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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律
第1章 転移した

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88.双子たちベルシティに戻る

 その日の夜は一杯だけと決めて酒を飲んだ。そう、一杯と。あれ、一杯はいっぱいの間違いか。

「いっぱいだな?ははっ」

 爽やかにセイが言う。

「だよな?一杯とか無いよな?飲もう!」

 カオスな夜は更けて行った。



 目を覚ます。ん、体が怠い。頭は…痛く無いな。で、やっぱり隣にはセイが寝ていた。服は着てるな。よし、セーフだ!

 起き上がって水を飲もうとして腰が抜けた。なんか、力が入らんな。治癒、と。俺ってまだ子供なのにちょっと飲み過ぎかな?少しは控えよう。


 セイを見る。スヤスヤと寝ている顔はまだ若い。おっさんからしたら10才も年下だ。まだ若者なんだな。

 今日はコハクに殴られなかったし、セーフだな。セイの寝顔を見つつ、朝飯に思いを馳せる。

 うん、アレにしよう。


 カバンから材料を出す。小麦粉と牛乳、卵に砂糖。これで生地を作る。

 後は鳥の胸肉に青菜、レタス。チリソースも用意した。

 鮪から作ったツナもマヨ和えにする。マヨは風を作った。なんちゃってだ。

 七輪でクレープの生地を焼く。


 焼けたものからカバンに入れる。

 材料を用意。せっかくだから溶かしたチョコレートと生クリームを混ぜてチョコクリームと、ホイップした生クリームを作る。

 バナナを切ってと。

「ん…」

 振り向くとセイが体を起こしていた。そして服を見て安心している。分かるぞ!俺も安心したからな。


「おはよう、いい匂いだな」

「おはよう。だろ?食いたくなって作った」

 セイが顔を洗って着替えて来た。俺の後ろから覗き込む。

「匂いからして美味いな」

「食べてから言ってくれ」


 椅子に座ると皿を取り出す。材料を包んでくるくる巻いて手渡す。

 俺もかぶりつく。美味い、おかずクレープは男子の夢だ。セイほ黙々と食べている。俺は1つで充分、次はチョコバナナ生クリームクレープだ。


 もりもり盛って渡す。あむっ、おお…これぞクレープって味だ。美味いな…たまに甘いもんが食いたくなる。

「美味い!なんだこれは…うますぎるだろ」

 セイは4つも甘々なクレープを平らげた。


 そして元気にギルドへ出勤して行った。



 時間があるな。

 今日、青い稲妻が帰る予定だ。何か新しい料理でも作るか?やっぱりひき肉料理だよな。肉団子美味いって食ってたしな。代表的な料理はハンバーグなんだが、違うものが作りたい。


 何故か?考えれば分かるが、作るのが大変なんだ。

 整形して空気を抜いて。焼くのだって難しい。

 んー楽に大量に作れるもの。あ、アレにしよう。ここはガチのオーブンがあるからな。


 部屋を出て厨房に入る。

「おや、カスミ坊ちゃん。新作ですか?」

 タウロスが立ち上がる。

「うん、今日、青い稲妻が帰ってくるから。手伝ってくれる?」

「もちろんでさ!で、どんな料理です?」

「お肉を細かくしたアレを使うんだ」

「アレですか…」

「そう、後はこれ」


 俺はカバンからパウンド型を取り出す。パウンドケーキを作るのにクリスに作らせた例の奴だ。

 もう業者並みの数が揃う。その数20個。オリハルコン製だ、ふははっ!

 タウロスの目が点だ。食材を自ら取りに行くタウロスは鑑定のスキル持ちだ。


「いや、坊ちゃん。料理の道具にオリハルコンとはまた…やりますね!」

 だろ?それしか金属を持ってないんだ。アルミがあれば楽なのにな。

 チタンコーティングするとなおいい。


 話を戻して、オリハルコンは熱伝導性が良く丈夫。素材としては硬いから、気軽に料理道具にするのは実は難しい。そもそも薄く錬成するのがな。というか、そこまで出回らない素材。まさかの調理道具にする人なんていないわな。

 って事なのだ。


 ひき肉にするためのミルサーはすでに開発済み。ただ比較的小ぶりだから、クリスに業務用の大きな奴を作らせていた。タウロスには進呈済み。

「お肉を細かくするアレですな…どの肉にしましょう?」

 豚肉がいいけど、有り余ってるからやっぱりオーク肉かな。

「なんでもいいんだけど、オークと後は…カエルの肉も使おうか」

 単に余ってるからだ。イナリとコハク、白玉がたくさん取ってくる。増える一方だ。


 俺が出した肉をタウロスがひき肉にして行く。凡そ10Kg。タウロスにも時間遅延のマジックバックをロキが作った。特大の保冷箱もある。余ったら保管しておけばいい。

 野菜を混ぜ合わせて味付けをして、パウンド型に詰めて行く。クリスも手伝って黙々と詰める。20個出来た。


 で、魔道具のオーブンで焼く。

 試しに2個ほど。火加減と時間が分からないからな。で、串を刺して肉がつかず肉汁が溢れる頃合いで取り出す。ゴクリ、試食だ。

 一切れずつ皿に載せる。なぜかヒルガもいる。

 ふーふーふーパクリっおぉ…肉汁が溢れ出す。んまい!


「おぉ…これはまた」

「ほふほふ、ほほっこれもまた美味しいですな」

 試食の筈が、2個食べてしまった。俺は一切れしか食ってない。

 中に入れないリクたちが部屋のドアのガラス部分から張り付いて中を見てるから、食べさせてやった。

 バクバク食ってたな。


 手を付けてなかった柔らかい食パンも焼いた。トースト型も作ったんだ。これで有名な喫茶店のアイス乗せパンが食える。

 ミートローフに合わせるのはバターロールだ。バターは普通に売ってるから、それを練り込んで巻いて作ったぞ。試食のパンは20個も無くなった。試食だよな?


 追加で100個も作らされた。仕方ない、柔らかくて美味いからな。自作でバター作るか?

 セイに相談して乳牛買おうか、これはタウロスとも相談だ。

 俺が学院に行き始めたら、流石に3食の料理は作れないだろうし。タウロスにはたくさんレシピを覚えてもらわないと。


 なんだかんだと試食で腹が膨れたから昼飯は無くていいな。スープだけ飲むか。簡単に野菜の切れ端とコンソメでスープを作った。当たり前みたいにタウロスとヒルガも器を出す。ですよねー。


 スープを飲んで体も温まった。よし、散歩だ。リクたちを走らせて庭に向かう。厨房のドア近くで待ってたからな。持って来たバターロールをリクの口に放り込み、カラスとスズメには千切って、白玉にも半分にして、イナリとコハクにはそのまま、あんこにも小さくして食べまさせる。美味いのか、静かだ。


 庭に出ると今日もいい天気だ。外に出たい。出たいがセイが心配するからな…我慢だ。

 ここも花が植えられている。整備してる人がいるんだろう。庭師かな。きれいな花は見てるだけで癒される。


 こうして、膝にイナリとコハクを抱えてのんびりしていた。ほんとこの世界に来てから色々有りすぎるよな。

 俺はモブ枠なのに。だって腐れジョブだぞ?気が付かなきゃ惰民だったんだ。クソ怖えよな。

 そのままこの世界に来てからのことを思い出してうとうとしていた。


 ん…なんか騒がしいな。

 目を開ける。俺に向かって双子が走って来た。目を擦る?おかしい。人間のはずなのに、見えないしっぽがブンブン振れている。疲れてんのか?

「「カスミ!会いたかった…」」


 両側から抱き付かれた。つっても3日振りか?会わなかったのは2日だけだぞ。

「婚約者」「大切」

 双子の愛が重い。物理的にも重い。芝生に座っていたからのしかかられている俺だ。頬に頬を当ててすりすり、首元の匂いを嗅いで(やめてくれ!)全身触って(お天道様の下で何してんだよ)キスされた。


「ふはっ」「予想通りだな」

 なら助けてくれ!と声を大にして言いたい。




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