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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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6.新生活

 たらふく食った。リクも満足げに口元をもしょもしょして目を瞑ってる。

 俺も何度かおかわりしたんだけど、お姉さんも何度か持って来てくれた。まだ本格的な夕食には早いからお店も人が疎ら。でも助かった。

「ご馳走様。美味しかったよ、お姉さんありがと!」

「あら、礼儀正しいのね!また来てね」

「うん」

 お金が出来たらまた来よう。リクを連れた帰り道、冒険者ギルドで依頼の話を聞こうかなと思った。

(一緒に行くぞ)

 どうやらリクも中に入れるみたいだ。


 冒険者ギルドに入る。

 それなりに混んでるな。やっぱりリクは邪魔か?

 ゴフッ

 だから不意打ちはやめてくれ!鳩尾にリクの頭が入った。

(チビは黙って俺について来い)

 はぁ、相変わらずだ。中は程々に混んでいるからな。


 リクがいればぶつかることもない。そのふかふかな背中に手をのせる。登録窓口のおじさんが気が付いて声を掛けてくれた。

「やぁ、宿はどうだ?」

「凄くいい」

「良かった。話を聞きに来たのか?」

「うん」


 それから依頼の受け方とか種類、パーティーの登録とか諸々を聞いた。

 ランクによって受けられる依頼が変わるとか、パーティーランクとか報酬とか。

「討伐した魔獣とか採取した薬草や鉱物も買取できるからな」


 リクが保管してくれた角うさぎの皮とか角は売れるのか?肉は食うから売らないが。

「角うさぎの皮とか角は売れる?」

 おじさんは驚いて

「あるのか?」

 と聞いた。肩の上の白玉を見る。頷くと

「角うさぎは数が少なくて、貴重なんだ。特に角はな。討伐と納品依頼が常設で出てるから…ちょっと待てな」


 書類をあさって一枚の紙を取り出した。

「何匹ある?」

 リクを見る。お山になってたよね?生息数が少ないみたいだけど。

(全部で12匹)

 絶滅とかしてないよな?

(人の前に出てこないだけで沢山いる)

 ひとまず5匹?でも値段聞いてから決めるか。


「5匹」

「なら依頼を受けた方がいいぞ!結構いい金額なんだ」

 討伐は素材のためで、角が1本で2万リラから。皮は1万リラから。討伐報酬は1匹2000リラ。高いな、よし売ろう。


「じゃあ5匹全部で!」

「おう、素材は状態次第だからな。ここに出せるか?」

 リクを見る。

 鼻を机に寄せて

 ドンッ

 出たね?改めて見るといい状態だ。


「肉は戻してもらえる?」

「ん、あぁ…そうだな。大丈夫だぞ!」

 僕の周りを見て納得した。

「肉を戻すなら解体料として1匹1000円かかる」

 それでも全然大丈夫。だって肉もかなりたくさん取れるから。

「分かった、お願いね」


 おじさんは角うさぎを調べてから

「こりゃ凄いな。皮も角も傷が無い。買取価格は角が4万、皮は3万だな」

 へっ?高く無い?


「皮は完璧。珍しいんだ。価値が跳ね上がる。角も、だな。ただ角よりは皮の方が外傷がない時の値段が高いんだ」

 全く問題ない。リクを見る。ドヤっていた。確かにリクのお手柄だ。

(ふんっ)

 素直じゃないな。そのふかっとした背中を撫でる。


 ドンッ

 硬貨が置かれた。35万5千リラだ。ちなみに全部硬貨。

 硬貨の種類は10、100、1000、10000、10万、100万、1000本の6種類で、実質10以下は価値がない。で

 普通に使う硬貨は1万まで。それ以上は取引とかにしか使わない。だから1万リラ硬貨と千リラ硬貨を混ぜてくれたみたいだ。その場でサッと確認した。

 透視スキルでな。

「ありがとう!」

「いいアルパカだな。村も奮発してくれたんだろう」

 優しい目で見られた。


 後で知ったんだが、アルパカはとても知能が高くて村には大体数頭いる。その中の1頭を譲り受けたんだから、大切にされてたんだろうって事らしい。村人B補正か?

 アルパカは戦闘力あり、荷運びも出来、丈夫で魔法も使える。しが空間収納持ち。そりゃオススメだよな、安かったし。

 透視スキルってば悪態ばっかりだけどマジ優秀だった。


 ついでにスキルお勧めの薬草も少し買い取って貰った。そちらも見つけにくい薬草で、1束500リラだった。5束売ったぞ!

 ケガに効くから持っとけコンニャロ!とは透視スキル談だ。性格には難があるが優秀さは間違いない。


 これでしばらくお金には困らない。困らないがやがて尽きる。その足で依頼を貼ってある掲示板を見に行った。採取はやっぱり低ランクの基本だよな。

 薬草以外にもハーブとか胡椒なんかもある。調味料は高く売れるって透視スキルが言ってたよな。

 ま、しばらくは目立たず大人しくしていよう。

 凡その依頼を確認して宿に戻った。


 リクから鞍とか諸々を外し、浄化をした。きれいサッパリだ。テントと違って安全だし、ベルトを外し襟をくつろげてお休みなさい。


 目が覚めた。うん、やっぱりベッドはいい。安定のもふもふだ…。あれ?安定のもふもふ?さわさわ、撫で撫で…すんすん、ふかぁ。良き!

 ドゴッ


 っ痛いよ、コハク。何故か毛布に潜り込んでいたのは豪華なしっぽが5本。コハクだ。ふさふさのしっぽが目の前にいて顔からダイブしないなんてな?

 そのまま仰向けにして腹毛に顔を埋めた。ふかふかだ…やべーくせになる。


(責任取れ!)

「名前なら付けただろ?」

(俺の大事な…にキスしたんだからな!一生世話をしろ)

「はぁ?」


 これも後で知ったんだが、聖獣のそれにキスは…求婚なのだとか。いや、腹毛に埋もれてて知らんよ?そもそもキツネだろ?


 その疑問はかなり先になって解消するのだった。


 起き上がるとリクは

(ケッ浮気者が)

 カラスは

(不潔)

 白玉は我関せずで、イナリは

(最低…)

 酷くないか?

(さかりのついた雄が)


 言われ放題だな、おい。まだそっちは大丈夫だ!朝からちんまりだからな!

 サムズアップしたらリクにさらに冷たい目で見られた。何故だ?


 さて、気を取り直して顔をきれいにして朝食。店が出せると聞いた広場は、朝から屋台が出てるらしい。

「ご飯食べに行くよ!」

 みんなでゾロゾロ。ギルドから広場までは歩いて10分くらい。


 机や椅子も置いてある。リクの背中に手を置いて進む。スープやパン、ジュース、串焼きなんかも売ってる。

 リクが俺の襟を咥えて歩き出した。相変わらず俺の扱いが雑だな。

 止まった先には串焼きの屋台。他はそこそこ売れてるけど、ここはあんまりだ。普通に美味しそうなのに。


(魔獣の肉。少しクセがある)

 あーなるほど。他のは違うのか?

(他は牛や豚、鶏など)

 リクは魔獣だし、むしろこっちの方がいいんだろう。

 まだ若そうな店主と隣は妹か?こっちは若いより幼い。

「ま、魔獣の肉だけど美味しいよ…」

 売れてないからか必死だ。まだ在庫もたくさんある。


「いくら?」

「1本80リラ」

 他の屋台はだいたい100リラ。少し安いか。リクを見れば

(100本)

 マジかよ…えっと8000リラか。まぁ必要経費だな。

「100本くれ」


 えっという顔をする。

「ほ、本当に?」

 頷いて

「こいつが食う」

 リクを見た。高速で頷くと猛然と焼き始めた。焼けてるのは温め直す。よくある焼き鳥の屋台みたいで、香ばしい匂いがする。先に100本分のお金を払った。


 出来た分から数えつつ、リクに渡す。鼻で押された。

(串から外せ)

 へいへい。どんどん外していく。リク用の木皿(途中で作った)にこんもり。


 カラスが俺の肩でアピールする。だよなぁ。イナリとコハクは前脚を俺の太ももにかけてしっぽぶんぶんだ。

「追加で100、あるか?」

「あ、あるます!」

 噛んだな。


 リクにもたれて焼けるのを待つ。焼けたら串から外してお世話だ。途中、自分も食べる。一味かけたら美味そう。ポーチから一味を取り出して振りかけて食べた。おっ、美味いな。

 自分用にストックしとくぞ。


 どうやら在庫がはけたみたいだ。ぜんぶ焼いてる。でも多いぞ。俺はスキルで見てたから知ってる。207本あった。

「はい、これで200本」

 笑顔の店主。俺は

「数が違うだろ?」

 店主の笑顔が固まる。俺はポーチから追加の金を出して渡す。

「7本も多い。売り物なんだからちゃんと金は取れよ!」

 固まった店主は硬貨を握って泣き出した。なんでだ?


「兄ちゃん…いい人が買ってくれて…ぐすっ」

 俺が泣かした感じ?困ってキョロキョロしてると

「これは…売れたの?」

「うん」

 あ、昨日の宿泊案内所のお姉さんだ。あんたが泣かせたの?とか言われるかと思った。


「ありがとう…魔獣の肉は少しクセがあるから…」

 角うさぎは美味かったぞ?

(玉ねぎに漬けたから柔らかくなった)

 ありゃ、おばあちゃんの生活の知恵だな。

「あぁ、コイツらも俺も気にしないから」

 村人Bは選り好みしないのだ。


 なんかえらく感謝された。普通に美味かったからな。

「あの、君がかけてたのは何?」

「故郷の調味料で辛い奴だぞ」

 串焼きに振りかけて店主に渡す。パクリッ

「辛い!でも美味い!」

 だよな。うっお姉さんの圧が凄い。


 もう1本にも振りかける。

「どうぞ」

 もう食べてた。早いな。頬に手を当てて驚いて

「美味しい!」

 店主は妹に残りを食べさせてた。

「辛いけど大丈夫!」


 店主が2本分のお金を返そうとしたので

「明日の分の予約な!」

 と言った。決まったぜって思ったらお姉さんには何故か頭を撫でられた。小さい子がいきってるって思われたのか?恥ずかしい。


 その足でギルドに向かった。




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