第1話 赤い雪
そう、あの時からおかしかったんだ。もっと早く、気付くべきだったんだ。
−かず
第1章 赤い雪
風が出てきた。雪はさらに激しく降り積もる中ボクは”ある場所”を目指した。”ある場所”というのは高校である。「スコーネル学園」という私立の学校だ。機械・器具などの設備は桁外れでよく工業大学にも負けない設備投資である。ここに通う生徒は両親が”政治家”や”医者”または”実業家”などが多い。しかし、なぜかこのような田舎にありその名も世間には広がっていない。ここに通う生徒は”寮”生活である。寮といっても1人に1つの部屋でリビング、ダイニング、浴室、トイレまで完備されてあり、ほぼマンションであるかそれ以上だ。ボクの両親も医師と看護士である。世間には名が通るらしいがボクにはそれはどうでもいいことだ。むしろ、ボクは両親と比較されていた。どこへ行っても・・・ だから結構、ボクはここが大好きである。両親とも離れて暮らせるし、皆とは言わないけれども、同じ気持ちを持った”友達”さえいる。だけど、こんなことになるなんて・・・
「おはよう〜」後ろから不意に声をかけられた。後ろを振り向くとそこには同じクラスの”楓 香織”が居た。「うん、おはよう」返事を返すと香織は「かずくん、寒くない?早く行こう!」と声をかけられ手を引かれた。香織もボク自身も手袋をしていたけど、香織の暖かい熱は伝わってきた。
「じゃあ、先行くね。」 「うん・・・」学校の下駄箱に付くと香織は去っていった。2人同時に教室に行くと色々と面倒らしい。ボクはコートに付いた雪を払い落とし教室へ向かった。
”がらがらがら”教室のドアを開けるとほぼ全員がそこに居た。「おはよう、かずくん」香織が挨拶をしてきた。実際はもう挨拶は交わしてきたのだが自然に見せるための演技であるのはボクには分かった。ボク自身も「おはよう」と返事を返すと香織は笑ってくれた。
時刻は8時45分を示した。普段なら授業の合図を知らせる”鐘”が鳴るはずなのに鐘の音は聞こえてこない。5分・・・10分・・・時間は過ぎていくだけだった。「俺、先生呼びに行ってくるわ」そういったのは”北沢 拓哉”だった。彼は結構、頭もいいほうで皆からも慕われていた。北沢は教室から出て行った。 しばらくすると、教室のドアが開いた。北沢が先生を連れて戻ってきたのかな?と思っていたが遅刻の常習犯でちょっとグレてる”赤木 光一”だった。「酒でも飲んで遅刻したのか?」そういったのは光一の悪友の”柏木 駿”だった。「でも、よく来たな。ここまで遅刻すると来ないと思っていたよ。」もう一人は光一の悪友で”久保 尚”だった。この3人は結構グレてる。タバコやお酒は結構やってるって聞いたし先生を殴った事もあるらしい。まあ、大抵事件を起こすのは赤木でそれをサポートするのが柏木や久保だった。久保は学年で1位という成績であるのに赤木たちとつるんでいることには職員全員驚いていた。ボクには何となくこの3人がいい人のように思うのだけど。「でも、ラッキー 先公まだ来てないじゃん。セーフだな!」赤木は嬉しそうに席についた。
もう、1時間目が終わろうとしたとき、”ピーン・ポーン・カーン・ポーン”呼び出しのベルが鳴った。「生徒の皆さん、臨時で集会を開きますので第24体育館まで来て下さい。」”ブツ”スピーカーのスイッチが切れた。生徒たちは騒ぎ出した。これだけ待たせていきなりコレだから。「皆、行こうよ! 体育館に、ね!」そういったのは香織だった。「でも、拓哉くんまだ来てないよ。」そういったのは香織の友達の”桜 あいり”だった。 「大丈夫だよ。拓哉くんだって体育館に向かってるって!」香織は言った。