74.ラグナシティにて
ラグナシティ3日目の朝は俺の悲鳴で始まった。
目が覚めたらまたぎゅうぎゅうだった。頭痛い…
「リグ、頼む」
なんか冷めた目で見られた。なんでだよ。
「出来ません」
頭痛くて割れそうなんだけど。
「頭痛いのが辛い…」
ふっと頭が軽くなる。良かった。すると違う場所が痛い、というか全身?すごく怠い。
目の前のルキが目を開けた。
「カスミ、おはよう」
キスされた。
「おはよう、ルキ。その昨日は…?」
「凄かった…」
すべすべの肌は気持ちいい。ん…すべすべの肌って。体を離す。あれ、撫で撫で…うわぁ。
「朝からいいの?体は…」
待て待て…朝から?
そっと背後のロキに触れる。手を押さえられた。
「むうまだ足りないの?僕はいいよ…」
いや、ちょっと…背後から腰を抱きしめられる。肩にキスをされた。
体が怠いのって…
(昨日の夜にいたしたからだろ!酔ってやりまくってたぞ)
ぴょっ。やりまくったとは何を?
(そりぁな…だろ)
うわぁぁ…マジで?記憶が全くない。いや、この場合は無い方がいいのか。
「朝から積極的」
「嬉しい」
そこで必死に記憶がないと伝えた。それで思いとどまるだろう。ホッとしたのも束の間
「思い出すまで」「仲良くする」
「いやぁぁーーー」
その日は起き上がれなかった。
双子が嬉々として俺のお世話をする。
それがまた拷問というか、な。あーんで食べさせられる、膝枕で昼寝、またあーんで食事、また膝枕時々キス。夜にはお風呂だ。
「僕たちは大丈夫」「カスミのお世話する」
かえって恥ずかしいからやめろー!
そしてその夜は酔ってないからバッチリ記憶があり、双子が…鬼畜だった。リグ…回帰してくれ。
(ダメです!主のための痕跡なのですから)
どうやら、既成事実が必要らしい。そうか、これは俺を守るためのものなんだな。なら今だけか。
ホッとした。
翌朝、起き上がれるようになりせっかくなので街歩きだ。セイの案内で護衛騎士が周りを取り囲む。俺は今、弱っているしイナリたちはお留守番だからな。俺自体は非力だし。
馬車から降りて歩く時は双子が両脇、前にセイ、後ろに護衛騎士。もちろんセイの前や双子の横にも護衛騎士。
大所帯だ。商業ギルドで諸々の登録をして、というかセイとリベリアーノ殿がやってくれた。俺は双子に寄りかかって休んでたぞ!
市場は護衛できないからと、大きな商会にやって来た。そこで色々と買い込んだ。余は満足じゃ。
ルキとロキが寄りたい店があると言って向かったのは宝飾店。双子は髪の毛を下ろしている。
リベリアーノ殿とセイが入ると中から嬌声が聞こえた。お店の人がとりなしている。うるせーな。眉を顰めながら双子と共に中に入る。
俺も前髪を下ろしている。ヒソヒソされてるのは分かるが、俺じゃないだろ。
双子はショーケースから水色の石を選んだ。
「天然の魔石でして少々値が張ります」
「構わない、そのまま買う」
加工しないという意味だな。
値段を聞いて驚いた。100万リラって…思わず
「おい、高過ぎるだろ」
と言えば
「「婚約者に贈るなら普通」」
マジか。広辞苑によると貴族の婚約では双方が贈り物をする。大体は相手の目の色か、自分の目の色だ。
100万リラでも決してめちゃくちゃ高くない。ただ、加工していないから。
多分、加工は俺なんだろう。少し複雑だ。
買い物を終えると、昼ごはんに向かう。リベリアーノ殿のお勧めらしい。
入り口を入ると個室へと向かう。その途中で
「まぁーシュプラール侯爵令息様方…奇遇ですわ!」
甲高い声が響いた。
双子は俺をしっかりと挟むと無視して進む。案内の人が戸惑っている。
後では
「お控え下さい。当方ではお客様同士の接触はしないようにしております」
「あら、知り合いなのだから問題ないわ」
リベリアーノ殿が立ちはだかる。
「どこぞの令嬢かは知らぬが、無礼であるぞ!」
「お嬢様、だめです。帰りますよ」
「せっかく愛しの殿方に会えたのよ!お顔を見たいわ」
セイは店員に目配せをすると、その店員は頭を下げて消えた。あ、なるほど。セイはそのまま進んで部屋に入った。
背後でちょっと離しなさい、とか無礼者とかきいーとか耳障りな声が聞こえたが、双子が俺の耳を塞いでいたから余り聞こえなかった。
少し遅れてリベリアーノ殿が部屋に入って来た。
「申し訳ない、変なのが紛れ込んでいたようだ」
その後、音もなく店員が入って来ると
「申し訳ありません。我が店に予約状況を漏らした者がおります。待っていたようでした」
深々と頭を下げた。俺はいいが2人が心配だ。
「大丈夫か?」
交互に見て手を握ると
「カスミに何もなくて良かった」「恐ろしい女」
やっぱりいるのか、ああいう手合い。怖い。
飯は美味かった。あの遭遇がなけりゃ満点なんだがな、双子もあまり食って無かったし。
午後は街の端にある工房を流し見して帰った。
リクたちのお世話をしていると、魔法の気配を感じた。
リクが簡単に蹴散らす。これはオランジュか、懲りないな。
振り返らずに無視した。また魔法の気配。今度はカラスが顔面にキックした。
「うわぁ…」
近くにいた護衛騎士が俺に剣を抜く。うわ、頭悪い。魔法使うのを諌めろよ、マジで。
リクが足を蹴っている。好きにさせるか…
「平民のくせに」「無礼な」「オランジュ様の仇」
いや、死んでねーだろうが。
剣を抜いて切り掛かってきた。俺は知らねーぞ。
ドゴッボゴッ。
弱いな。
これは全治3ヶ月くらいの重症だな。ま、いっか。無視して部屋に向かった。オランジュ?漏らしてたぞ!
近くに青ざめた従者がいたから大丈夫だろう。
俺は部屋に入ってコハクを抱きしめて寝た。双子の愛が重い。
あれ、ここは…。あ、白い髪に金の目の美形だ。
「コハク!」
「ふん、浮気者」
俺だって不可抗力だ!俺より少し大きいコハクを抱きしめる。沢山キスしていたら力が抜けた。猫足ベッドに横たわるとコハクが熱烈に…
「コハクが1番だぞ」
と耳元で囁けばふにゃりとなった。可愛いな、おい。
コハクを堪能して寝た。
目が覚めるとソファでコハクを抱っこしていた。頭にキスをする。起き上がると伸びをした。体の調子もあるんだが、少し退屈だ。そろそろベルシティに帰りたいな、と思っていた。
その夜も双子に拉致られて…寝た。体が怠い…全く、なんで双子は元気なんだよ…勘弁してくれ。
あぁぽよんにだいぶしたい。
目が覚めると水を飲んで、転移で抜け出した。庭に向かう。相変わらずきれいなバラだ。
*****
目を覚ますとカスミが腕の中にいなかった。ロキを起こす。「カスミがいない」
部屋にいないなら厩舎か?着替えて向かうが今日は来ていないと言う。庭に回る。
「カスミ…?」
カスミの魔力が感じられない。どうしよう、カスミが。
庭で痕跡が途切れている。
「クリス…?」
クリスもいない。
カスミの部屋に向かう。いない、隣のギルマスの部屋に向かう。執事が開けてくれた。
セイルさんは起きていて僕たちを見て
「カスミは?」
「いない」「厩舎にも庭にも」
そこからセイルさんが当主に話をしに行く。屋敷中探してもいなかった。
僕はオランジュとレムリアに向かって行く。
「カスミは?」
2人は当然「知らない」と答えた。
2人からはごく僅かにカスミの魔力を感じた。
「セイルさん、2人からカスミの魔力が」
セイルさんは2人の体に触れる。そして弾かれたように手を引いた。顔が青ざめている。
「カスミが…危ない」
僕たちを見る。命じゃなくそっち?許さない、僕たちのカスミを…
今、助けに行くよ。
俺は…なんか頭がぼーっとする。ここは何処だ?
窓に鉄格子が嵌っている部屋の床で俺は目を覚ました。体が思うように動かない。
(魔力を吸い取る腕輪を嵌められている)
トーカ、取る方法は?
(無理やり取ると手が切断される)
うっ、リグで回帰できるけど痛いのは嫌だな。
(リグも魔力依存だから)
使えない?
(魔石があれば)
俺のじゃなくても?
頷くトーカ。俺はその都度作るからストックは無い。
ぼーっとしながら魔石を取り出そうとして亜空間が開かなかった。
『神官と聖女』が昨日で完結しました!
10話の短い連載です
珍しく恋愛(悩んで恋愛にしましたが最初はファンタジーで投稿していました)ジャンルです
ほろっと泣ける…筈?
よろしければそちらも
*読んでくださる皆さんにお願いです*
面白い、続きが読みたいと思って貰えましたらいいね、やブックマーク、↓の☆から評価をよろしくお願いします♪
評価は任意ですが…もらえるととっても嬉しいです!
モチベーションになりますのでどうぞよろしくお願いします♪




