表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/25

4.何でこうなった

 ベルシティに今日着く!



 ばすだったのに…何でこうなった?

 俺はテントのそばで肉を焼いている。街はまだ見えない。宿で寝たかったなぁ。

 異世界に転移したのに、異世界を体感せずにもう3日。

 口の悪いアルパカと烏骨鶏にうさぎ、そしてキツネ。なんだろな?これ。



 今朝、いつも通りに出発した。夕方にはベルシティに着く筈だったんだ。間違いなく。

 でも、突然の大雨。雨を嫌がったリク、カラス、白玉、イナリが勝手に街道から逸れた。離れるわけにもいかず、追いかけた。で、雨やどり出来そうな森までひたすら歩き(途中からは遅い、とリクに背中に放り投げられた)辿り着いたのがこの森。

 そう、森だ。何故こうなった?まぁ雨のせいなんだがな。で、木々が雨を遮ってくれる場所までけっこう進み、今に至る。


 テントにはもちろん、防水機能が付いている。テントの先に広げた食事スペースも然り。

 で、リクたちはそのスペースにいる。ある程度は木が雨を防ぐけどな。

(早く雨除けだせ!)

 初めは何のことか分からなかった。で、テントの先に付けたアレだと気がつく。タープだ。なんならテントより先に建てたぞ!


 まぁ雨は自然なものだから仕方ないが、明日もまだ降ってたら動けないぞ?

 困った時の広辞苑だ。

 動物の雨除け、旅…と。


 なになに、魔法で雨除けの結界をすれば良い。

 簡単に書いてるが、出来ないだろ?ジョブはそっちの正統派魔法とは相性が悪いんだ。

 はぁ、結界魔法か…。

(具現化しますか?)

 あ、そうだった。それがある。

 頼むぞ!


(雨除けを展開…完了)

 ほっこれで明日は雨でも進める。

 テントの横で肉(角うさぎ)を焼き、野菜を茹でて食べた。うさぎを解体したかって?無理だろ。そんなん。

 もちろん、具現化したんだ。食べられる部位と使える部位に分けて、残りは…リクたちの腹に収まった。

 いや、ちょっとかなりグロかった。

 で、肉を焼いたんだ。にんにくとネギ、塩胡椒で下味をつけて、仕上げに醤油。

 匂いは大丈夫かって思うだろう?


 野外便利セットはな、テントの魔獣避けだけじゃ無く匂いとか音とかもちゃんと対処済みなんだ。ほんと口は悪いけど透視スキルが優秀。

 で、焼いたうさぎ肉。美味かった。白玉もバクバク食ってた。まさに共食いだ。

 シャワーを浴びて寝る前に一応言っておく。

「リク、もう何も拾うなよ!」

 朝起きる度に何か増えてるからな。そろそろお腹いっぱいだ。


 テントにもそもそも入って寝た。こっちに来てから寝つきは良い。寝ると疲れも取れるからな。


 翌朝、目が覚めた。体内時計はバッチリだ。さて、起きるか。ふかっ…ってなんでイナリが居るんだよ!

「何してんだ、イナリ?俺が恋しかったのか?うりゃうりゃ」

 バチコーン

 痛い…しっぽで顔面を叩かれた。星飛んだぞ?

「痛いぞ、イナリ。全くしっぽの威力を少しは…」

 あれ?しっぽが増えてる。3本じゃ無かったか。目の前のふかふかしっぽは5本ある。


「イナリだよな?」

(あぁん?)

 あれ、もしかして人違い?じゃなくてキツネ違いか?

 テントから這い出す。

 しっぽが3本のキツネがいる。あっちがイナリだ。じゃあこっちは?

(同衾の責任を取れコン)

 いや、勝手に入ってきたんだろ?俺は無実だ!


 俺に続いてテントから出たキツネを見てリクの目が冷たい。

(何が何も拾うなよ!だ。お前が拾ってんだろうが)

 くそっ、反論出来ない。


 でも魔獣避けがあるのに何でだ?

(しっぽが多いキツネは聖獣だコン)

 マジかよ。

「イナリの同族か?」

(あっちはまだ子供だコン。責任取るコン)

 どうやって?

(養うコン)

 確信犯じゃねーかよ!


 スキルでキツネを見る。

(いいカモだコン)

 カモられてるじゃんか!マジかよ。断れないのか?

(早く名前つけろ!目をつけられたんだから逃げられないぞ!!)

 リクにどやされた。はい、俺に決定権はないと。

 白いけどキツネだからな。キツネ色から取って

「コハク」

(コハクだ!嬉しいぞ)


 語尾のコンはわざとかよ。はぁ、また食い扶持が増えた。今日こそベルシティに着くぞ。また増えたら困るからな。

 雨はまだ降っているが、朝食(カラスの卵料理)を食べて片付けをして出発した。


「雨除けあるからちゃんと街に進めよ!」

 リクに釘をさした。

 森から出てポクポク歩く。何だかなぁ、もう。アルパカとその背中に烏骨鶏と角うさぎ。横にはキツネとキツネ。勝手に増えるなよ。


 お昼前にやっと街道に出た。今日着けるか?思いの外大きく道から外れていたぞ?

(背中に乗りやがれ!)

 相変わらず上から目線だ。お邪魔するぞ!

 当然みたいにキツネは共に俺の膝の上だ。


(我らの敷物になるとはな、名誉だろ)

 ぐっ、違うと言いたいが、なかなか良いもふだ。膝に乗っているお尻が柔らかくて温かい。

 目の前をわっさわっさ揺れるしっぽ。さわり、おぉー素晴らしい。

 ベシッ

 痛い…振り返ったコハクに睨まれた。ちくせう。


 しかし、早いな。景色がビュンビュン流れる。背中はほとんど揺れないんだけど、とにかく早い。夕方よりも早い時間、多分15時とかそれくらいに街の壁が見えた。 

 透視スキルがアルパカ超お買い得って言ってたのも分かるわ。

 そしてチラホラと人が見えて来た。リクは速度を緩めずすたこらすたこら進む。何組か追い越して門に着いた。そういや、身分証が何とかって透視スキルで視たな。


 身分証の発行希望があればチェック。

 これも分かりにくい場所に書いてあったんだ。しかも小さな字で。あれだな、契約書みたいな感じだ。いかにも読むなよって感じに字がやたらと小さい奴。

 でもな、俺はそれを端から端まで読むタイプだ。しかも時間遅延してたからな余計にな。


 あれ読まなかったらヤバかった。だって、この世界は基本、生まれてすぐ身分証が発行されるから。

 なんか教会?がくれるらしい。無いと逮捕される。誰もが冒険者になれるとかじゃ無いんだよ。ヤバいだろ?

 だから当然、チェックを入れた。


 あれは村人Bを選んだ時だった筈。惰民だと選べなかったんだろうな。他の上級民は知らん。そもそも身分証もセットだったかもな。

 って訳であるぞ?身分証。


 で、門のところにいた兵士?に

「やぁ、この街は初めてか?」

「うん、村から出て来て」

 兵士さんはそうか、と言うと手を出した。その手に身分証を載せる。

「ガゼルか、また遠いところから。良く来たな!入っていいぞ。宿は決めてるか?」

 首を振る。リクたちを見て

 ここを真っ直ぐ進むと宿の紹介所がある。無料だから聞いてみたら良い。立派なアルパカだからな。

 と教えてくれた。


「ありがとう!」

 お礼を言って街に入った。初めての街だ。少し進んで立ち止まる。活気があるな。それに、なんだかこの辺りの建物は石造り。歴史を感じる。足元はレンガだし。


 キョロキョロしてると通りすがりのおばさんに優しく微笑まれた。なんか恥ずかしい。そそくさを進む。あ、あれか?宿紹介所。へー凄いな。あやしい宿じゃ無いよな?流石に子供だし。

 案内所にはきれいなお姉さんがいた。

「いらっしゃい。宿を探してるの?」

「うん、えっと色々と居るから」

「あら、アルパカね!うさぎと鳥とキツネ。くすっ豪華ね?一番安く泊まれるのは冒険者ギルド併設の宿よ。従一緒に部屋に入れるの。ただ、冒険者の登録が必須だけど」





漸く街に到着…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ