80.湖でバカンスを満喫
夏は湖の湖畔に秘密基地を作ってから本番を迎えた。暑い…でもここは吹き抜ける風が涼しくて、家の中にはクーラーがある。
居心地がいい。
リクなんていつもなら外に出せって言うのに、部屋の中でダラダラしてる。やっぱり毛刈りしてやるかな、ふかふかの毛皮は暑そうだ。
目が覚めると温かい。不思議と暑く感じないのは何故なんだろう。俺は今日も双子に挟まれて寝ている。
流石に夜の運動はそんなにしていない。俺の体が持たないからな。
でも寝るのは一緒がいいと言われてな。
ただ、コハクが寂しがるしリクも不満気だから日を決めて寝ている。
相変わらず寝顔はきれいだ。その白い頬を突く。不思議なもんだな…世界が変われば価値観も変わる。
この世界では同性同士のカップルは少なく無い。血を残さないといけない貴族は別だが、平民だと4割くらいが同姓婚だ。
転移で抜け出してリク、カラス、スズメ、白玉、イナリ、コハク、あんこ、スイを撫でる。スズメは立派になって卵を産む。烏骨鶏の卵が毎日4個。助かるぞ!
もふっていたら
「カスミ…」
呼ばれた。手を伸ばす双子。その手を掴んで体を起こしてやる。ふにゃりと笑う。可愛いと思ってしまう俺がいる。おっさんからすればかなり年下だ。
居間に朝食を作りに行く。今日はワッフルの気分だな。タウロスと手早く準備する。
「美味しい」「美味しい」
大好評だ。付け合わせはハチミツ、クリームチーズ、ジャム各種だ。
カリッとしつつモチッとするワッフル。みんなどんだけ食うんだよ!
「ご馳走さん、今日も美味かったぞ!」
セイはここから毎日、ベルシティの冒険者ギルド通っている。馬車?ないない、そんなのは無い。セイは自分の馬で通勤している。
夏はいつも暑くて寝苦しかったらしいが、ここは普通に涼しい。俺はリクがいるからクーラーを入れてるが、夜は心地よい風が吹くから、少し窓を開けて寝ればしっかり眠れる。
だからここから通勤だ。
青い稲妻も俺も、ここから冒険者ギルドに向かう。どうやって?例の風魔法で進む奴だ。全員がしっかり使えるようになったから、早い早い。歩くと1時間半だが、風魔法なら30分もかからない。人がいるところでは使わないが、使えたら本当に便利なんだ。
時々はちゃんと走ってるぞ!体力をつけるために。
依頼が早く終われば湖畔で湖水浴。ビーチチェアに寝転んでパラソルの下で涼む。
もちろんトロピカルジュースは必須だ!ちゅるちゅる飲む。セイは仕事だから休みの日だけしか出来ないが、俺たちは早めに依頼が終わればバカンスだ。
「僕も」「飲む」(よこせ)
俺がトロピカルなジュースを飲んでいると、双子は自分たちのを置いて俺の隣からちゅるちゅる飲むのはいまだに謎だ。
「婚約者」「仲良くする」
そんな風習が貴族にあるんだと思った。
(注 そんな風習はない)
リクも何故かストローで器用に飲む。トロピカルジュースを飲みながらビーチチェアに寝そべるアルパカ、シュールだ。
夜は湖畔でバーベキューからの…いや、酒って美味いよなぁ。自信作のビールがマジで美味い!ウイスキーはソーダ割り派だ。
しゅわしゅわは双子も大好きで、翌日は休みと決めた日はみんな大いに飲む。
で、毎回謎な目覚めをする。
ある時なんかアマランが湖に浮いてて焦った。クリスが沈まないように水を固定化していて良かった。死ぬだろ、普通。
セイにビールを売って欲しいと言われて、セイの実家とルキたちの実家、そしてベルナ商会に卸した。でもベルナ商会では販売せず、自分たち家族で飲んだみたいだ。誰にも買わせねーってか?
夏のビールは美味いからな。
そんな風にして約2ヶ月くらい続く暑い夏を乗り切った。いや、楽しかった。
ベルたちが様子を見に来て食って飲んで、商会としては夏用のクール石けんを作ったら、冒険者を中心に爆売れしたり。保冷庫もベルナ商会とルキたちの実家のシュプール商会に卸したりした。
リベリアーノ兄様は俺がポンポン作ってセイが売れるぞ!と言った品物をどう販売するかを決めて、商業ギルドへの登録も担ってくれた。
なので何か作る度に
「だから考えなしに作るな!売れすぎて手が回らないだろー」
と怒られる。もはや風物詩だ。
俺たちの商会は店を持っていない。卸専門だ。
販売先はベルナ商会とルキたちの実家のシュプール商会。広場への出店は、冒険者ギルドに依頼を出した。歩合制で、売れれば売れるだけ依頼料が増える。そこで、例の俺が助けた子どもが活躍した。
最初はクリスが手伝って。金の勘定も教えた。すると子どもならではの無邪気さで、毎回完売だ。
もちろん、固定客がいたのも大きい。
こうして、商会も大きな商いこそしないものの、順調に売り上げを伸ばした。販売先も販売数も絞ってるから、プレミアム的な感じで高く売れる。これはリベリアーノ兄様の戦略だ。
海産物の販売も大きかったし、魔国から入る薬草も安定した収益を産んだ。なんせ、自分で上級ポーションを作れるんだからな!薬草自体の販売はやめてポーションにした。
ロキが賢者として目覚めたから、上級ポーションを作れるようになったんだ。
商会として冒険者ギルドに販売する事で、救える命も増えたとセイが喜んでいた。
もちろん、教会に目を付けられないような金額で数も絞って販売したぞ!
こうしてあっという間に2ヶ月が過ぎた。夏は終わった。俺のバカンスも終わりだ。ツリーハウスは亜空間に丸ごと収納した。また来年も使えるといいな。
みんなも心なしから寂しそうだ。楽しかったからな。
そして秋が来て、俺たちはギルドの宿に戻った。
再来年からは貴族としての勉強が始まる。嫌だなぁ、と思っていた。何気に双子にも愛着がわいている。離れるのは寂しいと思う程度には。
まだ時間はあるが、なんとかならんかなーと思っていた。
そしたらセイから提案があった。
「ベルシティで冒険者をしながら勉強出来るぞ!どうする?」
その代わり大変だぞ?と。もちろんそれがいい!
ただ条件があった。セイと暮らす事。それが唯一の条件だった。
俺は別に構わなかったが、双子が猛反対した。離れたくない、取られたくないと。それで、結局は青い稲妻も一緒に暮らすことになった。
「むう、仕方ない」「離れるよりいい」
とは双子談だ。こうして俺たちはセイと暮らすことになった。あれ、なんか前倒ししてね?
「セイ、再来年からじゃないのか?」
と聞けば
「慣れるには早い方がいい」
だってさ。でも何故か食事は今まで通り俺も作っている。タウロスがいるから楽ちんだが、なんでだ?
「カスミの作るご飯がいい」
「カスミの飯は絶品だ」
だとさ。
そうして、住む家は変わったが、大きな環境の変化はなく順調に冒険者として生活をしていた。
俺は今、Bランクだ。ソロのBランクは珍しい。俺はテイマーだと思われてるから尚更だ。
でも、俺自身は弱いから(注 本当はえげつないくらい強い)、パーティーのお誘いを受ける。
(ソロのBランクは実力者だから人気)
その度に、双子が「ダメ」「渡さない」
アマランとウルグも
「俺らの仲間に何言ってんだよ!」「カスミは俺たちの仲間だ」
と言ってくれる。
なら何故パーティーに入らないか、それはリクたちが無双するから。配分がめちゃくちゃになってしまうんだ。だから基本はソロとして活動している。パーティーでの仕事には時々お邪魔してるぞ。
そうして、暮らしながら貴族としての常識を身につけつつ、冒険者として、商人として暮らす毎日を過ごした。アマランとウルグも冒険者兼商人の護衛となるから、最低限のマナーを一緒に学んだ。
俺は座学は特に問題なかった。知らないのは地理と歴史。魔法学くらいか。
でもこちらは国も少ないし、歴史もあまり無いから覚えることも少ない。魔法学、知らなくても発動できる。魔道具も作れるし、魔石も作れる。ポーションだってクリスがいれば作れてしまう。
数学、簡単過ぎて驚いた。方程式とか微分、積分なんかも無い世界だ。四則計算だけとかご褒美だろ!
ってな感じで問題なかった。
なので、主にはマナー関連だ。それくらいで概ね王立学院に入る程度の学力になるらしい。
なので、言葉遣いやらマナーやら貴族名鑑の記憶くらいが必要なだけだった。
王立学院は王都にあって、寮に入るか通うかだ。普通はベルシティから通えない。しかし、俺には転移がある。なので、お父様とお母様にも相談して、王都にごく簡素な屋敷を借りることにした。もちろん、普段は住まない。ただ、直接学院に行くと不自然だからそこを経由するだけだ。
それに、たまに王都で仕事をする時に拠点に出来る。その程度だ。部屋は4LDKで屋敷というには狭いが、ロキが空間魔法で広げた。
これなら青い稲妻も簡単に王都で依頼を受けられる。
そんな日々を送っていた。
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