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子作りしましょう?  作者: ユウ
Prologue of story.
12/15

      (2)

※前回ほどではないですが、今回は下ネタ多め。

気を付けてください。

 当たり前だ、と男は言った。



 彼が言うには。

 そこのところは一般男性と変わらず、五人の重役たちも男性のキノウを失っているわけではない。

 というかいっそ、一般男性よりも性欲は強い方だったりするかも。

 五人とも気まぐれで女を抱く。

 …………五人とも、である。

 けれど何をしたって相手の女が孕むことは無い。

 えーと、ほら、あれだ…………俗に言う、中出し、というやつ。



「そういうわけだよ、別に性欲がないわけじゃない」



 そ、そんなこと言われたって…………! 分かるか!

 だって、子供が出来ないって言われたら、そんで最初にリーンが話してた初代王様の悲劇を聞いたら、そういうことを想像するでしょ! ねえ?


「そう、だったんだ…………」


 新たな事実を発見だ…………。異世界(仮)のカルチャーショックは大きい。これは大きいぞ。

 アッシュは読んでいた本を机の上に放り投げ、自分の足も机の上に放り投げた。その衝撃のため、ティーカップがガチャンと音を立てて、飲みかけのお茶がちょっと零れた。

 正直に言おう、かなりイラっときた。また口論を始めようか、と考えるくらいはイラっときた。


 偉い人なんだろうけどさぁ、その態度はどうなのよ?

 折角淹れてくれたお茶が零れちゃったじゃん?

 というか、それなりの所作ってもんをしなさいよ、庶民でもそんなことしないよ!


 だがしかし、ここで言い合っても話は進まない。そう、とりあえずは、この問題について言及しなくては。


 だってさあ、なんか、遊んでそうじゃん? とくにこいつ。

 その辺り聞きたいよね。私には子供産め、とか言ってくるくせに、自分は他の女と遊んでんのかよ、みたいな。

 いやいや、いいんだけどね! 私には関係ないんですけどね! 子供産む気、さらさらないし!

 あくまで一般論! 常識的にですよ、やだなあもう!


「はあ? そりゃそうだろ、遊んでるに決まってる」


 …………決まってるのかよ!


「ったりまえだ。子供できる心配が無くて、権力の頂点に近いし、ついでにこの顔だ。女がより取り見取りで心配事もないっつーのに、女抱かない理由がどこにあるんだよ」


 う、うーん……?

 そういうものか? そういうものなの? 言いたいことは分かるけれど、それってそれでいいの…………?

 というか、その持論ってことは、かなりの女を食ってないか、こいつ?


「まあ、俺は兄弟の中じゃ一番だな。陛下やリーンハルトもかなりだけど。あとの二人はそこそこってとこじゃね? 誘われりゃヤる、みたいな」


 ………………。


 いや、いいんだよ。そんなこと、私には関係ないんだよ。

 そうじゃなくて、あのさ、なんていうか、彼らがそういうキャラに見えなかったって言うか。

 アッシュは辛うじてそんなイメージあるよ。でも、あの純真な笑顔のリーンとか。頭が固そうなクレーとか。真面目で優しげなメイさんとか。

 そう…………そうなんだ…………。みんな、女遊びが激しいんだ…………。


「………………」


 何故か多大なるショックを受けて、何も言えない私は、項垂れで足元を見ていた。

 なんかショックだったんだよ…………男の習性の話だけはよく知ってたんだけど、ね…………。現実で実際に知ると、『男は狼』ってフレーズがなんか突き刺さる。


 すると、アッシュは何を思ったのか、立ち上がってこっちにやってきた。

 突然の事だったので、なんかビビる私。

 私は二人掛けのソファに一人で座っていたんだけど、彼はその隣にぼふんと落ちるように体を沈めた。反動で私の体も揺れる。


 な、何がしたいんだ? なんでやってきたの? さっきまでしてた話がアレだからか、あんま近くに寄ってきてほしくないんだけど…………。

 そんな私の痛切な願いも聞き届けてもらえず、更にアッシュは近づいてくる。一つのソファに二人で座っているからそんなに間があるわけでもないし、あんま過剰に反応するのも何かなぁ、みたいな感じで、アッシュの接近を許してしまった。

 彼は、私の耳元に顔をよせ、楽しげな声で囁くように言った。



「お前、処女だろ?」



 のおおおおおお!

 言うな! その通りだけど、そんな近くでそんなことを言うな!


 今度こそ反論できず、しかも図星指されて恥ずかしいし、たぶんこれ顔赤い。その事実が更に恥ずかしくて更に赤面する。なにこの赤面スパイラル!

 アッシュはそんな私の醜態を、鼻で笑って眺めている。

 くぅ……、この悪趣味め…………! 性格悪いぞ、分かってたなら下関係の攻撃の手を緩めるべきだ!


「だ……だったら何だっていうのよ」

「いや別に? ただ、これまでの反応から、ぜってーそうだろうなって」


 確信してたみたい。

 …………まーね! だってよくよく考えてみれば、こいつとは下ネタの話しかしていないからね! そのくらい分かったってしょうがない!


「あのさあ、分かってる? つーか、分かってないよな?」

「何を?」


 分かってるとは、いったいなんぞ? 目的語がなきゃ、話は伝わらないぞ?

 先を促すように、アッシュの目を見ていれば、ふっと彼は笑った。もちろん、そこに優しさは欠片もありゃしない。例えて言うなら、私を馬鹿にしているような、蔑んでいるような笑い方だ。


 それを見て嫌な予感がしたのもつかの間。

 気がつけば、私はアッシュに組み敷かれていた。


 手を頭の上で固定され、足は攻撃できないよう体を使って器用に押さえられた。

 アッシュの左手は、私の頭上で両手を掴んで離さない。右手は顎をつかんで自分から視線を逸らさせない様にしやがる。そして体全体をつかって、抵抗できないよう、がっちり上に乗っている。


 それは一瞬のできごとで、彼が慣れているとしか思えなかった。

 もちろん、男女の差もあるんだろうけど。でも、それにしたって暴れることもできなかったのは吃驚だ。それに突然こんなことをしだしたこいつにも吃驚だ。



「ちょ、え、何?」

「何って。まさか分からないわけじゃないっしょ?」

「わ、分かるから、聞いてる。なんで突然?」

「突然じゃねーだろ。それこそ何日も前から、子供産んでくれって言われてるんだろ? 一日一緒に居ることになって、何でこういう事態を想定しないんだよ。お前、隙ありすぎ」

「そう、だけど…………」

「別に、合意である必要性は無いんだよ。そうだろ? 跡継ぎがいりゃいいんだ。そんで、“キサキ”は死なない。だったら無理やりだろうがなんだろうが、ヤればそれでいいに決まってる」


 え。ゴメン、頭がついていかない。


「い、嫌に決まってるでしょ、ふつーに!」

「でも、帰りたいんだろ?」

「え?」

「帰してやるよ、無事五人子供を産んだら。というか、帰れ。役目を果たしたら帰れるようになってんだ」


 帰れるの…………? 子供を産んだら?

 でも、それってどうなんだ。産むだけ産んで、育てるのは勝手にどうぞ、ってそんなの嫌だ。子供ができるとか、想像もできないけど、それでもそんな無責任は絶対に嫌だ。

 よって、その話は論外だ。


「それでも、嫌だ!」

「ああ? 迷惑だからさっさと帰れって言ってんのがわかんねーのか」

「その帰る方法が、とにかくヤって子供作って産んで、あとは無責任に帰るって言う話なら、断る。そんなことはできない」

「べつに後から子供育てろとか言って、押し掛けたりしねーよ。正真正銘、産むだけだ」

「それが嫌だって言ってるの。そんな母親に、私はなりたくない」


 チッ、と彼は舌打ちして、今度は顔を近づけてきた。

 ここに来て初日の恐怖が蘇る。キスされる! と本能で気づいて、逃げようとした。しかし完璧ホールドされてるこの状況、とーぜん、避ける方法などあるわけない。


「やだー!! やだやだやだ!」

「ちょ、静かにしろ!」

「なにすんの、このキス魔! 初日といい今日といい、そんなにキスがしたいか!」

「したくねーよ! 気持ちわりーこと言うな! 大体初日のアレのお陰で、お前はこっちで言葉で苦労してねーんだぞ。分かってんのか?」


 え? なにそれ?

 言葉で苦労…………あれか? 自動翻訳機能?

 そういえば、最初は言葉が分かんなかったんだよな。分かるようになったきっかけが、キスだったっけ。いや、キスというか、ひょっとして血か? 血を飲んだことがきっかけで、とかそういう設定の漫画読んだことある。


 うーん…………。そうかぁ。キスじゃなくてもいいじゃん、って思うけど、でも言葉が通じない状況で血だらけの指を差しだされたって、血を飲むわけないしな。

 手っ取り早く飲ませるには、有りな方法?

 んー…………。しょうがない。最初のキスは、事故と思ってあげなくもない。


「でも! これからするのは絶対に許さない!」

「いい加減にしろよ、こっちだってしたくてしてるわけじゃねーんだよ!」

「だったら離れろ!」

「お前は、帰りたくねぇのか! これしか方法がねぇって言ってるだろうが!」

「それしか方法が無くたって、いずれ子供を産むとしたって! 少なくとも、今そういうことをすることはできない! 何の覚悟も無いまま、母親になったりなんか、絶対できない。せめて、気持ちの整理がつくまでは、」



 と言ったって、いつ気持ちの整理がつくのか分からない。少なくとも十年以内には、としか今は言えない。だから、これはとりあえずアッシュを納得させるための方便の色が強かった。

 子供を産むつもりはない。それも、五人だなんて。

 それしか帰る方法がないなんて、信じるものか。何が何でも、他の方法で帰ってやる。



 ――――と、まあ、そーんな私の心内は読んでいないだろうが、アッシュはひとつ溜め息を吐いた。やっぱり、子供みたいに嫌だ嫌だと喚いている女を無理やり抱く気にはなれないらしい。

 どうやら諦めてくれたみたいで、私を押さえる手を緩め、離れてくれた。


 そして、アッシュが立ち上がって部屋を出ようとしたとき、彼の捨て台詞を聞くことになる。



「しょうがねぇ、特別にもう少し待ってやる。そんで、さっさと気持ちの整理とやらを済ませて、自分を磨いてもっと見れるようになれ。お前程度じゃ、流石の俺もぜんっぜん勃たねぇんだよ」


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