34.秘密を話す
部屋に戻るとリクと白玉にただいまと言う。
(腹減った。飯寄越せ)
ちゃんとお昼ご飯置いて行ったのにな、足りなかったか。
お昼に作ったトルティーヤ風のパンに肉を挟んだものをお皿に盛って台に乗せる。
バクバク食べているのを見ながら、今夜のメニューを考える。
オークのバラ肉があるから角煮でも作るか。醤油とみりんを買ってあって良かった。
砂糖は黒糖で代用して、圧力なべ風はクリスが作ったのがあるからこれを使う。
魔道具風に作ってあるから魔石がいるが、自分の魔力をクリスで魔石にするからこれも無問題。
で、バラ肉を切って用意。
普通の牛肉のバラ肉も同じように用意する。
後は引き肉を作っておくか。メンチカツとかいいかも。
しっかりと種を作るとクリスにパン粉を作ってもらい、小麦粉、卵、パン粉の順に付ける。
後はみんなが来てから揚げたらいいな。
ポテトサラダとポタージュ風スープも作って、酒のつまみに生ハム(クリスに作ってもらった)とサラミ、クリームチーズを薄く切った硬パンに乗せる。
鱒もあるから燻製にして(燻製機はクリス作)スモークサーモン風とし、卵も載せる。バジルを散らせばOKだ。クラッカーが欲しいな。
よし、準備を整えたら皿に盛ってポーチにしまう。
取り皿やカトラリーだけ用意しておく。
飲み物はジンジャーエールだ。
リクをもふりながら、ソファで寛ぐ。ジンジャーエールと燻製チーズ、美味いな。摘むとメンチカツが食べれなくなる。程々に…はいはい。
リクが口を開けて催促する。チーズを放り込む。あんまり沢山はないからな、少しずつだ。
ジンジャーエール美味い。
この炭酸発生器、売れるかな?いや、また変に目をつけられてもな…。
ドアがノックされた。
「俺たちだ、ギルマスもいるぞ」
クリスがドアを開けて招き入れる。俺は料理の仕上げだ。クリスは俺の亜空間から料理を取り出して、並べる。
流石に酒は持って来て…な、持って来てるじゃねーか!懲りないなぁ。
「邪魔するぞ!」
つーか、酒飲んだら話できないだろ。
「リーダー、酒はカスミの話の後で…」
「わ、分かってるぞ!」
ウルグの目が泳いでるけど?
「カミス、大勢で悪いな!楽しみにしてたんだ」
「ルキなんて腹減らすために外走りに行ってたんだぞ!」
まじで?ルキさんを見ると目を泳がせた。なんか、子供みたいだ。
「仕上げするから前菜とか摘んで待ってて」
「おう」
「貰うぞ」
「はじめとく」
カナッペから摘み始める。俺も自分用のを摘む。鱒って美味いな。クリームチーズも美味しい。オークの生ハムなんて絶品だぞ!
クリスが胸を張ってて可愛いな、頭を撫でた。
油を熱してメンチカツを投入、ジュウジュウいい音がする。ロキとルキが見に来た。
「これは油?凄い…地獄揚げだ」
「水と違って高温になるからな…サクサクして美味いぞ」
「初めて見る…」
興味深々だ。セイもやって来て
「なんか、凄いな。食えるのか?」
知らないとそんな感じなのか。
つまみ用に小さな丸いポテトコロッケ、チーズインを作っていたからそれをお皿に盛ってロキ、ルキ、セイに差し出す。
「熱いからフォークで食べてな。一口だと火傷する」
聞いちゃいないセイが一口で食べて悶絶してる。だから言ったのに。
俯いてもぐもぐしてから
「熱い!でも美味いぞ!」
叫んだ。そりゃ熱いよ。
ロキとルキはフォークで割って食べた。サクッ目を開くと飲み込んでしばし沈黙。
「「美味しい…」」
俺も食べる。うん、ほくほくだな。
「あ、俺らにも食わせろ!」
ウルグとアマランにも皿を渡す。
「美味い!」
「熱い!美味い」
大好評だ。
「セイは食べなくてもいいぞ」
食えるのかって言ってたし。
「う、いや…そんなぁ」
みんなで笑った。
揚げたメンチカツをお皿に盛って席に着く。
食べ始める。サラダにスープ、カナッペにメンチカツ。どれも美味いな。
みんなも良く食べるから、クリスが何度も揚げていた。助かるぞ!
「毎度のことながら、絶品だな」
「こりゃ離れられないな」
「一家に1人カスミ」
「カスミが欲しい」
「やらんぞ!」
こらこら、俺はものじゃない。だいたいセイのものでもないしな!
「この熱々のは中から肉汁がジュワッ出て来て、衣はサクサク、止まらんぞ」
セイが言えば
「この前菜も最高に美味い!酒のつまみだな。後で追加を頼むぞ。この粒々がな、堪らん」
ウルグが続ける。
「この間四角い肉なんて口の中で溶けたぞ!とんでもなく柔らかい。飲み物かと思った」
それは無いだろうってことを言ったのはアマラン。
「サラダになってるもったりしたのが美味しい…ほくほく」
とルキ。
「チーズとこの透けてるハムが凄く美味しい。スープも飲んだことない。粒肉を揚げたのは特に美味しいし、サラダも、四角い肉も。全部全部美味しい」
これはロキだ。
「喜んでくれて嬉しいぞ!」
みんな大いに食べた。カナッペは少し残してある。酒のつまみだからな。
落ち着いたところで、真面目な話をする。
「俺のジョブについてだ…」
話したのは具現化と発動に必要なスキル、そしてトーカのこと。リグは封印だ。時間操作もな。
「想像したものを実際に作ることができるジョブ、鑑定のように真実を見通す透視スキル、そして、ジョブを発動するために魔力超回復と魔力操作のスキルも持ってるんだ」
みんな黙ってしまった。
「いや、予想以上だな…。ケガを治したのは?」
「私とトーカが」
「ケガの状態をトーカが視て、クリスが、か。いや、凄いな。冒険者より商人向きか?」
そう、実はクリスの具現化は敢えて物理特化に聞こえるように話をしている。まぁ治癒についてはぼかしたが、きっと薬を作ったと勘違いしてくれたはず。
実際に作れるしな、ポーション。
本当は物理以外、魔法でも真理でも作れるとは言わなかった。本当に大事になるし、彼らを守る意味もある。
それですらこの反応なんだから、真の意味を知ったら大変だ。
「良かった、改めてカスミを手元に置いたのは間違ってなかった。その、上級ポーションはあまり使わない方がいいぞ。まぁこのメンバーの中なら使ってもいいが」
それな、でも目の前で死にかけてる人がいて、助けられるのに保身のために見殺しに出来るかと言われると、無理な気がする。
善人じゃないがな、やっぱりそこまで割り切れないからな。
「それも含めて、俺らがフォローするさ」
頼もしい言葉に勇気をもらった。
ホッとした後に衝撃の事実が告げられる。
「後2年は好きに過ごしていいが、その後1年は貴族の作法や勉強、15才になったら王立学院に通うことになる」
えっそうなの?
(貴族に迎えるってことはそうに決まってんだろ!貴族の義務だぞ、学院への通学は)
あちゃー、そうだったのか。まさかの貴族か。
「安心しろ、信頼できる先生がいるから」
その信頼できる先生を後で知って驚くのだが、それはまだ少し先の話だ。
「みんなは結婚しないの?」
ぐるりと見回す。アマランとセイが25才、ウルグは26才でルキとロキは18才だ。
俺はまだ先としてまさに結婚適齢期。
「俺はないな…追いかけ回されるだけだ!自由がいい」
言い放ったのはセイだ。
「僕もルキとはセットだから、やっぱり無いかな」
セット?マジで?
「お得だな」
と言えば不思議そうな顔をされた。
「美形が2人だろ?徳しかない」
2人は驚いて顔を見合わせた。なんでだ?
逆に首を傾げれば
「普通は面倒が2倍って考える」
目をパチパチした。
「楽しいことが倍だろ?」
良く言うよな?楽しみは倍で辛さは半分だったか。
ふっとロキが視線を外した。ルキは驚きすぎて固まっている。
コハクを撫でながら
「コハクのしっぽだって5本もあってお得だ。もふもふが5倍だからな」
胸を張って言えばクリスとトーカがため息を吐いた。なんでだよ。
あ、トーカはみんなに見えてるのか?
「こちらがトーカです。主のスキルを私が実体化しました」
なぜクリスがドヤる?俺のジョブだろ。
「ぶはっ…お得とか、ふふっ凄いなカスミは」
「初めて聞いたぞ、そんな言葉」
何故かアマランとウルグに爆笑された。解せぬ。
それがきっかけでとある騒動が起こるのだが、それはまだ先の話。
次の投稿でカスミのイメージイラスト載せてます…
次の月曜日更新です




