98.いよいよパーティーへ
「襲われたから責任取れとかな…」
これはセイだ。俺、貴族無理じゃね?
お披露目が終わったから俺の部屋に戻って脱がして浄化、状態保存を魔法をかけて保管した。
当日は王都にある屋敷で着付けをして王宮に向かうんだってさ。
そこでセイから提案があった。
侯爵家以上の人は特別に貴族家から成人前の子供を従者として参加させられる。だからセイのエスコートを頼むと。
今まではティア姉様をエスコートしていたが、婚約者ができたので今回セイは1人だ。
実はこの提案、俺にする前にお父様とお母様にも相談したそうだ。今後の勉強のためにもそれがいいとなった。1番はセイの女避けだ。
まだ子供の俺がいたらあからさまな事は出来ないだろうし、トイレにも一緒にいけるからと。さらには双子のことも守れる。
なら俺もスーツ作るかと思ったが、あちらの世界から着てきたスーツにした。物はそれなりにいいし。ネクタイをボウタイに変えてシャツの袖にカフスボタン、襟元に紫と水色の魔石のピンバッチ。
シャツだけ黒で作った。それだけで一気にパーティー感が出た。嫌だったがまだ子供だしフリル付きだ。
シャツの襟には精霊紋。靴はリグに回帰させたから新品だ。手袋も作った。俺のは指先の内側に精霊紋を刺繍した。
俺が参加することが決まって喜んだのは双子だ。侯爵家と公爵家だから、入場する時間もほほ近い。
それならずっとそばに居られる。俺も安心だ。
そこで、クリスと話をしてチビクリスをルキとロキ、セイの髪の毛に潜り込ませることにした。
そうすることで会話が出来る。口にしなくても、クリスが話しかけられた言葉を読んで俺に伝える。双方にこれが出来るから、念話風だ。
ゆくゆくは念話も出来たら楽だな。
そしてあれよあれよと言う間に、パーティー当日が来た。
王都にある屋敷に転移陣で飛んだ後、公爵家が王都に構える屋敷に向かった。双子も一緒だ。着付けは俺じゃないと出来ないからな。
屋敷に入るとお父様とお母様が待っていた。
「やぁ、よく来たね」
「待ってたわ」
笑顔で迎えてくれた。
「お久しぶりです」
「またお会いできて嬉しいです」
俺たちも笑顔だ。
「「お世話になります」」
これは双子。
お父様もお母様も俺をふわりと抱きしめると
「また会えて…嬉しいよ」
「まだお母様と呼んでくれるのね」
当たり前だ!レムリアの件があるからだろうけど、2人は何も悪くないし。
「もちろん!あ、これ…」
俺はポケットから箱を取り出す。
お父様とお母様は受け取って箱を開けた。
「なんと…」
「まぁ…素敵」
百合の紋章をかたどった耳飾りだ。男性がつけてもおかしくないサイズ。お母様のはチェーンでゆらゆらと揺れる仕上げだ。全て魔石で作った。キラキラと輝いてきれいなんだ。
お母様にはお揃いのネックレスもある。予め、贈り物をすると伝えていたんだ。
居間でお茶を飲む。そう、パーティーは今夜だ。今は午後2時頃。
そろそろかな。お母様はいち早く準備へ、そして俺たちも部屋に向かう。
まずは入浴だ。今日は俺とセイがホワイトムスク、双子はローズの石けんだ。
体を隅々まで洗ってお湯につかる。ふう、気持ちいいな。
風呂から上がると1人ずつ、軽くマッサージ。俺はクリスがマッサージをしてくれた。
それから顔に化粧水とオールインワンの体用を全身に塗って髪の毛を整える。髪の毛は仄かに柑橘系の香り付き。
そして、いよいよ下着から靴下、シャツ、ズボン、サッシュ。上着を着る。
ペンダントにピアスも付けた。
引きで3人を見る。これぞ眼福だ。いや、凄いな。自画自賛だ!
そこにセシア兄様とニア兄様がノックした扉から入って来た。そして入り口で足を止めた。
ティア姉様とリア姉様、何故かオランジュまでやって来た。そしてやっぱり入り口で止まっている。
「あら、みんな入り口で固まってどうしたのかし、ら…まぁ」
お母様とお父様もやって来て足を止めた。部屋の入り口が大渋滞だ。
「これはまた…」
「素晴らしいな」
「芸術作品か?」
「展覧会か?」
ん?何故かお母様とリア姉様まで真っ赤だ。
「どうしたの?」
と聞けばハッとしたお母様が滑るように俺のそばに来て頬を撫でるとふわりと抱きしめられた。
お母様の胸元が顔に当たる。鎖骨まで見えているドレスだから柔肌が直に顔に…パイン最高。
すかさずセイが
「母上、カスミが苦しそうです」
いや全く。離れるお母様を名残惜しく見ていたら頭を撫でられた。ハッとした。中身のおっさん的にはありだが、今は義理の息子だ。危なかった。
「これをカスミが?」
お父様が聞く。
「はい」
「セイルール、またきれいに仕上がったな。過去で1番だ」
「本当に。我が息子ながら素敵よ」
「本当だな、同じ兄弟なのに」
とセシア兄様。
「それにしても凄い」
とニア兄様。
リア姉様とティア姉様も顔を赤らめて
「カッコいい」
と絶賛だ。
さらに双子に対しては
「魅惑の双子とはかくもある、か」
「えぇ、凄いわね」
「また大変だな」
「気を付けろよ」
姉様たちは声も出ないでチラチラと双子を見ている。
双子は澄ました顔で
「カスミが僕たちのために生地から選んで」
「自ら縫ってくれました」
それにも大いに驚かれた。
「そろそろ出発だな」
とお父様の声で入り口の渋滞は緩和した。
「カスミ、付けてくれる?」
イヤリングだ。俺は箱から取り出すと少し背伸びしてお母様の小さな耳に付けた。
動きに合わせてキラキラする。
「おう、私の妻がなんと美しい」
お父様の耳にも付ける。ピアス風。凄く小さな百合で、近くで見ないと分からない程繊細だ。
「まぁ、あなた…見違えましてよ」
お母様も頬を染める。うんうん、良き。
そして馬車に乗って出発した。
あちらはお父様お母様セシア兄様とリア姉様。こちらはニア兄様とセイ、そして双子に俺。俺はもちろん双子に挟まれている。公爵家の馬車は大きいからそれでも余裕だ。
会場である王宮に着いた。初王宮だ。
馬車から降りると休憩室に向かう。入場の順番待ちらしい。そこにはルキとロキの両親が待っていた。
「パルシェン公爵様、奥様。この度は息子たちを送ってくださりありがとう存じます」
「先日はありがとうございました。本日はみなさま大変お美しいですね」
「これはシュプラール侯爵殿、大事ない。元気そうで何よりだ」
「こちらそこ先日は良き日でしたわ。これからも末長くお願いしますわ」
これが貴族の牽制なんだとポツリと双子が教えてくれる。要するに、2つの貴族家は結びつきがある。しかもルキとロキが関係している。そう周りに知らしめる為のやり取りだ。
「まぁ、奥様。その耳飾りとペンダントは公爵家の紋章ですわね?なんてきれいな。デザインも繊細でまるでそこに花が咲いてるようですわ!」
これは比喩でもなんでもなく、それだけの作品を作ったのだ。ドヤっ
「それに公爵様の耳飾り、小さいがやはり紋章ですな。いやはや、なんと素晴らしい」
「うふふっ息子が自らデザインを…」
「まぁ…」
一連のやり取りが終わる頃、知らない人が会話に入って来た。
「パルシェン公爵様方、いや、大変おきれいで。その、息子さんとそちらのシュプラール侯爵家の魅惑の双子も…斬新で素晴らしいデザインの服ですな」
トーカが
(パタラール公爵 嫌味じゃない賛辞)
「ありがとうございます、公爵。家族が自らデザインしまして…私のために誂えたのです。そちらの双子も同じです」
「なんと!そのデザイナーをぜひ紹介して欲しいぞ」
「ははっ、家族であってそれを生業にはしておりません。あくまでも私の為、ですれば」
(遠回しにオーダーで大変な目にあってると伝えてる)
「それは残念ですなぁ。しかし、機会があればそのデザインは見せて欲しいものだ」
「伝えておきましょう。我が商会がお手伝いできるやもしれません」
「それは楽しみに待っておこう!」
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