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広い室内に落ち着かず、視線をさ迷わせる。
ふと、下のほうが妙に膨らんでいるカーテンが目につく。不思議に思い、ぺらっとカーテンをめくると、クリクリで、うるうるの青い眼があった。
「どうしたの?何か悲しいことがあったのかな?」
思わずしゃがんで声を掛けるが、警戒してるのか黙ったままだ。
「そこは寒いでしょ?おいで?」
目線をあわせて、にっこり笑いかけ、じっと待つ。すると、少しずつ近づいてきてスカートの裾をキュッとつかんだ。
わぁ~!なんて可愛い生き物っっ!!!
なんて心の中で悶絶したが、せっかく近づいて来てくれたのに、また警戒されないよう態度に出さず、目を見てもう一度微笑みかける。
「私は、あかねって言うの。あなたのお名前はなぁに?」
「・・・・・・アル・・・・・・」
「すごい!ちゃんと自分のお名前が言えるんだね!!宜しく、アル!!」
「っっうんっっ!!」
誉められたことが嬉しかったのだろう、とびっきりの笑顔で抱きついてきてくれた。
えらく身なりがいいが、気にしないことにして、アルと思いっきり遊ぶことにした。
「アカネ、アカネ、ぐるぐるっ!!」
「いいわよ!しっかり捕まっててね!せぇーのぉー!グルグルーからのビューーーン♪」
「キャハハハハッ!!!」
グルグルとは、すなわち、だっこした状態でその場をグルグル回る事である。もっとアルがお兄さんならば脇に手をいれ、遠心力を使って振り回す。が、推定2歳。なので、しっかり抱いて落ちないように回る。そして、ビューンはもちろん飛行機。この世界に飛行機があるかは疑問だが、横抱きに持ちかえてビューンとするのだ。世界は違えど、子供のツボは同じようだ。とても喜んでくれている。大きなクリクリお目めがこぼれ落ちそうだ。
ふと視線を感じ振り返ると、しかめっ面の男の子が立っていた。
「こんにちは!」
「・・・・・・」
「あーっ!にいしゃまっ!!」
アルが男の子の所にトコトコと歩いていき抱きつく。すると、男の子も少し表情が柔らかくなった。
「アルバート、ここにいたのか。」
「アルのお兄さんですか?初めまして、あかねです。」
「・・・ウィリアムだ・・・」
「よろしく、ウィリアム!あなたも一緒に遊ぼう!おいで!!」
「ウィルでいい。」
「わかった。ウィルねっ!」
相変わらず表情はしかめっ面だが、こちらへ寄ってきてくれた。アルがクリクリお目めの可愛い男の子だとすれば、ウィルは切れ長でスッとした顔立ちの美人さんである。おそらく、7、8歳前後くらいだろう。きっとどちらも将来は女性たちがほっておかないだろう容姿である。
「ウィルはお兄さんだから、アカネスーパーグルグルマックスに挑戦してもらおうじゃないか!」
もはや、振り回すといっていいほどグルグル回し、二人して笑い転げながら目を回しソファーへ座り込む。そのまま、ウィルとアルを膝に乗せ、一本橋など日本の伝統ある遊び歌で夢中になって三人で遊んだ。
あ~、子供ってやっぱり可愛い!癒される~
♪♪♪幸せ!
アルとウィルにこしょぐられ、爆笑していると、いきなりウィルがバッと立ち上がり、きまりわるそうに後ろを見ている。
「どうしたの?―――あっ―――」
後ろを振り向くと、隊長が不機嫌な顔でこちらを見ている。
自分の顔が一瞬で固いものになるのを感じる。
「いったいお前は何をしている。軽々しく殿下に触れるなっ!」
力任せに腕をとられ引きずられる。その力に、昨日の恐怖を体が思いだしビクッと震える。
思い通りにならない自分の体に苛立ちを覚えるが、せめて気持ちだけは負けるかと、顔をしっかりあげ、隊長の目を見て言葉を放つ。
「殿下とは知らず、申し訳ありません。とりあえず痛いですので離して頂けませんか?この国の男性は、なんのためらいもなく非力な女性に対して力かげんなくお触れになられるんですね。」
しっかり嫌味で返してやった。




