど聞いてどうするのだと思ったが、とりあえず俺は書いてみることにした。
(今度生き返ったときは、召喚獣と仲良くしたいっと。 ま、どうせ叶うこともないだろうけどな。)
すると、今度は「では、もし生き返ったとき召喚獣たちを傷つけないと誓いますか?」
と返ってきたので、私は はい とだけ書いた。
すると、紙には「願を受理しました」と書かれていた。
その瞬間、俺の目の前は真っ白になり・・・
次に目が覚めた時は、普通の天井が見えた。
(今度はどこだよ・・・)
「お母さん、生まれました。元気な男の子の赤ちゃんですよ」
(生まれた? ここは教会か何かなのか?)
俺は周りの様子を見ようとして、体を起こそうおした。
しかしどれだけ力を入れても、体は思うように動かない。
そのとき、俺は見てしまった。
俺の手がものすごく小さいのを。
(な、なんでだぁぁぁぁぁぁぁ!)
俺の体は赤ん坊になっていたのだ。
(おおぅ、本当に生き返ったのか・・・ まずはステータスでも確認するか)
ステータスとはこの世の能力値のことで、4つに分けられる。
一つ目は、攻撃力、防御力、精神力、スタミナなどの、体に宿る身体的能力。
二つ目は、MPと呼ばれている魔力、習得魔法。 これは魂に宿るとされている。
三つめは、加護といわれる特殊能力。 これは魂と体両方に宿るとされている。
四つめは、スキル。 鍛錬などを行うことによって、身に着けることができる、加護とは別の能力だ。
(さて、一体どんな感じになってるのやら・・・)
無名 無職 1342 6/20 0歳
Lv1
HP 1/1
MP 3826940/3826940
攻撃力 1
防御力 1
精神力 1
スタミナ 1
[習得魔法]
炎魔法 Lv10
水魔法 Lv10
風魔法 Lv10
光魔法 Lv10
闇魔法 Lv10
[加護]
鑑定 Lv1
毒耐性 Lv1
無限収納 Lv1
能力コピー Lv1
[スキル]
無し
(おお、おおおおお!)
MPや習得魔法は前世のものだろう。
加護の毒耐性も前世の俺の能力だった。
しかし、他の三つの加護はもはや伝説級のものだった。
(これは無暗に使わない方がいいな。身体的ステータスが低い今、自衛は難しい。)
そう、俺は誓った。
「おお、よちよち。可愛いわね」
気が付くと、恐らく俺の母親とされる人が俺を抱えていた。
「いい?あなたの名前は、レオナよ。レオナ・ファウスト」
どうやら俺の名はレオナというらしい。
それにしても、一応精神年齢は30歳をこえてるから、抱えられるのは少し恥ずかしいな。
でも、人肌なんて何年振りだろうか。安心するな・・・
そんなことを思いながら、俺は眠りについた。