第4話 新たなる力
《 Stage1 ー流布ー 到達 》
《新スキル【水纏状態】解放》
《技能変動:【布界収納(極小)】→【布界収納(小)】/【形態変化】+【伸縮自在】→【変幻自在】》
《能力:変幻自在=形態変化&伸縮に加え“鋼質化”を獲得/水纏状態=布丸を水を纏わせ攻撃力上昇、《雫裂》を常時発動可能》
「ランクが……変わった……!?
って、変わるのかよ!!?」
そう驚いた瞬間だった。
黒獅子の胸で“黒紋”が脈打ち、
次の瞬間、獅子は咆哮とともに 雷撃を一直線に母子へ放つ。
「うわああああっ!!」
咄嗟にカイは布丸を伸ばした。
「――変幻ッ……自在ッ!!」
白布が空気を裂き、数メートル先へ一気に伸長。
先端が鋼化し、雷の奔流と正面衝突する。
ズガァァァァァン!!
爆光と火花が弾け、広場じゅうが白く染まる。
それでも布丸は折れず、しなり、食いしばり――
母子の前に“壁”として立ちはだかった。
「……守れた……!」
震える手で布丸を握りしめるカイ。
だが、獅子も止まらない。
◆
水纏状態が発動していた。
カイの腕の中の布丸が、淡い水の膜をまとい、光を揺らめかせている。
布の端は“刃のように鋭く”、
しなやかに形を変えながら揺れる。
まるで――
“水の精霊が踊っている”ような神秘的な動きだった。
「……行くぞッ!!」
踏み込み、《雫裂》を振り抜く。
シュバァァァン!!
透明な刃の軌跡が空を裂き、
黒獅子の肩に浅い裂傷を刻む。
だが黒獅子は怯まず、
雷光をまといながら逆に踏み込んでくる。
「まだだッ!!」
カイは続けざまに《雫裂》を叩き込み続けた。
水と光が斬り結び、雷と衝突し、
小都市ノクタニアの広場は――
光と水と闇がぶつかり合う戦場と化していた。
それでも――決定打には届かない。
(なら……全部、賭ける!)
カイは布丸を天に掲げた。
「全部……絞り出す!!」
変幻自在――最大解放。
布丸は巨大な鞭のようにしなるほど伸び、
その全体に水纏が走って輝く。
同時に、黒獅子も黒紋を脈打たせ、
喉奥に雷を溜め始めた。
雷咆――!
「来いッ!!」
必殺と必殺が衝突する。
「《雫裂》ッッ!!!!」
ズガァァァァァァァァァン!!!!!
戦場の空気が震え、
光の奔流が街を呑み込む。
永遠にも思える数秒ののち――
雷が霧散した。
黒獅子の巨体が、
ゆっくりと……崩れ落ちた。
◆
胸の黒紋がまだ脈動している。
「……吸えるのか? 本当に……?」
カイは布丸をそっと触れさせた。
「……《黒喰》」
白布が黒紋を吸い込み、
光と闇が交差するような奇妙な現象が起こる。
黒霧が溶けていき、
黒獅子の毛並みは――
ゆっくりと、白へ戻っていった。
剣士たちの息が止まる。
恐怖より先に、
静けさと神秘さが広場を満たしていた。
◆
剣士たちは重傷だ。
市民も倒れている。
カイは転換布癒を使って走り回るが――
(……回復が追いつかない……!)
息も絶え絶えに、案内された宿へ。
カイは湯に浸かり、疲れ果てた身体を沈めた。
「……俺にできること……もっと効率よく治す方法、ないのかな……」
ふと、布丸を湯へ浸す。
その瞬間――
《観測:湯質変動ーー微細な癒力エネルギーを検出》
《特殊スキル【微癒の湯化】発現》
《能力:微癒の湯化=軽度の傷・疲労回復/自然治癒力の向上》
ふわぁ……と湯面が淡い桜色に輝く。
ただの湯が、
ほんの少しだけ――癒しを宿している。
揺らめく光は、まるで花びらが散るようだった。
「……これ……
“癒しの湯”を、俺が作った……?」
湯が波打つたび、柔らかな桜色の光が広がっていく。
布丸が“水”を媒介に力を拡散している。
胸が熱くなる。
その瞬間――
「カイさん!!そ、外で……獅子が……!」
宿の扉の向こうから悲鳴に近い声。
「え、また!?
……よし、行く!」
カイは湯から飛び出し、
タオルだけを手に駆け出した。
湯気の中で――
淡い桜色の光が静かに揺らめき続けていた。
《神器“布丸” ランク:Stage 1 ー流布ー》
《スキル:変幻自在/布界収納(小)/水纏状態》
《限定スキル:雫裂》
《特殊スキル:黒喰/転換布癒Ⅰ/微癒の湯化》




