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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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45.買い出し

 雨でも快適な俺たちは、重し(貴族の馬車)がなくなった事で快調に飛ばした。そして午後3時には次の街に着いた。笑ってしまった。ベルも苦笑だ。

「明日は6時に出発して、お昼過ぎには街に着こう」

「そうだな、ゆっくり休める」

 と言う事で部屋に入った。


 少し疲れたので、コハクを抱きしめる。濡れてない毛はツヤツヤでもっさもさだ。うん、良きかな。

 大人しく抱かれているコハクの耳を撫でる。そのまま気持ちよくなってうとうとしたみたいだ。


「…は僕だ」

「…やだ」

「約束…」

「…心地良く」

「ならば…」


 途切れ途切れに声が聞こえる。ん…目を開けると横になっている。なんだ?なでり…柔らかい。撫で撫で…。

「くすぐったい…」

 ん?顔を上げると下からルキを見上げていた。

 もしかして膝枕か?!いや、女体が良かったな。


 とはいえ、休ませてくれたんだろうから有り難く堪能するか。パインは無くても顔はきれいなんだ。なんか柔らかいし。よし、これは女体だ。そう思えば楽しい。


 顔を埋めて目を瞑る。そっと頭を押さえられた。

「当たるから…ダメ」

 さわりっ…マジか。なんかごめん。そっと起き上がろうとしたら

「責任取って…」

 無理だ!


 その後は少し大変だった。落ち着くまでそばにいてと言われて、俺も悪いしな。撫でたり顔を埋めたからと固まっていた。

 ようやく落ち着いたルキが俺を離してくれた。色々危なかった。気を付けよう。


 寝ていたのは30分ほどだったみたいだ。せっかくだし、また買い出しに行こう。新しい調味料があるかもしれないしな。

「市場に行ってくる」

 双子も出掛けるが、街を散策するらしい。外まで一緒間に出て、別行動だ。まだ雨は降ってるから白玉だけ連れて出た。

 あ、クリスはいるぞ!


 市場の少し手前で、蹲る人を見た。おじいさんか?駆け寄って声を掛ける。トーカが反対しないなら大丈夫だろう。

「大丈夫か?」

 少し苦しそうな顔をしている。真っ青だ。スイが俺の肩からその人の肩に移ると淡く光った。

 顔色が良くなって、腹をさする。

「痛く、ない…」

 スイは形を変えてドヤる。


 俺を見てスイを見て、胸に手を当てて頭を下げた。

「かたじけない」

 手を貸して立ち上がらせる。濡れた服はスイが簡単に乾かす。市場はすぐそこだから、一緒に向かう。建物に入れば屋根があるからな。


 ホッと息を吐くと改めて礼を言われた。その人は壮年の男性で、細い体ながら鍛えているのが分かった。

 着物みたいな前合わせの服を着ている。腰には刀。日に焼けた肌にはシワが見えるが、その目は真っ直ぐ前を見ている。力強い目だ。


(他国の剣聖だな…戦いに疲れて放浪している)

 トーカ、剣聖ってルキと同じジョブだな。

(清く正しく真面目な人柄。信頼できる)

 そうなんだな、あの毒舌のトーカをしても高評価。出来た人なんだろう。


「時に少年よ、私はちと待ち合わせが少なくてな。何か稼ぐ方法は無いか?」

 俺は曲芸みたいな稼ぎ方が出来るか広辞苑で調べる。

 ふむふむ、広場では剣舞みたいな事で稼げるらしい。まぁ見て良ければ金をくれってな感じ。稼げるかはその人次第だな。

 居合いとか出来るならカッコいいかもな。


「広場で剣を披露するとかは?剣の型を見せるだけでも少しは稼げそうだ」

「なるほどの。して何故私が剣を振ると」

 腰に刀刺してるし、強いのはなんとなく分かった。

「佇まいと、腰の曲剣かな」

 驚いてから笑った。なるほどと呟いて。


「雨であるが、人は来るかの?」

「雨を切ればいい」

 顎髭を触りながらニヤリと笑う。

「付き合ってくれるか?」

「もちろん!金はクリスが回収する」

 クリスも胸に手を当てて頭を下げた。


 その前に飯かな。

「なぁ、これやる!」

 干し肉だ。もちろん、美味いぞ。一瞬、躊躇したが齧り付く。

「美味い」

 パクパクと食べた。顎強いな。

 広場に移動する。


 クリスが一礼をすると

「これより剣の達人による雨斬りをお見せ致します!素晴らしい芸にはぜひ拍手を、そして最後にはお金を頂戴いたします!」

 俺たちを遠巻きに見ていた人たちが興味を持って囲む。

 俺は少し離れた所で見学だ。


 すっと腰を落とすと鍔に手を当てて刀をすっと抜いた。動作がブレずに洗練されている。

 瞑った目を開けると下から切り払う。

「やっ!」

 次は上から斜め下へ振り下ろす。

「とぅ!」

 くるりと回って横薙ぎにする。

「せい!」


 最後に両手で正眼に構えると助走を付けて飛び上がり、落ちざまに上から振り下ろした。

「はぁ!」

 驚いた。刀は土のすぐ上でピタリと静止したのだから。寸止めだ。


 すかさずクリスが

「お見事!完璧な寸止めでした。雨粒を斬り、最後は寸止め。いや、素晴らしく美しい剣筋でした!」

 パチパチパチパチ、俺は思わず駆け寄って

「凄え!ヒュンってしてスパンってしてシャッてしてサシャ、だ。体幹も全くブレてないし…とにかく凄えぞ!」


 俺に釣られて

「あぁ、雨なのにそれを感じさせない剣筋、見事だな」

「やるな!」

「いいもん見たぞ!」

 クリスはどこから出したのか、シルクハットを裏返してお金をかき集める。いやいや、結構入ってるぞ!


「ご覧いただきありがとうございました!」

 クリスが締めくくって終わった。ほんの少しの時間だったが、本当に凄かった。


 また市場に戻る。

「クリス、結構稼げたか?」

「はい、主。15万リラほども」

 それはまた凄い。

「凄いな、じいさん。それでしばらくは困らないだろう」


 クリスが袋に入れて渡した金を半分返そうとする。

「礼だ」

 何のために稼いだんだよ。

「それはじいさんのだ」

 俺が受け取らないと分かると懐に入れた。


「お前さんはどこの宿に泊まっておる?」

「んー知らん。場所は分かるが名前は」

「笑う門には福来るという宿です」

 クリスが答える。えっ?そんな名前だったのか!

「ワシでも泊まれるか?」

 知らん。宿はベルにお任せだからな。

 トーカが

(ベルに雇ってもらえ。間違いなく誰よりも強いぞ)

 相談するか。


「これから買い物するんだが、終わったら一緒に宿に行こう」

 じいさんは入り口で待つというので、市場に入った。

 変わった果物は…あ、もしかしてこれは?眺めていると

「マンゴウだよ、食べてみるか?」

 おばさんが試食を出してくれた。食べてみる。ねっとりと甘い。


「いくらだ?」

「一山で1000リラさ」

 見た感じは5山ほどだ。買うか。

「出てる分くれ!」

「おや、気前がいいねぇ」

 お勧めと言われたひょうたん型の果物は洋なしだった。そちらも買う。


 その他にも買い物をして入り口に向かう。じいさんはただ立ってるだけなのに凄い存在感だった。

「待たせたな!」

「構わぬ、ワシが世話になってるのだからな」

 連れ立って外に出る。まだ雨は降っているから、雨除けの布を爺さんの頭から肩に被せた。


「かたじけない」

 宿に着くと、入る前に

「じいさん、少し身きれいにするぞ!」

 声をかけて浄化をした。なんせ少しな、汚れてたからな。


 宿に入ると、ベルの部屋に向かう。ドアをノックしたら返事が来た。

「ベル、少し話がしたいんだ」

 リノが扉を開けて招き入れてくれる。じいさんはクリスと少し外で待っていてもらう。

「ベル、1人護衛を増やさないか?」

「さっきのおじいさんかい?」

 頷く。チラッと見えたのか。


「いいよ、雇おう」

 あれ、いいのか?

「カスミが推すなら問題ない」

 えっ責任重大だな。

「呼んでいいか?」

「場所を移そう」


 食堂に向かう。

 そこで改めてベルとリノを紹介した。

「ワシはしがない剣士、トルフと申す。よしなに…。市場の手前で踞っていたところをそこな少年に救われての…広場で稼がせて貰った」

 不思議そうな顔をするので、クリスが説明した。


「それはまた、見たかったな」

 ベルは護衛として雇うと言ったが、貴族の方に付いて貰うように進言した。トルフは問題ないと応え、報酬も問題ないと言うので決まった。


 実はルキが伸び悩んでいると言っていたので、師匠として教えてもらえたらという気持ちと、俺も教えて欲しいと思ったのだ。情けは人のためにならず、だ。


 宿もベルが1人部屋を手配した。あれ、1人部屋あるならそっちが良かったぞ。ベルを見ると首を振られた。

 何故だ?




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