62.朝の散歩
何から守ったのかはすぐに知ることになった。テラスに面したガラスに双子が張り付いていたのだ。なんだ?朝から。
セイがため息を吐いて窓を開ける。双子は
「「カスミ!」」
飛んで来た。なんだなんだ?
「酷い」「婚約者なのに」とセイに文句を言う。
「いや、お前らカスミはまだ12才だぞ?早まるな」
なんの話だ?
「婚約した」「仲良くする」「「しよう!」」
念のため聞くが
「何をだ?」
「「ナニをナニするやつ!」」
下ネタじゃねーかよ!
朝から何が悲しくってヤローの下ネタ聞かなきゃなんねーんだ。
どうやら朧げな記憶ながら、セイは俺を守ったらしい。
俺やセイは記憶が飛ぶ。双子は飛ばない。
「カミスを部屋に連れて帰ろうとして」「セイに止められた」「絆を深めようと」「思ったのに」
単なる処理だろーが。
「「違う!カスミがいい…」」
いつかはするとして、だ。それは間違っても今じゃない。
セイ、ありがとう。
むうとふくれる双子を置いて、俺は部屋を出た。リクたちと散歩がてらシーグラスを探すのだ。
テラスに出て、階段を降りる。さらに海岸へと降りていく。今日もいい天気だ。
双子はセイが呼び止めていた。
歩きながら貝殻を拾う。そして、あった!シーグラスだ。青や白、緑に茶色。
やっぱり青と白かな。白はコハクに何か作るか。なら双子は青というか水色だな。俺の目の色だ。
黄色も見つけた。こっちは双子の髪の色。組み合わせて何か作るか。
広辞苑で調べると、婚約者はお揃いの指輪かピアスを付けるらしい。男はピアスを付けない人が多いから、指輪が多いみたいだ。
俺は両方作ることにした。コハクには耳飾りだな。
シーグラスを適当な大きさにカット。面取りをする。指輪の枠にツメで固定。敢えて華奢な指輪にした。小指用だ。俺用のはサイズが変えられるよう細工する。
金属?もちろんオリハルコンだ。
前にコーヒーの焙煎機を作るために取った鉱物がそれだった。内緒だぞ?珍しいみたいだから。
ピアスは…穴開けるか。少し先を尖らせてクリスにピアッサーを作らせる。シーグラスをピアスに仕立てる。これは小さいやつだ。俺は自分だけ付けた。
ルキとロキがしたら絶対に似合うからな。片方だけ付けるのが、相手がいる証拠になるらしい。
指輪には内側に文字を彫る。
〈K to R〉
そのまんまだ。ついでに普通のシンプルな指輪も作る。ごく小さなシーグラスを嵌め込んで。それはネックレスにした。
それらを箱に入れる。箱?もちろんオリハルコンで作った箱だぞ。
それだけだと無機質だからな、表面には絵を描く。月桂樹の葉を丸く繋げた絵。絵心は余りないから。
真ん中にルキとロキの名を入れた。
蓋の裏には俺の名と彼らの名と。俺からの贈り物だと分かるように。
彼らにとって俺との婚約は女避けでもあるんだろうからな。
さて、ならば家族としてセイにも何か作ろう。まぁ、ネックレスかな。婚約者じゃ無いから。
よし、出来た。
ルキとロキに渡すのは婚約が成立してからにしよう。セイには先に渡してやるかな。家族だし。
その前にコハクだな。
「コハクおいで」
俺のそばにお座りするコハク。その耳に穴を開けない耳飾りを付けた。青と白のシーグラスで作った。
「伴侶だからな」ら言えば頭をすりすりして来た。ふふっ可愛いぞ!
調子に乗って撫で回してたら前脚で蹴られた。
(気安く触るな!)
散々しただろ?と言えば更に蹴られた。
リクがジト目で俺を見る。カラスとスズメも何故かドン引きだ。イナリは(最低)白玉は(不潔)
相変わらず酷くね?伴侶だぞ!ナニをどうしようが勝手だろ。開き直った。コハクは俺の股に丸まってる。どうやらデレてるみたいだ。頭を撫でまくった。
ルキとロキが走って来た。
俺がコハクを抱きしめてるのを見て、イナリと白玉を抱っこした。イナリも白玉も満更でもなさそうだ。
楽しそうで何より。さて、今日は何をするかね。
ひとしきり従魔と戯れてから屋敷に戻った。朝食はアジの干物、ご飯、あら汁、しらす大根おろし。
シンプルだし、余り量は食べなれないと思うのだが、アマランもウルグも良く食べる。もちろん、リクたちには肉と魚をドンッだ。
食べ終わると緑茶を出した。補充されるパックだな。
「これはまた美味しい」
「はどよい苦味」
「美味いな」
「美味しい…」
大丈夫そうだ。
俺はズズッとすする。お茶を飲みながらセイが今日の予定を話しする。
この街で塩漬けになってる依頼があって、その依頼をして欲しいと言うことだ。
内容は沖の方に出没する魚。大きな魚で、人こそ狙わないが、漁業に影響があるみたいだ。
「海の中なら無理だろ?」
アマランの言葉にセイが俺を見る。何だ?
「カスミがいるから大丈夫だろ?」
セイの目線は俺のそばに控えるクリスを見ている。具現化で海に潜れと?
「船は出す」
決まりなのな。
アマランを見ると
「カスミ、出来るか?」
まあダイビングのイメージでタンクとBC、レギュレーター作ればいけるか。ゴムとかないけどな。
クリスを見る。
「存在しない物質以外は大丈夫です」
「分かった」
って事で、クリスにスキューバダイビングの道具を作ってもらう。そもそも俺のジョブだから、想像できれば作れる。
で、出来た。スーツもいる。ウエットスーツ。俺に合わせたオーダー品だ。ついでに水着も作ってもらった。ま、こんなもんか。
着替えているとセイと双子が入って来た。水着姿の俺を見て
「破廉恥」「誘ってる」「…なんか色々とな」
よく分からない反応が返って来た。ただの水着だ。当然だが体にフィットするタイプ。双子の視線は股だ。
こちらの服は比較的ゆったりとしている。貴族が着る服は体にフィットするが、俺たちはゆとりのある服を着るから、体のラインを拾わない。だからピッタリした水着に違和感があるのだろう。
セイが顔を赤くして俺に毛布をかける。なんだ?
「人に裸は見せないんだ」アマランとか酔って裸になってただろ?
どうやらそう言う事では無いらしい。難しいな。なので水兵さん風ラッシュカードとゆったりした足首までのワイドパンツも作った。これならいいだろう。
そしたら双子が顔を赤くして可愛いだって。文化の違いだな。
それらの道具は当然みんなの分を作るから、まずセイに抱きついた。サイズの確認だ。よし、次々に抱きつく。
アマランとかウルグもだな。部屋を出て探すと部屋にいた。
「ちょっと採寸」
そう言って抱き付く。うん、いい筋肉。全身撫でてから部屋を出た。呆然としたアマランとウルグを残して。
クリスに道具を作らせて終わり。
「出来たよ!」
まだ顔を赤くして固まっていた双子はハッとしてイナリと白玉に顔を埋めた。どした?
セイは呆れた顔で
「いや、カスミにいやらしい気持ちが無いのは分かってるけどな…」
ため息を吐いた。
出発の前に着替えだ。俺は着替えてるから、セイを脱がせて水着を着せる。おお、割れた腹筋、良き。
次はルキとロキ。脱がして着せる。細身だからこれもまあ似合う。顔を見たら真っ赤になってた。何を今更だぞ?散々風呂入ったしナニすら洗ったぞ。
次はアマランとウルグだ。部屋に入ると
「脱いで」
「「はっ?」」
「だから脱いで!早く、全部だよ」
それでも動かないのでクリスと脱がせた。そして水着を着せる。おぉ、筋肉…良き。似合うねー!
そして準備ができたので、出発することにした。
「ん?みんなどうしたの?」
「「カスミのせいだ!」」
声が揃った。
「セイが選んだ依頼だよ」
黙ったな。
今回は海なので、リクたちはお留守番。クリスは同行する。
港に行くと、漁船らしき船が止まっていた。大きな船だ。
挨拶して乗り込む。ってか漁業ギルドのギルマス、シリウスさんだった。
「よぉ、頼むぞ!」
と声をかけた後、俺たちの格好を見て
「その、えらく可愛い服だが…それで潜れるのか?」
「大丈夫だよ!道具があるから」
こうして出発した。
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