69.具現化ジョブで具現化した具現化ジョブの人型
甘さ控えめだ。セイも食べると「美味いな、コーヒーに合う」
そうだろそうだろ。
「それで、カスミ。その子は?」
あ、クリスの説明してなかった。
「私は具現化ジョブ、つまり自分で具現化した具現化ジョブの人型です。名はクリスと申します。以後、お見知り置きを…」
胸に手を当てて恭しく頭を下げた。
一瞬の間があって
「ジョブの具現化」「人型」「具現化のジョブ」「具現化ジョブで具現化した…」「ジョブの人型」
「「えぇーーー!」」
そんなに驚くか?首を傾げた。トーカも呼ぶ。
「トーカおいで!」
手のひらに止まったトーカを見る面々。
「そ、それは…?」
「スキルです」
俺の説明に頭に手を当てたクリスが
「主は説明が壊滅的に下手でして…スキルを私が具現化した存在です」
「「えぇーーー!」」
仲良しだな。
「カスミは今の反応を見てどう思った?」
セイが笑いながら聞く。
「仲良しだな?」
また一瞬の間の後に爆笑された。解せぬ。
「いや、ぐふっ…カスミはまた、あははっ」
お父様、笑いが堪えられていませんよ。
「うふっいやね、もう…カスミは可愛いわぁ」
兄様たちも顔が笑ってる。
「ふう、いやはや。セイルールは見る目があるな」
お父様が言った。
「カスミはこういう子」「クリスを調味料の作製に使う」
「うふふっ…カスミは、またなかなか…」
セレスティアさんまでぷるぷふ震えていた。
なんかタイミングがなぁ。贈り物、チラッとセイを見る。
「どうした?」「あの…その」
もじもじしていると肩に触れる。じっと見上げれば
「あ、そうだな。今いいぞ」
感じ取ってくれたようだ。ホッとした。
「その、カスミはセイのスキルをどう思う?」
どう?
「便利…」
「便利?」
ニア兄様が聞き返す。頷く。
「察してくれるし、体の悪いところも気が付いてくれるから」
セシア兄様が
「その、嫌では無いのか?」
「別に?そばにいれば楽だし」
「「楽!」」
お父様もお母様も聞き返す。
「あの、俺いや私は口下手なので…」
「「なるほど」」
納得されると少し傷つくな。
えっと…なんかタイミング逃したかも。困っていると
「カスミはトーカがいるので、忌避感がないみたいです。それに、くくっカスミの気持ちは読んでもウザい、とか面倒とかお得とか、後は夕飯に何を作ろうとかですし」
「ウザい」「面倒」「夕食…」
「私たちのカスミは」「こういう子です」
何故か双子がドヤった。
そしてまた笑われた。何故だ…!
「くすっごめんごめん、カスミ、出していいぞ」
俺はなんか恥ずかしくなったが、早いとこ渡したくて亜空間から取り出した。
「あの、これ…急いで作ったので。気に入ってもらえるといいんだけど」
オリハルコンの箱を5つ取り出した。セイには渡し済みだ。
「まぁ、贈り物かしら?」
「はい、あの…素人の手作りなので」
「手作り?カスミが??」
「はい」
「いや、待て。カスミ、この箱…オリハルコン?!」
みんながハッとする。
「はい。たまたま見つけて」
「たまたま…」「見つけて」
箱を持って固まってしまった。
「開けて下さい」
セイが言ってくれる。お父様が箱を開けた。そして目を見開いて固まった。
「これは…」
お母様も箱を開けて固まった。
「まぁ…なんて美しい」
セシア兄様も箱を開けて手を触れる。
「なんと、素晴らしい」
ニア兄様も
「うわぁ、凄いな」
セレスティアさんは
「なんてきれい…」
しみじみと言われた。大丈夫かな?
お父様が顔を上げると
「カスミ、素敵な贈り物をありがとう。どうしたら?」
ピンバッチだからな。
立ち上がってそれを受け取ると、襟にフラワーホールを開けてそこに刺した。
「生地は傷付けずに穴を開けました。パルシェン公爵家の花である水仙を模したピンバッチです」
お父様はそっと撫でるとお母様に見せた。
「とても素敵よ、セレナ」
お母様も俺に箱を差し出す。手に取ると、お母様のショールの合わせ目にブローチを留めた。
「このように。ドレスの胸元に飾ってもいいです」
「まぁ」
「カトレア、美しい…」
えっと俺の前で見つめ合わないで。居た堪れない。ガバッと抱き寄せられた。えっと…カトレア様は柔らかくて、なんか小さな頃を思い出した。
転移してしまって、あちらの母はどうしてるだろうか?ふと思い出して切なくなる。
体を離すと俺の顔を見て
「私があなたの母よ。家族になったのだから、甘えていいの」
中身のおっさんが邪魔をする。俯くとふわりと抱きしめられた。ほんの少し涙が溢れた。
細い指で頬を拭ってくれる。
その後はセシア兄様とニア兄様にも襟に付けて、セレスティアさんには胸元に付けた。流石に俺じゃ無くて侍女がな。
「そのアクセサリーは水晶と金具はオリハルコンです」
「セイルール、本当にお前が迅速に取り込んで良かった。カスミの性格も含めてあまりにも危うい」
「そう思ったので、カスミには負担でしたが取り急ぎ…儀式を」
お父様が俺に向き直ると
「カスミ、改めてパルシェン公爵家へようこそ。我々は君を歓迎する」
お母様も兄様たちも頷いた。
その後はティア姉様にルキとロキとの馴れ初めを聞かれた。なんだ?ルキとロキを見たら置物になってた。
「ルキとロキはその…恥ずかしがりなので」
と言えばティア姉様は真っ赤になった。
ちなみに
お父様 47
お母様 45
セシア兄様 29
ニア 兄様 27
ティア姉様 17
で、セシア兄様もニア兄様も結婚していて子供もいる。ティアは婚約中で、数年後に結婚する予定だ。
お母様は学院に入った翌年にセシア兄様を産んでいる。昔は成人したら即結婚、即出産していたのだ。
今は結婚しても出産は学院を卒業してからという子女が増えているそうだし、結婚も卒業後という人が生えてるみたいだ。
セシア兄様の子供は10才。甥と俺は2才しか違わない。しかし、公爵家には特例があり13才で結婚が可能だ。だから俺がセイの養子になれたのもその特例に当てはまれば、子供であってもおかしくない年齢だったから。
セイは結婚したくないし、でも血や魔力は残さないといけない。そこで、俺の出番だ。俺が息子になれば結婚する必要はない。魔力は儀式で継承出来る。
セイはスキルのせいで人が苦手だから。
お父様たちはそのセイの事情を知ってるから、俺を喜んで受け入れたんだろう。要はセイへの愛情故だ。
「それだけじゃない。カスミを守るためだ。俺が守りたいと願ったから」
ならやっぱりセイの為だよな。
何故かセイに撫でられた。
「カスミは自分のことは見えていない」
「鈍感…」
ルキとロキよ、何故そうなる。
セシア兄様、頷かないで。
「くすっ、いや、いい顔合わせだったよ。夕食まで少し休むといい。ヒルガ、部屋に案内してあげなさい」
客間か?
セイは笑顔で手を差し出した。その手にちょんと触れて立ち上がる。
廊下を出て階段を上がる。ルキとロキはここで別れた。
階段を上がると廊下を進み、ある部屋の前で止まった。
「ここは私の部屋だ」
セイの部屋はスッキリとした居心地の良さそうな部屋だ。そして
「隣がカスミだ」
あれ、客間じゃない?
ヒルガさんがドアを開けるとそこは広い部屋だった。
手前にソファ、窓際に机。そして奥にベッドと他に扉が1つ。
そして広いバルコニーが付いていた。
「えっ?」
客間じゃないよな。
ヒルガさんがクローゼットを開くとそこには少なくない衣服がかかっていた。
「カスミ坊ちゃんのお部屋です。こちらは奥様が用意しました」
びっくりした。俺の部屋?
セイを見上げれば
「もう家族だろ?」
なんかよく分からない感情で、気持ちが定まらない。でも、凄く嬉しかった。
隣のセイに抱き付いた。
「お、ありがとう…」
「お父様とお母様に言ってやってくれ」
頷いた俺の髪の毛を撫でながら、セイが言った。
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