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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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8.薬草採取2

 でも急ぎなんだよな。

 このレ行草はどれも貴重な薬草。その価値はララ草が1番安くて、リリ草は2倍、ルル草は5倍、レレ草は6倍でロロのは実に10倍。ケガにも病気にも効く薬が作れるんだって。

(山の割れ目に沢山ある)

 コハクがしっぽをバサバサして言う。いや、山の割れ目って危険だろ?却下だ。


(依頼受けなとかマジにヘタレだ)

 分かっててもクレバスなんて嫌だよ。安全第一。

(取りに行くのはキツネだから安全だろアホんだら)

 くっ口悪いなコイツ。


 まぁ急ぎなら受けるか。またしてもリクが掲示板から剥がす。窓口に行くと今日は登録のおじさんがいない。そしてまたあの怖いお姉さん。なんか空いてるから並ぶとね?


「ロロ草?素人のガキがいきってんの?無理よ」

 こっちも口悪いな。でもな、即死ね!とか言われてると慣れるんだよ。いきってんの?なんて優しい優しい。

「大丈夫、キツネがいるから」

 手を出された。ギルドカードを出すと手続きをしてくれた。


 さて、行きますかね。

 また違う門から外に出る。門にいる兵士さんはみんな声を掛けてくれる。村人B補正凄いな。


 ポクポク歩いて山に入った。足元が悪くて進みが遅くなる。主に僕だけど。

(相変わらずおっせーな)

 咥えて背中に放り出された。リクは早い。助かるよ、マジで。

 カラスは元からリクの背中。白玉は俺の肩、イナリとコハクは足元を走ってる。こっちも早い。


 で、着いた。本当に割れ目だ。と言っても幅が何メートルかはある。覗き込むと確かに岩肌にロロ草らしき草が密集してる。底は見えない。


(間違いなくロロ草)

 ジョブで取れないかな。

(採取道具を具現化しますか?)

 それだ!ロロ草の根に当てて具現化だ。


 ジョブが発動して採取。草は風魔法を具現化して手元に引き寄せた。

 見える範囲より少し下から採取した。誰かが取りたいかもしれないし。


 あれ、なんだ…?

 えっ凄え、マジなんか。イナリとコハクが断崖絶壁を駆け上がってくる。

 口にはロロ草がギッシリ。

「凄いな、イナリ、コハク。ありがとう!」

 受け取って頭を撫でる。


「ケガしてないか?」

 脚や体を調べる。大丈夫だな。

(こんなの余裕ー)

(余裕のよっちゃん!)

 …この世界にもあるのか、そんな表現が。


 僕がジョブで採取している間に下に駆け下りてたらしい。凄いな、2匹とも。

 僕が20束、イナリとコハクはそれぞれ30束以上。納品は5束から1束単位で買取。採取依頼自体は3000リラだけど、買取が5束で1万リラ。お高いよね。



 実はカスミ草もかなり高価で、そもそも完璧なカスミ草の採取は困難を極める。近くに違う花が群生する。というか、似た花が群生する場所にカスミ草が点在する。だからそもそも見つけるのが難しい。

 透視スキルが有れば見つけられるが、採取の難易度も高いのだ。



(ほかにも使える薬草があったから取ってくる!)

 また崖を駆け降りて行った。

「無理するなよー」

 聞いちゃいないな。豆粒みたいな大きさで底に着いた2匹が見えた。走り回ってる。まいっか。


 俺は近くに見えたきのこを採取だ。これって木が菌床なんだよな?近くの倒木に菌を植えられたらきのこを自家栽培とか出来ないかな?

(具現化スキルをだしますか?)

 します!

 手元の倒木が僅かに光った。

(きのこの菌床付き倒木)

 よし、きのこを取ったら回帰ジョブで元に戻して、永遠にきのこ祭りだ!!


 イナリたちがまた駆け上がって来た。

(取れたよーケガによく効く)

(病気に効く薬になるー)

 それぞれが金色と銀色の苔を口に咥えていた。

 うわぁ、きれいだ。受け取ると手の中で僅かに発光している。


(銀苔 あらゆるケガに効く薬が作れる

 金苔 万病に効く薬が作れる)

 …凄いな。でもおいそれと納品できないぞ?どうやって取ったのって聞かれそうだし。自分用だな。

「ありがとう!イナリ、コハク」

 頭から背中をなでなでした。もふいな。


 悪寒がして振り返ると、蛇が鎌首をもたげて俺の首を狙っていた。噛まれる!目をぎゅっと瞑る。…あれ?噛まれない。

 目を開けると地面にピクピク痙攣した蛇が横たわっていた。何が?


(ビビリなお前が結界が有ればって考えたらから、具現化が発動した)

 解説は透視スキルだ。緊急だったから、ジョブが自己判断で発動したっぽい。助かった。

 動きを止めた蛇を回収する。


 まだ昼前だ。取り敢えず、山から降りるか。

「山から降りたら昼ご飯食べて帰るぞ」

(はーい)

 リクにまた咥えられて背中に放り投げられる。やり方はあれだけど優しい奴だ。

 そのまま山を降りて、降りてるよな?あれ、登ってる?

 リク?

(…)

 無言だ。そのままズンズン登る。


 リクが足を止めたのは大きな木の下。見上げると実がなっていた。食べられるの?

(山桃 美味)

 食べられるんだ。でも高い場所にあるからな。どうやって取る?風魔法を具現化するか。


 シュッ

 落ちて来た。横からパクリとリクが食べた。

(もっと取れ!)

 はいはい。沢山取った。ほどほどには残したけどな?

 自分も食べる。甘い!瑞々しい。皮が残る。回帰出来ないかな?


 …出来た。慌ててリクが丸呑みしようとしていた桃を回収。

(あ…?)

「皮を取っておけばジョブで元に戻せるんだ」

(早く言えよ!)

 その前に食ってたろ?元の数よりは当然増やせないからな。皮を一部でも取っておくのは大切なんだ。

「寄り道したのはこの桃があったからか?」

(それだけじゃ無い。食料調達だ)

 へっ?


 ガサガサッ




 うわあーーー、リク待って!背中に乗せてー!!

 俺は出来る限りの早さで走っていた。しかし、足元が悪い山の中、木の根に躓き、草で滑りながら走る。

 後ろからはブモーっと声を上げる魔獣、オークが迫って来た。2足歩行の豚だ。リクの言う食糧だ。


 ちなみにリクが先頭で、背中にカラスと白玉。俺の前にはイナリとコハク。しんがりが俺。

 逃げ切られないと分かった俺は覚悟を決めて対峙する。剣を腰から抜く。

 ふぅ、落ち着け俺。奴の皮は硬いし、魔法も効かない。なら斬撃で内蔵まで達するよう物理で押すしか無い。


 集中する。

 風の斬撃に力を乗せて…えいっ!



 シュバッ



 …あれ?普通に真っ二つだ。

(威力考えろや!)

 とはリクだ。


(風の斬撃に強い想いが乗り、達人も真っ青な一撃が繰り出されたぞ、ビビリの勝利だな)

 マジか…ビビリ万歳?

(ケッ)


 真っ二つのオークから血の匂いが漂う。あ、無理…俺はその場で吐いた。胃から迫り上がったものと、そして涙が溢れて止まらない。

 気がつくと背中に白玉が、両脇にイナリとコハクが寄り添っていた。


 顔を挙げるとカラスが脚で俺が吐いたものに土を掛けた。匂いは魔獣を引き寄せるからな。

「みんなありがとう…」

 まだ涙は止まらないけど、イナリ、コハク、白玉そしてカラスを撫でる。その温もりはとても安心出来る。泣いている間、みんなが守ってくれたんだな。ありがとう。


 ようやく泣き止んで立ち上がった。

 土を払うと振り返る。何も無い。リクを見ると

(軟弱者の代わりに収納した)

 やっぱりツンデレだ。


 立ち上がった俺を咥えて背中に放り投げた。いつもよりほんの少し優しく。こうして山を降りて、そこで昼ごはんだ。と言っても俺は流石に食べられず、コーンスープだけ飲んだ。

 はぁ情けない。水をゴクゴク飲んで立ち上がった。

「帰ろう」


 そこからは順調に街まで帰った。ポクポク歩いてるけど相変わらず早い。イナリとコハクは俺の膝の上で丸くなって寝てる。カラスはリクの首もとに、白玉は俺の肩だ。オークに追いかけられてる時はサッサとリクの背中に避難してたのにな。


 門で兵士の人に声を掛けられた。

「大丈夫か?坊主。顔が悪いぞ!」

 ほっといてくれ、そこは顔色だろ?

「ちょっと追いかけられてな」

 驚くと

「大丈夫だったか?」

「なんとかな…」

 と返した。流石にリクから降りて歩いてたから。よろよろしてたのを心配されたようだ。





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