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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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49.故郷の味

(あれを買え)

 リクが顎で刺したのはスペアリブ。やっぱり気になるよな。俺も少し摘もう。

 若い兄ちゃんの店だ。

「らっしゃい!羊肉の付け焼きだ。1本300リラ」

 串焼きと比べると高いが、量が多いから決して高くない。


(50本)

 15000リラ、仕方ない。そうだ、冒険者ギルドでオークを納品しよう。少しは金になる。

「何本だ?」

「80本あるか?」

 どうせ青い稲妻やベルにたかられるんだ、多めに買っておこう。


「あるぜ!」

 ニヤリと笑うと

「焼くのに時間がかかる。待てるか?」

「あぁ、他の店も覗く。ある分だけ先に買っていいか?」

「もちろんだ」


 10本買って椅子に座る。リクたちのお皿に盛る。俺も1つ食うぞ?イナリとコハクと分けてな。

 もぐもぐ食べる。美味いな、朝からでもいける。すぐ食べ終わった。さて、もう少し回ろう。

 終わりに近いあたりで懐かしい匂いを嗅いだ。これは?



 あ、ヤバい…少し泣きそう。

 近寄ると焼いてるのは年配の男性。何故か安心感のある顔。もしかして?

 俺が近寄ると

「美味いぞ!」と言われた。知ってる、絶対に美味い。


「ある分だけ買う」

 と言えば驚いて、そして

「明日も明後日もここにおる」

 ふいに涙が込み上げて来た。俯く俺をリクが隠す。

「出来たぞ!ソースたっぷりだ」

 乱暴に頬を拭ってから受け取る。熱々だ。串に刺して口に放り込む。間違いない、美味いなぉ。夢中で食べた。


「10こ入りで300リラ」

 こちらの感覚では高いのか?金を払う。

「すずっあるだけくれ…」

「任せろ!」

「手伝うぞ!」


 頷くおじいさんの横に並んで引っくり返す。まん丸なたこ焼き…故郷の味だ。

 2人でガンガン焼く。気になって見てるやつは無視だ。全部俺のだからな。

「10個」

 クソッ見つかった。リノだ。

「全部俺のだ」

「カスミ…ダメ」

 しょんぼりしていると髪の毛をかき混ぜられた。

「明日もおる」

 頷いた。リノに渡すとまた焼き始める。


「私は玄一郎と言う。カスミか、良い名だ。ガゼルか?」

 俺は顔を上げると頷いた。優しく微笑むと同郷じゃな、と言った。また涙が溢れそうになる。本物の同郷だ。

 考えたら俺たちより先にもこう言う人が居たんだろう。当たり前か。シワが刻まれた顔は穏やかで、少なくとも今は幸せなんだと分かる。


 昼過ぎにまた来るからと焼き終わってから言われた。金を払って収納した。

 俺は手を挙げてスペアリブの店に戻る。


「焼けてるぜ!ゲンさんの知り合いか?」

「同郷だったんだ」

「マジか?そりゃまた遠いところから。よし、オマケだ!持ってけ」

 5本もオマケをくれた。礼を言って金を払う。さて、広場の入り口でリノが待ってるから戻るかな。


「急かしたみたいだな」

「いや、大丈夫だ」

「あの丸いの、さっき食べだがふわふわであの濃い色の調味料が最高に美味かった」

 ソースだな

 腹にガツンとは堪らないが…美味いんだ。

「故郷の味なんだ。再現できなくて、だからつい嬉しくてな」

 納得したらしいリノに頭を撫でられた。恥ずかしい。


 宿に着くと入り口で双子がソワソワしていた。なんだ?

「「カスミ!」」

 走って来る。

「「いる、ね…」」

 当たり前だろ?首を傾げると

「みんないないから」

「いなくなったのかと」

 んな訳無いだろ。依頼中だしな。

「急にいなくなったりしないぞ!」

 ホッとしたみたいだ。急にルキが顔を寄せて来た。なんだよ、のけぞると腰を抱き寄せられる。


「なんか、いい匂い…」

「美味しそうな匂い…」

 ダメだ、これは死守だ!と思ったらリノが1個取り出して双子に渡した。

「カスミのは取らないであげてくれ」

 双子は頷いてその場で猛然と食べ始めた。

「「その茶色いのが美味しい」」

 ソースな。


 部屋に戻った。そろそろ朝食だからな。

 食堂にはベルと他のみんなも揃っていた、、アマランもウルグも大丈夫そうだ。

 挨拶をして食べ始める。俺はイナリとコハク、ルキとロキに分けた。腹が減ってない。スペアリブとたこ焼きも食べたからな。


 食べ終わると白竜も青い稲妻もトルフも全員がベルの部屋に集まった。

 リノが紅茶を淹れる。

 飲みながらベルがルーガイザ伯爵家の馬車が着いていないと言った。

 一つ手前の街にも着いてないとか。なんだそれ?さすがに驚いた。


 どうやら雨が続いたから馬が疲弊したらしい。で、歩かないと。早く進むことも出来ず、ノロノロしてて今に至るとか。そりゃ大変だ。

 馬の管理をしてないのか?


 ベルがチラッと俺を見る。

「カスミのような一流のテイマーじゃなければ難しいだろうな。こちらはあの布があるから馬も体が冷えずに進める」

 時々、お白湯を飲ませてるからな。雨だと濡れなくても身体が冷えるから。それが一流なのかは分からないが、トーカがいれば気持ちは読めるからな。ズルみたいなもんだ。

「少なくとも今日の出発は無い。カスミと従魔以外は念の為、街から出ないでくれ」


 用事はそれだけだった。白竜が帰るとベルに

「すごく美味かった」

 と言われた。たこ焼きだな。

 アマランとウルグには分からないから、リノが1個差し出す。パクパクと食べると驚いている。


「なんだこれ、すごい美味い」

「止まらないな」

 だよな?なんだか嬉しい。

「カスミの故郷の味だとさ」

 2人は俺を振り返ると少し乱暴に頭を撫でた。やめてくれ!なんか居た堪れない。


 その後はやっぱりコーヒーが飲みたいと言われた。クリスが自動焙煎機を作ったから、沢山ある。

 ミルで挽いてカップに注ぐ。美味いな…ブラックが沁みる。飲み終わるとベルに外に出るか聞かれた。

 昼過ぎにまた広場に行きたいが、ようやく雨が止んだからリクを走らせに行こう。


「外に出る」

 と言うとアマランから提案があった。せっかくだし討伐任務でも受けないか、と。

 それで部屋に戻って支度をすると冒険者ギルドに向かった。


「オークを買い取ってもらう」と声を掛けて納品の窓口に向かった。若いお姉さんだ。

「ここは納品の窓口だ」

「オークの買取してる?」

「してるぞ!オークなら常設だ討伐依頼も出てる。少し待ちな」

 紙をめくって一枚の紙を取り出した。

「あったぞ!ここに出せ」

 肉は欲しいから、そうだな5体にしよう。

 ドンッ

 お姉さんは固まった。

「キングじゃねーか!」

 だね。お肉が沢山だ。


「か、買取でいいんだな?」

 なんだろう。アマランを見ると走って来た。

「キングの角はこちらで。他は…ロキ!魔石はいるか?」

 首を振った。魔石なら作れるからな、俺が。

「肉も戻して」

 お姉さんは驚いてから

「肉と角以外は魔石も買取だな!よしっ、素晴らしい」

 リクが普通に蹴り倒してたけど。

 査定している。


「傷が無いぞ?魔術師か…」

「いや、テイマーだ。めちゃくちゃ利口なアルパカを連れてる。ソイツはカスミが鍛えてな、魔法も使えるんだ」

 納得された。アマラン、ありがとう!

「どれも状態がいいな。もっと欲しいが仕方ない」

 あるよな?アマランを見ると頷く。

「群れでな、俺たちも持ってるぞ」

 アマランとお姉さんで打ち合わせをして、合わせて15体を買い取って貰うことにした。肉は人気が無いらしく、快く返してくれると言われた。


 解体は今日の夕方までに出来ると言うので、また来ると伝えた。討伐のお金は先に貰ったぞ!1体5000リラ。

 素材が1体で5万以上するから有難い。

 キングは1体で15万リラだった。どうやら魔石が高いらしい。


 ウルグたちが見繕った討伐依頼はビックバードとその卵。取れるのか?

 広辞苑に寄ると、沢山卵を産むらしい。でも、育たない卵がいるからそれを取るんだって。

 イナリとコハクに頼むか。巣は木のてっぺんらしいから。


 ギルドを出て外で待たせていたリクたちと共に街の外に出た。歩いて1時間ほどの場所にある山。そこに住んでるらしい。

 ポクポクと歩くリク。でも、先頭は白玉だ。角は感覚器官だから、場所が分かるらしい。

 山をしばらく登った先で白玉が止まり、イナリとコハクが木を登った。早いな。巣まで辿り着くと、素早く卵を抱えて降りて来た。

 2つずつ抱えてるな。残して来たか?

「まだ5個残ってるな、コイツらはもう弱ってるから問題ない」


 他の巣にも取りに行った。大きいんだよ、卵。全部で12個も取れた。俺たちは何もしていないぞ!

 そこに親鳥たちが帰って来た。

 ギャアギャア煩い。ロキが魔法で斬撃を飛ばす。ルキは剣に魔法を纏わせて飛ばす。

 クリスは手だけを転移させて(ホラーだ)スパンと首を刈り取った。ちゃんと片親は残すあたり憎いな。


 ビックバードも3匹狩れた。そしてやっぱり俺は何もしていない。

 討伐は任せてきのこと山菜、薬草と花を採取していた。野薔薇を見つけたからな。この匂いが好きなんだ。ついでに木の実も取った。こっちは銀杏だ。茶碗蒸しだな。きのこと鶏肉もあるから。まるで茶碗蒸しの材料を取りに来たみたいだ。




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