66.棚ぼた
俺たちは夕陽を見ながらテラスのビーチチェアに座っている。手にはトロピカルジュース。ちゅるちゅる飲む。
美味い!ルキとロキも隣で飲んでいる。
結局、あの女児との話はいい方向で落ち着いた。彼らが住む大陸にしかない貴重な薬草の販売権を貰えたのだ。何度も商業ギルドが掛け合っても難色を示された薬草だ。
他にも貴重な鉱物の取引も決まった。オリハルコンだって。
あれ、俺持ってたよな?ピアスの材料がオリハルコンだった筈。思わず耳に触れると気がついたらロキが
「ピアス…似合う」
そっちか。女児の目がささる。気のせいだな、うん。
確か焙煎機を作るために採取したからベルシティからそんなに離れてないところにあるよな。掘ったからか?
(元に戻したから誰にも気が付かれてない)
マジか、トーカよ。極秘だ。
ちなみにその薬草は、カミール商会が独占的に取引をする。あちらの条件がそれだったのだ。もちろん、問題ない。オリハルコンはルキたちの実家が興している商会に販売権を貰った。取引先は商業ギルドだ。ギルドは小売りはしないから。
結果として凄く大きな成果となったが、ルキもロキもあまり喜ばなかった。
多分、俺が傷付いた結果なのが嫌なんだろう。大丈夫なのになリグもいるし。
こうして一連の騒動は終わった。
商業ギルドでヤシの実や木を使ったお土産を登録すると、やっとギルドを出た。
もう夕方じゃねーかよ。よし、市場に買い出しだ!
残った魚を総浚いする勢いで買いまくった。ふう、満足。いや、なんか俺って騒動に良く合うな。
その日の夜はたこづくしの夕食だ。美味しく食べられるとわかってもやっぱりたこは不人気で、だから残ってたんだよ。だから買った。たこ焼きもしたぞ!
「怪獣がこんなに美味いとはなぁ」
そうだぞ!思い知ったか。ふははっ。
「「最高」」「美味しいな」「止まらん」「絶品」
当然の賛辞だ。
なんだかんだとあったが、まぁおおむね良い買い物が出来た。
後2日はのんびりするぞ!
その日の夜は双子とセイも一緒に風呂に入った。だからなんで突っ立ってんだよ!
結局、ナニを洗わされたぞ。しかも練習とか言ってまたさわさわ撫で撫での刑だ。本当にやめてくれ…俺のライフが削られていく。
はぁ、お湯は気持ちいいなぁ。おわっ、なんで3方囲まれてんだよ。
「まだ細い」「早く成長する」「細いよなぁ…」
煩いわ!まだ子供だぞ、俺は。成長期はこれからだ。
一斉に下半身に目をやるのはやめてくれ。
風呂から上がるとコーヒー牛乳だ。美味いな。ぐびぐひ飲んだ。
さて、寝るか。昨日は硬い床だったからな。
…で、なんでこうなる?確かにベッドは大きい。大きいが大人が4人は多すぎるだろ、流石に。ぎゅうぎゅうだ。シングル3人ほどじゃないが、ぎゅうぎゅうだ。俺は双子と、ルキの奥から手を伸ばすセイに挟まれて眠った。いや、よく眠れた。
毎度だがこの状態でよく寝るよな?俺も。自画自賛だぞ。
目が覚めた。暖かくてよく眠れた。ほんとこの状態で良く寝るよな、大事な事だから2回言う。俺。才能あるんじゃね?
目を瞑っていると相変わらずの儚げな顔。眠ってるときれいなんだけどな…なんていうか、箱入り?色々と行動がずれてるんだよ。
悪気は無いんだが、いかんせん疲れる。ま、推定婚約者だし、大切にしないとな。赤く色づいた頬を撫でる。さて、後2日何をして過ごすか。
結局、残りの滞在はひたすらのんびり過ごした。飯食ってビーチで寝転んで、海に入って遊んで、また飯食って昼寝して、買い物して飯食って寝る。このサイクルを2日繰り返した。そして、ついに帰る日になった。
ベルたちはしっかりと品物を買い込んでいた。生物は俺のマジックバッグに沢山入れて。
加工品は俺が作ったものを。そして主にはヤシの実のお土産。乾燥させた海藻や塩漬けのワカメ、昆布もだ。
ヤシの実や木のスプーンやフォークは作り方を登録、すぐに広めて今や一大産業だ。だから、ベルも沢山仕入れた。
こうしてルーガスの街を出発した。
帰りは至極順調で、雨にも降られずにベルシティに帰還した。もちろん、魔獣に襲われたりはしたがリクたちが暴れ回った。人より早く討伐したぞ!使える従魔だ。
こうして帰りはあまりにも順調に3週間21日の予定が18日で帰還した。みんな苦笑いだ。
ベルの店に寄って、大型倉庫の一角に預かった生物を出し、ロキが凍らせた。こちらは別料金が出る。
色々あったが、結局は海のものを堪能して帰れた。しかも、安定的に海のものが手に入る。
それはカミール商会が魔道具を開発したから。保冷箱だ。氷を入れて保冷箱に入れれば約1ヶ月は新鮮な状態が保てるという優れもの。
もちろん、自分の為だ。新鮮な魚介類を食う為。ベルも輸送に乗っかってベルシティで商売をする。俺たちの商会はというと、セイの実家があるラグナシティで海産物の販売をする。
ベルシティに来る手前を王都側に分岐した先にある街だ。
こうして、商会はまだ興したばかりで大きな取引を抱えることが出来た。
1番は薬草なんだろうが、俺としては食い物だな。
ベルシティに帰還し、ギルドの宿に落ち着いた。そこで、ルキとロキから両親に会ってほしいと言われた。会うならセイの参加も必須だ。
セイは謹慎明けでしばらくここを離れられないと伝えると
「大丈夫」「問題ない」
だそうだ。何がどう大丈夫なのかは謎だが、まぁいいか。俺はセイと日付は決めてくれと伝えて、部屋に入って寝た。
夜はコハクが亜空間に俺を呼び出して…まぁなんだ。そういうことだ!
翌朝、久しぶりにリクの鳩尾攻撃で起きた。痛いよ、リク。ふかふかの頭を撫でる。良きふかふかだな。
胸元のコハクのしっぽにダイブした。ふふふっやっと日常に戻ったな。と言ってもなんやかんやでバタバタしてて、あまりゆっくりした感じはしないが。
ドアがノックされた。
(青い稲妻だな)トーカが視た。
クリスがドアを開ける。
「少しいいか?」
頷くとみんなが入って来た。
ソファに座る。俺の両隣に双子、向かいにアマランとウルグだ。
「今回も色々あったが、報酬も良かったし美味いものも食えた。何よりルキたちの実家がオリハルコンを扱うことになって、俺たちにも回してもらえる。武器を職人に作ってもらおうかと思ったんだが…」
俺をチラッと見る。
クリスか?目線を投げれば頷いた。トーカを見る。ふよふよ飛んで来ると
「クリスが作ったとなると色々不自然だ」
やっぱりな。
「何かしらの工作がいる」
例えば?
「魔族は魔法で剣を錬成すると聞く。それを使えばまぁ誤魔化せるかもな…セイルールには相談しろ」
ま、トーカがそう言うならば。ちなみにクリスを使ってトーカに広辞苑のスキルを融合させた。
なので、トーカは広辞苑の知識も披露してくれる。便利だ。
「ギルマスには相談済みだ。誤魔化し方はまた相談するぞ!」
「大丈夫なら俺はいいぞ!オリハルコンコーティングって手もあるしな。やり過ぎと思われるなら、全オリハルコンとコーティングの2振り用意したらいいかもな。相手を見て変えるとか。コーティングでも相当使えるぞ」
俺の提案に頷く面々。
それからトルフは冒険者ギルドの指導員として雇われた。旅の帰り道は青い稲妻と俺にセイまで鍛えられた。いや、凄かった。でも身になったしいい思い出だ。
少しは剣を振れるようになったかなと思ったら
「カスミは基礎体力からだな」
と言われた。ちくせう…
そして、ルキが殻を破った。そう、剣聖のスキルを使いこなせるようになったのだ。それはもう無双だ。
ロキと揃えば向かう所敵なし、かもな。
とはいえ、この間は暴走したからか…自重しているようだ。
何はともあれ、平和な日常が戻って来た。
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