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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律
第1章 転移した

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91.来てしまった

 みんな満足そうだ。しかーし、今日は俺も頑張った!

 甘味だ。出て来たのは食パンの上にアイス、そしてハチミツがけ。

 みんなの目が釘付けだ。

「冷たいから気を付けて食べ…聞いてるか?」


 すでにみんながかぶり付いていた。口を窄めて耐える面々。そりゃな…半分も口に入れたらそうなるわ。ほんと人の言う事聞かないんだから。

「ほら、熱いお茶を飲め!」

 用意したほうじ茶をゴクゴク飲む。いや、熱いだろ?


「ぷはっこれは美味いな」「お茶美味しい」

 ゴクゴク飲んでパクリゴクゴクパクリが繰り返された。

 みんな満足そうだ。


「いやーカスミの料理を食うと帰って来たって気がするな」

「だよな…沢山持たせて貰ったはずなのに、まさか行きで食料が尽きるとはな」

 なんだと?!

 10日分は渡した筈だぞ?


 話を聞けば、いつもは俺が量を調整しているが渡した分は好きなだけ食える。もちろんある限りにおいてだが。

 で、抑制が効かずに食いまくって…行きで尽きたと。


 それでも屋台の串焼きやらに調味料を掛けて食い繋いだ。いや、食い繋ぐってのもおかしいだろ?別に金がないわけでも無し。

 なのに依頼の為に足止めされて、痩せ細る思いだったとか。別に痩せてないだろ?

 いや、少しやつれてるか。


「カスミの飯食わないと力が出ない」

 とアマラン。そこは気力で頑張れ。

「やる気が出ない」

 とウルグ。それはヤバいだろ。

「死ぬ」「無理」

 知らんがな…生きてるだろ?


 ソファに移動してコーヒーを飲みながら話を聞く。いかに俺の食事が美味いか、ってな話だ。時々

「カスミのポケッとした顔が見えないとな」

 褒めてないよな?

「そうなんだよ、この緩さがな、クセになる」

 ディスってないか?

「ちっこい」「あったかい」


 ペットかよ!それは人に、ましてや結婚相手に求める事じゃ無いだろ。

「サイズは大事」「程よくすっぽりハマる」

 言い方な、言い方。

 そこで顔を赤くするなよ、セイ!

「確かに、ハマるな」

 何に、何が、だよ!


 その後は雑談の中でどうやら同郷で身分証を持たない奴らがモスシティで捕まったと聞く。いや、他人事じゃないよな。

 身分証を持ってた奴ら、勇者、聖女、賢者、剣聖、魔術師、治癒師は全部×3くらいいたらしい。みんなそっちを買ったのな。

 多分、それ以外の生産職当たりが身分証が無かったんだろう。村人Bで良かった。


 ルキたちが会ったのはその一部。

 で、捕えられた同郷の奴らは王宮で飼い殺し、他の奴らも王宮で暮らしてるみたいだ。

 良かった、俺は知らんぞ。気にならないと言えば嘘なんだろうが、気にしたところで何か出来るわけもない。


 コーヒーの後、また酒盛りになった。

「あのシュワっとした酒、ビール。飲みたい!」

 ラウラリアダンジョンに1人で行ったり、セイと飲み明かした後ろめたさもあって出してやった。

 ウイスキーも出す。今日は俺は果樹酒だ。双子も果樹酒希望なので、カップに作ってやる。


 つまみはイカゲソとかタコ、ノリ、鮭とば、乾燥ホタテ、後は刺身各種だな。クリームチーズと薄く切った堅パンも出す。

 美味い!クリームチーズってマジで最高!取り分けてやりながら自分も食べる。

 やっぱり大勢は楽しいな!



 目が覚めた。ん、なんかあったかい。触り…ん?顔を上げるとルキの顔があった。目を開けて俺を見ている。紫の目がきれいだ。おでこにキスをして目を瞑った。

 うん、なんかやらかしたか?

 毛布を捲る…見なかったことにしよう。


「見たね?」「朝から激しい」

 毛布をめくっただけだろ!

 いやまぁ、色々見えたが。でも風呂で見てるしな。

「朝だし」「ね?」

 …そっと起きあがろうとしてのしかかられた。



 起きよう、朝からなかなかだった。双子は顔も艶々で楽しそうだ。ま、婚約者だからな。




 その日はやっとセイから外出の許可が出た。

 で、リクたちとお散歩だ。夏の間過ごした湖まで。青い稲妻たちはギルドに行った。

 湖は秋の気配。木の実とか色々拾って帰った。昼?作り置きのBLTサンドだぞ。

 気持ちのいい空の元で食べるサンドはマジで美味かった。


 15時ごろに帰宅すると、玄関で双子が蹲っていた。何してんだ?

「ただ今って…おわっどうした?」

「来た」「嫌だ」

 支離滅裂だ。不思議そうに見ていると抱き付かれた。


 困っていたらヒルガがやって来て

「カスミ坊ちゃんお帰りなさいませ」

「双子はどうしたんだ?」

「ふふっセイル坊ちゃんもそんな感じですから、慰めて下さい」

「何が?」

「やって来た」「招待状…」


 そこにリベリアーノ兄様が屋敷を訪ねて来た。

 そして双子を見てため息を吐いた。

「カスミ、代わりに渡したぞ!」

 俺に封筒を渡して来た。


「なんだ?」

「あぁルキとロキのな…こんな風になる事が年に2回あるんだ」

 と説明してくれた。そしてリベリアーノ兄様は帰って行った。

 なるほどな、それでこれか。


 居間のソファに座る。双子に挟まれた。

 リベリアーノ兄様の説明によると、この国では年に2回、秋の収穫祭と年明けに準成人と成人した貴族が基本、全員参加する王宮主催のパーティーが執り行われると。確か広辞苑で読んだな。

 そう、貴族は全員参加なのだ。


 で、普通はパートナーと出席する。もちろん、いなければ1人で参加してもダメではない。目立つだけで。

 双子は一緒に参加してたそうだ。ルキがロキをエスコートしたり、逆も然り。便利だな。


 俺は未成人だから関係ない。頑張れよって思っていた。

「無理」

「断る」

 断れるのか?と聞けば無理だって。


「パーティーってどんなんだ?」

 立食で、王族の顔見せと叙爵される貴族のお披露目、他にも勲章の授与とか。普通に楽しそうだなと言えば

「ダンス嫌」

「注目されるのやだ」

 だそうだ。


 前髪はおろしたままって訳にはいかず、そうすると追いかけ回されると。

 頑張れよって言ったら涙目で見られた。

「認識阻害かけて」「目立たなくして」

「婚約者いるのに」「連れていけないのは嫌だ」


 小指の指輪は婚約者の証だろって言ったら

「それでもいいとか」「一晩でもとか」

「子だねがとか」「抱いてとか」

 …怖えなそれ。流石に可哀想になった。


「クリス、認識阻害出来るか?」

「そうですね、あらゆる人間に掛けますか?」

「あらゆる?」

「はい、家族でも分からないレベルの」

 やり過ぎだろ!あ、でもそれはそれで有用か?


「切り替え出来るか?」

「可能です」

「じゃあ2人の判断で切り替えて」

「畏まりました」


 何やら目を瞑ってから双子に手をかざす。淡く光ると元に戻った。変わんないぞ?

「主のジョブですから、主人には効きません」

 そうか。

「ありがとう」「助かる」

「アマランたちにも阻害するなら困らないか?」

「分かっていれば大丈夫です」

 ならいっか。


 さらにパーティー用のスーツを作らないとダメらしい。それも嫌なんだって。服飾店は女性が多い。採寸で体を触られるのがとにかく嫌だと。というか、裸にしようとしたり、下半身を触られそうになる事が多いとか。

 それは嫌だろうな。

 ならば男性と思っても、今度はそいつららが同じことをする。詰んでるな。


 どうやら美男が多い貴族の中でも双子はとりわけ顔がいいみたいだ。

 涙目で縋り付かれるのは困る。俺が作るか?

 クリスを見ると頷いた。布だけベルナ商会で仕入れるか、自分たちの商会で仕入れるか。


 セイが帰ったら相談しよう。


 その日は夜は落ち込む双子を元気付ける為にきのこづくしだ。それと新作だ。

 実は、ルーガスから食材が届いた。向こうを出る際に、漁業ギルドのマスターに

「食える魚か手軽に聞けたらいいのにな」

 とポツリとこぼしたのがキッカケ。


 で、転送箱を作った。腕に抱えられる程度の箱。その箱と箱は転送装置になっている。

 で、手紙と共に送られて来たのが白魚。そう、あの白魚。季節感は分からないけど嬉しい。

 だから白魚の天ぷら。絶対美味い。


 献立はこんな感じだ。


 前菜 きのこ入りアヒージョ風

 スープ きのこのあっさりスープ

 副菜 舞茸、白魚の天ぷら

 口直し 銀杏と松茸の茶碗蒸し

 主菜 松茸、舞茸、平茸とオーク肉のソテー

 飯もの きのこの炊き込みご飯 三つ葉添え



 和って感じだ。

 食ってる間はやたらと静かだったみんな。

 飯ものまで食べ終わるとアマランとウルグが立ち上がって俺の手を取って跪く。

「「一生ついて行く」」


 間に合ってるわ!まったくヤローなら双子で充分だ。

「ルキとロキは女枠で」

「俺たちが男枠だ」

「それなら仕方ない」

「そうだね」

 仕方なくないだろ!セイも頷くなよ。





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