54.食材ゲット
そっと転移した。まったくどんな状況でこうなったんだよ。コハクを仰向けにして腹に顔からダイブした。もさもさだ。
朝ご飯はお茶漬け。鱒茶漬けだ。さらさらと食える。美味い!
騎士の隊長からベルに対して正式に礼があったそうだ。俺たちは本来ならベルたちの護衛だからな。
とはいえ、一緒にいる以上は仕方ない。
お手柄の白玉とリクを褒めそやし、いつもより朝食(肉と魚と野菜)を大盛にしたら鼻の穴が広がっていた。
その後は散発的な魔獣の接近はあったものの、順調に進んだ。
そして14日目に1日半遅れのままで次の街に着いた。
今度こそ一人部屋を希望しよう!そう思ってベルの所に行ったらパーティーで同室と言われた。
雑魚寝かと思ったらどうやらリビングのほかに部屋がいくつかあるらしい。よっしゃ!ガッツポーズを取った。
…俺のガッツポーズを返せ!
クソッ、リビング以外の部屋は4つだった。当然だが、アマラン、ウルグ、双子、俺だと思ったんだ。
「何が悲しくて兄弟で同じベッドなんだ」
ルキよ、3人でさんざん寝ておいてその言い草はおかしいだろ!
言った、もちろん言った。
ところが3人と2人は違うと言われた。確かにそうだ、そうだがだからといって俺と同じベッドである必要はないだろう。
カスミは小さいから。
俺は小さいが白玉とイナリ、コハクが漏れなく付いて来る。と言ったらもふもふは良きって言われた。
そして俺の抵抗も虚しくルキと同室になった。で、なぜかロキがイナリをお持ち帰りした。
何故こうなった…?
ちなみに食事はなんと、中華風だった。餃子や春巻きこそでなかったが味付けはがっつり中華、
ならばオイスターソースと鶏がらスープの素がありそうだ。
それにかりかりになった何かがサラダに入っていた。多分、春巻きか餃子の皮だ。
当然だが夕飯を食べてすぐに市場に走った。市場はけっこう遅くまで開いている。とはいえ善は急げだ。
そしてあった。四角い皮が。春巻きの皮だ。餃子の皮っぽい四角いのも見つけた。シュウマイの皮ではなく厚みからして餃子の皮だ。
もちろん買った。そしてニラも見つけた。ニンニクは普通に売ってるしキャベツも売ってる。
豚肉も大人買いして(ミンチ肉は売ってない)、さらに予想通りオイスターソースに鶏がら、ラー油にテンメンジャンまで手に入れた。
余は満足じゃ!
筍の水煮ときくらげまで見つけたぞ。これで肉まんが作れる。餃子に春巻き、シューマイ。じゅるり。
海で海老が手に入ればエビシュウマイだ!やべっ夢が広がる。
ってな満足な買い物をして、帰ったらルキと同室だった訳だ。
相変わらず風呂では突っ立ってる双子のナニまで洗ってやる俺。下僕か?
「「弟」」
お前らは弟のナニを洗うんじゃなくて弟にナニを洗わせるんだな!と言ったらナニを掴まれた。違う!そうじゃない!!
風呂に俺の悲鳴がこだました。
酷い目にあった。予行演習という名の拷問だ。手加減のわからない双子は恐ろしくそろりそろりと石けんで泡立った手を動かす。くすぐったい。洗うじゃなくて撫でるだろ、それは!
「こんな風?」
「痛くない?」
さわさわ撫で撫で。やめてくれ!逃げ出した。無理だ!俺のバズーカ砲…ではなくてミニウインナーが辺な感じだ。まだ子供だぞ!はぁはぁ。
踞っているとそのまま抱き上げられてお湯にドボン。
「大丈夫」
「年頃になった証拠」
…疲れた。のぼせて横たわる俺を甲斐甲斐しく世話する双子。
「お水…」
口移しで飲ませるな!
「風!」
腰を覆った布を取るな!
善意なんだろうけどな…コイツらは混ぜるな危険だと思った。
疲れ果ててルキにお姫様抱っこされてベッドに入った。
「いーこいーこ」
原因は誰だよ、疲れた…
翌朝の朝食は卵粥だった。美味かった!昨日の黒歴史は封印だ!こうして束の間の街での休息は終わった。
こうしてまた7日後までは野営だ。そして、その街から3日で目的地に着く。
相変わらず早くはないが、予定の行程は消化しながら進む。雨が降れば防水布を貸し、時々はスープをふるまいながら。彼らは殆ど食材を持っていない。
道中は携帯食で過ごす予定だったらしい。流石に貴族の令嬢にそれはない。なので、見かねたベルが2日に一度のペースでスープだけ差し入れることにした。
俺は差し入れの日は具沢山のスープを作り、分ける。ベルから費用は出るので、労力は仕方ない。騎士からも手伝いの人を出して貰い作る。そうして21日目に次の街に着いた。
その日の夜は宿の食事。
ここは煮込み料理で、ほろほろの肉か美味かった。この辺りでは畜産が盛んではない。だから新鮮な肉が手に入りにくいので、煮込み料理が多いらしい。
煮込みは内臓で、塩漬けにして運べて、安価だからだって。内臓だから痛みやすそうだが、処理さえすれば大丈夫だとか。
もつ鍋風なんだが、内臓は色々入っててしかも味付けは塩味がベース。やっぱりモツをしょうゆとかミソで食いたいよな。
もちろん、市場に走ってモツだけを買った。ミックスが多いんだが、モツだけでも売ってたんだ。もちろん、大人買いした。
ニラとキャベツ、鷹の爪も売ってたからこちらも買い足し。待ってろよ!モツ鍋。
翌朝は早いので、朝食は行動食。俺は昨日の夜に突然たべたくなったから作ったフレンチトーストだ。
もっとも優雅にフォークとナイフって訳にはいかないから、筍の皮で包んで片手で食べられるバージョンにした。しみしみの甘いフレンチトーストに塩味のある生ハムと野菜をトッピング。おかずみたいな食べ方が出来る。
リクたちにはそこに肉と魚を挟んだぞ!もりもり食ってた。良き良き。
騎士たちも白竜も食べたそうな顔をしているが、無視だ!スープを食べてから、それまで気にしないようにしていたらしい俺たちの食事を見るようになり、物欲しそうな顔をしている。
セイが食事は各自でって条件付けてて良かったぞ。
そして2日後の野営。
懐かしい匂いがして来た気がする。まだ遠いはずなのに、何故だか感じた。
体に染み付いた日本人としての何かだろうか。なんとなく落ち着かずにソワソワしてしまう。
それをどう勘違いしたのか、双子の構い方がウザかった。寂しいと思ってると感じたのか?
いや、間違ってないのかもしれない。帰れない故郷を思っているのだから。
そうしていつも以上に密着されて(だからヤローはいらねんだよ!)寝た。それでも眠れる自分が凄いぜ。
目が覚めると視界が…?顔を動かそうとして唇にロキの唇が触れているのが分かった。なんでそうなる?
首にも柔らかな感触が。どうやら両側からキスをされてるみたいになってる。どうせ寝ぼけて引っ付いたんだろ。
双子で寝てもこんなか?といつか聞いたら
「まさか!」「キモ」って答えてたが、なら何故こうなる?全く不可思議な双子だ。これでパインが付いてたなら遠慮なく触るんだがな。ヤローを触ってもな。
んぐっ…ロキ、苦しいわ!離せっ…。顔を抑えていると目が開いた。そのままさらに深くキスをされた。だから離せー!
はぁ酷い目にあった。
パッチリと目を覚ましたロキは状況を確認すると
「予行演習…」
とぼざいた。お前は弟に濃厚なキスをするのか!?
はぁ、背後のルキは体を撫でるし…
「胸ない…」
あるかボケ、俺は男だ!そして何故残念そうな顔するんだ。
「女子になる?」
なるか!この双子は色々ズレまくってるぞ。
それでも俺はやっぱりワクワクしている。海だ!海に着く。海だー!
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