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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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64.巻き寿司からの…

「よう、もういいのか?」

「大丈夫か?」

「気分は?」

 口々に聞かれた。


「うん、大丈夫。まだ少しふらつくけど…」

「驚いたぞ!でもありがとな」

「おう、セイの選んだ依頼だからな」

 頭を撫でられた。


「これは?」

「乾燥させた海苔でご飯と魚を巻いたんだ」

「生魚って大丈夫なのか?」

「平気…浄化した」

「大丈夫、完璧」

 ルキとロキは味見したもんな。


 席に着いて食べ始める。パクリ、もぐもぐ…おぉ、美味い!脂がのっててトロけるな。ネギトロとかマジで美味いわ。トロタクもポリポリいい音がする。

 みんなも凄い勢いで食ってる。


 炙りサーモンや炙り中落ちも絶品だな、これ。美味い。あら汁は体があったまる。美味い。

 水中に入ると圧力で相当な体力を使う。思ったより疲れてたんだな、俺。パクパク食べた。


「美味すぎるな」

「生魚ってこんなに美味いんだ」

「やばっ止まんねぇ」

 みんなもやっぱり水の中にいたから疲れてんだろうな。

 結構作ったけど、無くなった。


 さて、夜ご飯はタコ尽くしかな。たこ焼き、たこ飯、たこのしゃぶしゃぶ、たこの柔らか煮、焼きたこ、揚げたこ、酢の物…たくさん作れるね。


「セイ、買い物に行きたい」

「私は冒険者ギルドに行くから、途中まで一緒にいくか?」

「うん」


 青い稲妻は別の討伐依頼を受けるんだって。俺は午前のことがあるから、そちらには参加しない。

 セイと連れ立って屋敷を出た。イナリが一緒で、白玉とコハク、あんこは屋敷で休んでる。珍しい組み合わせだ。


 冒険者ギルドは市場の手前にあった。

「帰りに寄ってくれ」

 セイはギルドに入って行った。さて、市場に向かうか海に向かうか。


 海に向かって歩いていたら道に迷った。真っ直ぐじゃなくて入り組んでたんだ。なんか路地に入り込んじゃったよ。迷っていたら人がいた。3人の男性が大きな袋を抱えている。


「ねぇ、少し聞きたいんだけど…」

 振り返った彼らはヤバかった。明らかに人殺ししてそうな風体だ。しかも麻袋の中が動いている。

「いや、やっぱり何でもない…」


 サッと後ろを向いて走ろうとしたら

「こら待て!」

 甲高い声が響いた。つい振り向くと麻袋から手が出た。

「うわぁ!」


 ホラーだ。やっぱり逃げるが勝ちだ。3人組は麻袋を見ている。今だ!

「だから待て!薄情者」

 いやいや、自分が大事。俺はイナリを抱き上げて走り出した。



 俺はイナリを抱きしめて黄昏ている。夕陽がきれいだ…はぁ、たこづくしの夕食。残念だ。

 俺は海が見える部屋に監禁されていた。なんでこうなった…


 なんかヤバそうだし、子供とかね?巻き込まれたくないし、逃げたんだよ。そう、逃げた。

 なのに、道に迷ってた俺は逃げた先で鉢合わせた。麻袋を担いだ3人組に。そして攫われた。鳩尾に一発くらってよろけた所を肩に担がれて。


 ここは海は見えるんだけど、窓の外に格子が嵌ってる。物理的に逃げるのは無理かな。担がれてこの部屋に放り込まれ、そのまま放置されている。


 どうしよう…担がれた時に結構乱暴に扱われたからまだ頭がフラフラするし。この部屋に入ったら投げ出されたし。

 何もない部屋の床に寝転んだ。頭痛いなと思いながら。




 セイルールはギルドでの話を終わらせ、雑談していた。なかなかカスミが帰ってこない。遅いなと思い、すれ違いになった場合はここで待つように伝言を残して市場に向かった。


 カスミが来たならすぐに分かるはずだ。しかし、店で聞いても見かけなかったと言われた。海に向かって、漁師に聞いても見てないと言う。

 流石におかしい…。またギルドに戻るが、やはり来てないという。


「どこにも居ないのか?先に屋敷に帰ったとか」

「カスミが約束を破るとは思えない」

 とはいえ、念の為屋敷に戻ったがやはりカスミないなかった。


 冒険者ギルドに駆け込む。

「いない…。多分、攫われたんだと」

 カスミは一見すれば小さくて細い。しかも、色合いは高貴だし顔立ちも整っている。普通に攫われてもおかしくないのだ。リクもいなければ余計に。


 依頼達成の報告に来た青い稲妻にも話をすると、ルキとロキが青ざめた。

「カスミ…」「まさか」

 私もまさかと思う。個人的な力は別としてあれだけのジョブがあるのだからとどこか油断していた。


「お前ら、人探しだ!ライトグレーの髪に水色の目の少年だ。珍しい色だからすぐ分かるはずだ。ここを出た後の足取りを終え!緊急依頼だ、やろーども!!」

「「おう!」」

 そこに居合わせた冒険者たちは出て行った。


「僕たちも」「探しに」

「行き違いになる可能性があるからここで待て」

 私たちは情報が集まるのを待った。


 しばらくして

「少し足取りが終えたが、分からなくなった」

 まだ若い子が駆け込んで来る。ギルドから市場は直線だが、海に行こうとすると道が入り組んでいる。どうやらその辺りで見かけた人がいる。

 しかし、そこから足取りが途絶えた。


「あの路地付近は治安が悪い…最悪、船で」

 私はすぐに漁業ギルドに向かった。さっき訪ねたから話は通ってる。

「見つかったか?」

「どうやら裏路地に入り込んだみたいだ」


「お前ら、午後に出港した船がないか港で聞いて来い」

 ここは小さな港町だから港も漁業ギルドの管轄だ。港の事務所に行けば、出港の記録があるはずだ。


 まもなく戻った職員によると、今日の午後に出港した船はないと言う。明日の早朝に出港する外国籍の船があるらしい。それか?


 すぐにでもその船の持ち主の所に突撃しそうな双子を宥めて屋敷に帰った。様子を見るしかない。最悪、即死でもリグが回帰する。

 そうわかっていてもやっぱり気になって、カスミのいない夕食はなんだか寂しかった。



 翌朝、目の下に大きな隈を作った双子とアマランたちと冒険者ギルドに向かった。

 まだ日が登る前、港では船に人が入り始めていた。彼らは海に近い屋敷から来ている。ルーガスの冒険者ギルドのマスターであるガイと漁業ギルドのマスターのシリウスが屋敷を訪ねた。


 出て来たのは強面の男。

「ここに子供はいないか?ライトグレーの髪に水色の目の少年だ」

 肩をすくめて

「知らねーな」

「キツネも一緒だ」

「さーな」

 一緒、眉が動いたのを見逃さなかった。


 私は

「イナリ!」

 声を上げる。

「コーン…」


 男たちは目を逸らした。

「入るぞ!」

「待てコラッ」凄む男を無視して入ると、奥にも男たちが待っていた。

 ガイは背中から斧を取り出した。


「やるか?」

 男たちは一斉に踊りかかって来た。アマランとウルグはルキとロキのそばにいる。私は魔法で奴らを飛ばして奥に進んだ。

 青い稲妻たちも続く。


「イナリ!」

「コーンッ」

 声を頼りに進むと、鍵のかかった鉄扉の部屋にたどり着いた。中から扉を引っ掻く音がする。 


「イナリ、扉から離れろ」

 後ろから来たガイが斧で扉を叩き割った。

 中に入ると、部屋の奥の床にカスミが横たわり…そばに男2人と女児がいた。小さな子はカスミに覆い被さろうとしていた。それを見たロキが

「離れろ!」


 魔法を飛ばした。不可視の風の刃だ。女児は振り返ることもなく手を振って打ち消した。はっ?ロキは水を散布して雷魔法を放った。流石に女児は飛び退く。


 ルキは剣に火を纏わせて剣を振る。火が飛んだ。それも女児が打ち消す。

「待て、誤解だ!」

「うわぁお嬢…大変だ」


 ロキはさまざまな魔法を駆使して女児に飛ばす。ルキは剣に魔法を纏わせて斬撃を飛ばす。

「おい、やめろ!」

 アマランが怒鳴るが聞こえないのか、女児に魔法を、剣を…


「だから誤解じゃ!」

「ルキ、ロキ、やめろ!」

 このままじゃカスミに当たる。


 ついに2人の魔力が渦巻いて部屋を回り始めた。

 ヤバい、切り刻まれる!



 僕はカスミが害された事に怒っていた。カスミが…僕のカスミが。周りの声が聞こえなくなった。ルキの息遣いとルキの魔力を感じる。そうだね、ルキ…力を合わせて奴らを。

 魔力が膨れ上がる。もう制御なんて出来ない。ルキ…アイツらを一緒に討伐しよう!




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