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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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28.その後と儀式

 ギルドの地下にある牢に向かった。そこには女性職員がいた。青ざめた顔で座っている。

 それもそうだろう、向かいの牢には別の男性が入っているからな。


「お前がカスミを殺そうとした奴か?」

 ソイツは驚いた顔で私を見る。ギルドの制服を着てるから間違いないだろう。

「セイル様、私です!早くここを出して!!」

 誰だ?名前も知らないが?


「勝手に私の名を呼ぶな。私の質問に答えろ!お前がカスミを殺そうとした奴だな?」

 ショックを受けたような顔で

「わ、私です!ハーシェル伯爵家のミランダです」


 知らんな。

「坊ちゃま、婚約者候補として名前の上がっていた女性かと」

 ふーん、沢山いたから知らんな。

「婚約者だったミランダです!」

「候補ですな!しかも30人程もいた初期の…」

「知らんな。質問に答えろ!カスミを殺そうとしたんだな」

「してないわ!他の子を危険に晒して、のうのうと帰って来たからお仕置きをしただけよ!」

「鼻と頬、肋骨に背骨まで折れていたが?」


 あっと言う顔をする。

「肋骨は肺に刺さっていて、死ぬところだった」

「そんな、まさか…」

「お前、身体強化が使えるな?カスミは小柄で細いまだ子供だ。身体強化して本気で殴って蹴れば、子供なら殺すぞ」


「主の祝福と、本人の簡易な結界のおかげで…死にませんでしたが、普通の子供なら死んでますね」

 ヒルガの言葉も冷たい。

「そ、そんなつもりは…」

「貴族院に連絡は?」

「してございます。ただ、衛兵案件かと」

「そうだな、ギルドの職員として起こした事件だからな!捌きは衛兵だな」

「な、私は貴族よ!」

「その前にギルドの職員だ!」


 向かいの牢の男は全裸で腰を振っていたが、我々はそのまま女を見ずに牢を出た。

「待って、あなたに相応しいのは私なの!」

「頭がおかしいのだな」


 ヒルガはチラッと私を見ると

「あまりスキルは使いませんようにと言いましたのに」

「あの女にも使ったことがあるのか?」

「いえ、ございませんな」

 肩をすくめる。誰かに聞いたか?勝手に追いかけて面倒なことこの上ない。




 翌朝、カスミの部屋を訪ねると例の神官がいた。カミスは目を開けていた。

「カスミ…」

 そっと話しかける。私を見て安心したような顔をする。そばに寄って手を握れば目を潤ませてこちらを見た。


「痛むか?」

 小さく頷く。頬にキスをしておでこを合わせる。熱が出たな。しばらくして離すとカスミは熱のせいか潤んだ目で私をぼんやりと見た。

「…ギル、マス…ケホッ」

「セイでいい」

 小さな背中をさする。

「セイ…ケホッ、俺…また迷惑を」


 何を言ってる?勘違いで巻き込まれたのはカスミなのに。

「違うんだ、カスミは何も悪くない。私のせいで…」

 手を握りしめて言えば首を振るカスミ。その子を守らなくては。

「いい加減、離れて下さい。馬鹿力で握ったら手が潰れます」

 神官に冷静に手を引き剥がされた。クソッ。

「カスミ、私の言った通りに。いいですね?」


「何だ?」

「ここでは充分なケアが出来ませんから、教会に移します」

「ダメだ。カスミは渡さない」

「この子のためですよ、勝手に決めないで下さい」

「…ない。ケホッ、いか、ないよ…ケホッ。セイ、は、守って、くれる…から、ここ、がいい…ケホッ」


 ラウラは驚いてから

「…仕方ありませんね。無理やり連れて行くわけにもいきませんし」

 また来ますと言って帰って行った。

「勝手に連れて行かせはしない」

 カスミは弱々しく頷くとまた目を瞑った。



 衛兵や貴族院とのやり取りでくたくたな所に、また面倒ごとがやって来た。

「坊ちゃま、騎士ルーガイザ殿が面会を希望されています」

 チッ、面倒だが貴族の対応は私の仕事だ。

「通せ」

 ヒルガが部屋を出て行く。


 ため息を吐いた。借りは作りたくないからな。

 ドアがノックされ、騎士とヒルガが部屋に入って来た。

「私がギルマスだ」

 相手はアナライズ・ルーガイザ。ルーガイザ伯爵の長女だ。

「お初にお目にかかります。ルーガイザ伯爵家が長女、アナライズと申します」

 胸に手を当てる騎士の礼をした。


 ルーガイザ伯爵は武家の家で、女性でも剣を取る。アナライズも女性ながら小回りのきいた立ち回りで、力自慢の相手もこなす。

 腕力で劣る分、技術が素晴らしいと聞く。また、男装の令嬢としても話題で、同姓から人気のある騎士だ。


「ここのところが忙しくてな。手短に頼む」

 顔を上げると

「私を助けた冒険者に会いたい」

「無理だ」

 被せるように否定した。

「礼がしたいのだ」

「平民の冒険者には荷が重い。それだけなら私が伝える」


 彼女は少し俯くと

「その、彼は幾つだろうか?」

 アナライズはまだ婚約者がいない。18才くらいか?カスミとは6才差。貴族なら許容範囲だろう。却下だ!


「勝手に教えられないな!彼はしばらく冒険者を休む。諦めろ」

 顔を上げると

「では、伝言を頼もう。私とまた会って欲しいと。返事は騎士団まで。では…」

 颯爽とマントを翻して帰って行った。全く千客万来だな。


「坊ちゃま、急ぎませんと…」

 ルーガイザが動く。奴らは動き始めたら早いからな。こりゃ急ぐか。

 その後、また実家に行き話をした。

「儀式は忙げよ。まだ12才なら仮だ。それでも、既成事実があれば問題ない」

「はい!」

 やはりそうなるか。


 公爵家…それは血筋と共に魔力が大切だ。遠縁であればまだしも、全く縁のないカスミを家族とするにはハードルが高い。

 血は変えられないから、その時は魔力を合わせるしかない。今日しかないな。ポーションで治療したら儀式をしよう。


 ヒルガに指示を出した。

 私はその足でギルドに戻り、カスミを抱えて馬車に乗った。私の屋敷まで連れて行く。


 ベッドに寝かせて口移しで中級ポーションを飲ませると、カスミと魔力を融合させるためにその小さな身体を抱きしめた。

 ゆっくりと自分の魔力をカスミに渡す。


 こうして、私の魔力が身体をめぐると、本人の魔力と融合して私由来の魔力になる。即ち、公爵家由来の魔力を持つことになる。

 もちろん、本人の魔力が消えるわけではない。両方の魔力が体を巡ると言えばいいだろうか。


 一晩かけて、カスミ体の中に自分の魔力を満たしていく。これでいい。ふう、そのまま疲れて私も目を瞑った。



*****



 なんだか温かくてポカポカする…なんだろう、これ。寒い日に暖かい飲み物を飲んだ時みたいな、体の中に温もりが浸透する感じ。心地良い…。ゆらゆらと揺れるような優しい時間を過ごして、誰かに抱かれる。うとうと、うとうと…。


 ふと意識が浮上した。目を開けると背中が暖かい。目の前にはしっかりとした長い腕。俺を包むみたいに。ん?どんな状況?振り向くと間近にセイの顔。

 おわっびっくりした。なんかまつ毛ながいな。高い鼻に引き締まった頬、色付いた唇。なんだこれは。イケメンって寝ててもイケメンなんだな。

 変なことに感心した。


 まつ毛が震えてる目が開く。薄い水色の目。唇が降って来て…頬に触れる。

「カスミ、気分は?」

「ん…あれっ?痛くない」

 なんか昨日は痛くて呼吸も苦しかったのに。


「良かった。間に合った」

 何が?後ろから支えてもらって起き上がる。柔らかな服を着ている。

 シャツ?

「私のシャツだ」

 なんか彼シャツみたいで恥ずかしい。だってシャツしか着てないし。


 もじもじしてるとヒルガさんが

「シャワーをどうぞ」

 と言ってくれた。1人で行こうとして後ろから抱き上げられた。当たり前みたいにセイに抱えられ、シャワーを一緒に浴びた。


 セイはガッシリしていて、お腹も割れてる。ちゃんとシックスパックだ。足が長くて腰はしまっていて、カッコいい。イケメンは裸もイケメンだ。

 シャワーを浴び終わると自分の服に着替えた。


 そこで衝撃的な話を聞いた。





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