ドジっこ女子高生☆
「うー遅刻遅刻!」
そう言って玄関を飛び出したはいいものの、まさか家の前の道路でトラックにひかれるとは思わなかった。
小松松子(享年17)。
まあ、いつも自分でもそそっかしいかな、と思う所はあった。
でもそれは人生のうちのスパイスの一つで、致命的な欠点になるとは思ってなかった。
で、こちらは灼熱の溶岩に囲まれた赤く、黒い場所、地獄でございます。
「うっひゃ~まさかこんな若さでこんなとこに来てしまうとは」
「こんにちは」
「うわあ!」
背後からいきなり声がして振り返ると全身真っ赤で頭には二本の角が生えた変な人があらわれた。
そこはかとなく鬼っぽい。
その赤い手には事務員が持っているようなファイルとボールペンが握られている。
「えーっと、東京都在住の小松松子さん」
「は、はいっ」
「あなたはさきほど交通事故でお亡くなりになり、こちらの地獄へお越しになられたということでよろしいですね」
「ま、まあ来たくて来たわけじゃ……」
「それでですね、こちらの調査の結果、あなたのお体はまだぎりぎり生命活動が行える状態であることがわかりました」
「生命活動?」
「うまく行けば生き返れるかもしれません」
「えっ、本当!?」
「ただし一度来た方を黙って娑婆に返すことはできません」
「しゃば?」
「現世のことです」
「じゃあどうすれば帰れるんですか? 早くしないともう戻れなくなるんじゃないんですか」
「では簡単に娑婆帰還条件に関するご説明をいたしましょう」
「しゃばきかん条件?」
「生き返るための条件の事です」
そういうと鬼はどこから出してきたのかクイズ番組でつかうようなフリップを出して松子に見せてきた。
フリップには図が描かれている。
たくさんの鬼が半円形に座って、中央ステージを見ている。
そのステージの上には人間がデフォルメされた感じに書かれている。