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次の日の朝、日が昇りきる前に起きた私は、窓から外の景色を見下ろす。お城の先には街並みが広がっており、その奥の方には海も見える。視線を右に移すと、深い森があり、小高い場所にあるお城から見ても森の終わりが見えない。おそらく、私が召喚された神殿もその近くにあるのだろう。忌々しい思いも少なからずあるのだが、朝日を浴びた森は生命力に溢れ、みていると何故か心が穏やかになる。
「・・・綺麗な景色・・・」
自分が生まれ育った景色とはまったく違うが、素直にそう思うことができた。
しばらくぼぉーっとしていると、ドアをノックする音がし、扉が開かれる。入ってきたのは、二人の侍女。
・・・うっわぁぁぁぁ!!かわいぃぃぃーーー!!
思わず心の中で叫んでしまうくらい可愛い瓜二つな侍女。邪魔にならないようタイトに赤褐色の髪をまとめているが、パッチリとした緑の瞳が愛らしさを醸し出している。二人並んでいると二対のお人形さんのようだ。ただ、まとっている雰囲気は固く、フレンドリーさにはかけるが・・・
「本日、アカネ様のお世話をさせて頂きます。エリーです。」
「リリーです。」
丁寧に頭を下げられ、あわてて私も自己紹介をする。
「あっ、あのっ、茜です。宜しくお願い致します。」
「ではさっそくですが、陛下と謁見されると伺いました。失礼にならないよう身の回りを整えさせて頂きます。」
そう言うと、服に手をかけられ!あっという間に服を剥ぎ取られた。
「まっ、待ってください、じっ、自分でできますからっ!!」
そう言って離れようとするものの、あの華奢な身体のどこにその力が隠れているのか、問答無用で身体を拭かれ、服を着せられ、髪を整えられた。
ぐったりと椅子にもたれかかっていると、再びノック音が聞こえ、扉が開かれた。
「へぇーーーっ!ドレスを着ると、また雰囲気が違うね!綺麗だよ!!」
部屋へ入ってきたのは、昨日馬車の中で一緒だったニックと、もう一人強面な騎士様だった。
「それは どうも・・・」
「今から陛下とお会いするんだけど、心の準備 はいい?私とサムでお連れするから。」
もう一人の強面騎士はサムと言うのか、などとどうでもいい様なことを思いながら立ち上がる。昨晩はどうにかなると言い聞かせたものの、魔法があり、普段から剣を腰にさしている様な、物騒な世界であることに緊張を隠せない。
「私は、王様がいる国で育ってはいませんので、礼儀作法などわからないのですが、何か注意事項などありませんか?例えば、顔をみたら首をはねられるとか。」
ニックとサムは一瞬驚いたように目をみひらいた。
「王がいなくて国がなりたつのか??まぁいいか、とりあえず陛下が良いと言うまで腰をおっておけば大丈夫だよ。」
「わかりました。」
ニックとサムに前後を挟まれ、廊下を歩く。なんだか連行されてる気分。いや、正しく連行されてるのかもしれない。
それにしても、世界史の資料で見たような中世ヨーロッパの時代のようなお城は広く、威厳や歴史を感じさせる。歩いている私も、自然と背筋が伸びる。しばらく歩いていると、ニックがたちどまり振りかえる。
「謁見の手続きをしてくるから、しばらくこの部屋で待機しててね。」
そう言って通された部屋は、豪華だが落ち着きのある部屋だった。




