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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律
第1章 転移した

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92.パーティーの準備

 食ってる間はやたらと静かだったみんな。

 飯ものまで食べ終わるとアマランとウルグが立ち上がって俺の手を取って跪く。

「「一生ついて行く」」

 間に合ってるわ!


 まったくヤローなら双子だけで充分だ。

「ルキとロキは女枠で」

「俺たちが男枠だ」

「それなら仕方ない」

「そうだね」

 仕方なくないだろ!セイも頷くなよ。


 みんなで居間に移動した。

 コーヒーを飲みながらスーツの話をする。

「なんかな、双子はその…オーダーは嫌だって言うからな。俺が作ろうと思って。布ってどこで買うんだ?」

 セイは

「作れるのか?なら私のも!」


 …凄い圧だ。

「布の仕入れなら僕の実家の商会で」

「色々扱ってる」

「リヴ兄様が詳しい」

 リベリアーノ兄様か、明日聞こう。


 その日の夜は服飾の勉強をするからと部屋に籠った。

「トーカ、パーティーのドレスコードは?」

「男性は礼服、女性はドレス」

 大まかなことは決まってるが、男性は燕尾服でも普通のスーツでもいいみたいだ。一応、白は王族の色なので、全身白とかはダメ。

 それ以外は比較的自由だって。


 ルキとロキは淡い金髪に紫の目。濃い色よりは淡い色が似合いそうだ。薄いグレーかな。襟とかにラインを入れたら引き締まるか。

 淡い色はぼんやりしないように作らないとな。本当は少し光沢のある色がいいけど、敢えて艶消し。目立ちたくないみたいだし。


 立ち襟の黒いシャツに膝丈くらいのロングコート風の詰め襟の上着。

 シャツの襟には銀糸で刺繍。なんか精霊紋っていう古代言語があって、それを縫い込むと守護が得られるらしい。袖にも縫い込めばいいかな。

 上着はライトグレーで、襟とか袖にはラインを入れる。色は紫。


 シャツの胸元には魔石から作った大きなペンダント。婚約者の色を取り入れるのが良いみたいだから、水色にした。水と氷魔法を込めると水色になる。


 ズボンは裾に向かって少し細くなる。長い上着は体のラインを拾わないから、双子には丁度いい。

 手袋も黒で、やっぱり銀糸で精霊紋を刺繍。腰のサッシュは黒で、そこには内側に精霊紋。よし、そのイメージだな。ラフ画を描く。


 セイはどうしようかな。普通に濃い色でいいか。ダークグレーで、やっぱり気持ち長めの上着。襟は高くして、白いシャツの襟も少し高く。胸元に水色の小さめのペンダント。手袋は黒。


 シャツの襟と袖に金糸で精霊紋を刺繍したらいいかな。

 うん、靴は…クリスに相談だ。ブーツでもありなのか?分からん。

 そして寝た。


 翌朝、目が覚めると何故かセイが隣にいた。髪の毛に触れる。サラサラと指から溢れた。

 ヒルガがセイも参加を嫌がってるって。パーティーって楽しそうなのにな!

 頭を撫でていたら顔が赤くなった。ならなんで俺のベッドにいるんだよ…


「おはようカスミ。パーティーが嫌過ぎて」

 子供か!いや、まぁかなり年下だったわ。

 セイの手を掴んで起こすとラフ画を見せる。

「こんなのどうだ?」

 それを見て俺を見て抱きしめられた。


「ありがとう、精霊紋なんて貴重なのに…守ってくれるか?」

「もちろん!セイ兄様」

 悶絶してたぞ?ふははっ。


 朝ごはんはこの部屋でパパッと食べた。で、出かけるセイと一緒に街に出た。リクたちも一緒だ。

 青い稲妻も街に向かった。依頼を受けに。体が鈍ったからみたいだ。主には双子の発散かな。

 俺はというとリベリアーノ兄様に会いに。


 商業ギルドの2階に商会のオフィスを持たない人向けの貸し部屋がある。そこだ。

 もっともけっこう広い部屋で、机と椅子にソファ、簡単なキッチンもある。

 奥には寝室付き。


 ノックして入る。

「リベリアーノ兄様、おはよう」

「おはようございます!副会長」

 迎えてくれたのは、リナ。16才の商人の子供で、リベリアーノ兄様が預かって育てている。まだ若いが将来有望な若者だ。何故かって?リノの弟だからな。


 ちなみリベリアーノ兄様は22才。もちろん結婚している。実家のあるレイラシティに家族はいて、単身赴任中だ。実家のシュプール商会は長男が次期会長。現在はルキとロキのお父様が兼任している。

 リベリアーノ兄様はだから、大店の商会の娘と結婚した。なので平民でも雇ってくれるのだ。


「おはよう、どうした?珍しいな」

 だいたいやらかしてから兄様が青筋立てて

「また作りやがったな!」

 と屋敷に駆け込んでくるから。てへっ。


「うん、布を買いたいんだ。シュプール商会が扱ってるって聞いて。上質な布、急ぎで欲しくて」

 俺の顔をじっと見ると

「なら行くか?自分で見た方が早いぞ」

 行く?いや、だって遠いだろ。


 王都周りの7つの街同士は凡そ1日で行ける距離だ。

 ここベルシティの西側にセイの実家があるラグナシティ。東側にイレシティ、そこから北東にルイシティ、そして北西にモスシティ。


 ラグナシティから北西にレイラシティ。北にグラスシティだ。ぐるりときれいに一周してる訳じゃなく、街道から離れた左右にそれぞれ点在するのだ。時間があるなら街に寄りながら、急ぎなら街道を突っ走って野営が早い。


 だから兄様の実家は往復で4日かかる。行けない距離じゃないが近くはない。

「リクは早いんだろう?」

「早いぞ!」

「ルキとロキに案内して貰えばいい」

 まぁそれも有りか。


「分かった!相談する」

「もし行くなら、色々と実家のシェフに料理のレシピを教えてやって欲しい」

「おう、分かったぞ」


 って事で帰ろうとしたら笑顔の兄様に、そのまま副会長の仕事をさせられた。

 なんか凄え稼ぎだな。その売上表を見ていると

「なんだかんだとやらかしまくる副会長のお陰でな…」

 リナも苦笑だ。


「宣伝とか要りませんからね」

「やったら私たちが死ぬ」

「僕も他の商会に勤めていましたが、ここまで宣伝の要らない商会は初めてです。むしろ、売れ過ぎて極秘で販売するとか」


 主に保冷箱と転送箱だな。特に転送箱はギルド間のやり取りと商会とギルドとのやり取りに限定している。便利すぎるんだって。


 ベルナ商会に卸している化粧品も勢いが凄くてな。アンナさんが土下座する勢いで

「私が勝手を申して気分を害してしまい申し訳有りませんわ…」

 と深々と頭を下げに来た。ベルソナさん付き添いの元で商会を訪ねて来たのだ。俺は経緯を話してあったから兄様の後ろに隠れていた。


「それは確かに許し難い言葉ですが、カスミのことを思っての発言でもありますので。水に流しましょう」

 だって。さすがは兄様だ。

 化粧品は成分さえ分かれば誰でも作れる。作れるが、極秘だ。今やクリスの担当だ。


 だから宣伝は要らん。

 副会長としての仕事は書類に目を通して決済すること。後は売り上げと給料関係。

 リベリアーノ兄様はもちろん、実質この商会を動かしている。だから総務部長だ。


 俺?副会長兼開発部長。

 リナはまだ見習いだが、商会の新人社員だ。

 雑務全般。それにはリベリアーノ兄様の愚痴を聞くのも入ってる。頑張れよ!


 ちなみに給料は兄様が月60万リラ。リナが月10万リラ。俺は…開発登録料みたいなのがかなり入ってきて、それ込みで…かなりだ。

 俺は副会長の仕事を終えて、冒険者ギルドに向かった。


 この辺りの暮らしだと家族4人で月10万リラくらい。大店じゃないとは言え、まだ新人のリナの給料は悪くない。商会長と副会長が共にぽわんとしてるからな。

 それにセイにしてもルキとロキにしても、人を選ばなきゃならん。リナも大丈夫かと思ったが、平気だった。

 リノもリナは現実主義者なので、だって。


 俺は冒険者ギルドから屋敷に戻ると庭で咲く花を手折って、リグに回帰させた。これも使おう。




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