25.依頼を受けよう
なぁ、コハク。その…交わるってどんな風に?」
(体を触れ合わせて魔力を渡し合う行為だ!)
トーカ、それだけ?良かった。別の想像をしたよ。
(粘膜も触れ合わせるんだぞ)
…まさかの?コハクを見る。ツンを顎を上げる。
(あれだけ唇も体も触れ合わせたのに…)
ぴょっ!
えっとしちゃったって事?
チラッと俺を見るとコハク。ん、よく分からんがならば責任を取らないとな。まさかのもふもふだが。まぁ悪くないかもな。
「コハク、すごく心地良かったことは覚えてるぞ!」
しっぽをわさわさ撫でれば蹴りが来た。そんな仕草も可愛いな。
さて、起きるか。
なんかだらだらしようかと思ったけど、思いの外体調が良くなった。引きこもってるよりは外に出た方がいいかもな。
「コハク、外に出るか?」
(出たい)
(出る)
(森に連れてけ)
コハクにイナリ、最後はリク。
あれ?目を擦る。見間違いじゃない。カラスの後ろをヒナがぴこぴこ歩いている。なんで?無精卵じゃ無いのか?
(たまに有精卵が混ざってるんだぞ!)
トーカ、早めに教えてよ。
(ケッ、飼い主のくせに!)
それはそうだけどさ。
「カラス、ヒナの名前は…」
(付けて)
「スズメ」
(私はスズメー)
ほわほわで可愛いけど、黄色く無いんだな。烏骨鶏の子なのに白い謎。
「スズメは何を食べる?」
(普通の食事とエサでいい)
そっか。
今日の朝食は和食。卵かけご飯に鮭の塩焼き、お味噌汁にお漬物。
実はカラスの卵。殻があれば回帰で戻ると分かった。でも戻せるのは一回だけ。無限にでは無い。それは筍の皮も同じだった。流石に無限ってのは無理があるよな。
でも2回食べられるのと同じだからやっぱり助かる。
今回の旅費は食費も含めてギルドから1人1日辺り2000リラ出る。
串焼きが1本100リラ程度だからそんなもんだろ。で、青い稲妻はそれをそのまま、3日分俺にくれた。
散々食わせて貰ったからな!と。
リクは相変わらず何度もおかわりした。今日は珍しくコハクも良く食べる。その背中を撫でると、テシッと前脚で押された。ツンデレは相変わらずだ。
食べ終わると着替えて身支度をする。
クリスが世話をしながら
「主、腰の剣ですが、オリハルコンでコーティングしてみました。アマラン殿に剣を教わることを提案します」
「コーティングしてくれたのか?ありがとう。流石だなクリス」
胸を張るクリス。ちびっ子だから可愛い。
(なら討伐の依頼を受けろ!食料取りに行くぞ)
リク、言い方な!ま、それもいいか。
リクじゃ無いけど、弱弱だしな。クリスのコーティングの威力も確認したいし。
ということで、みんなでぞろぞろ移動。
この時間はやっぱり混んでるな。掲示板を見に行く。一番端じゃなくなった。のか?まだカードのランクはEのままだ。
ノナさんがやって来て
「カスミ、依頼か?」
「うん、討伐を受けようかと。Dのが受けられる?」
「あぁ、受けられるぞ!ボアの討伐とかどうだ?ここから2時間くらいの場所にあるゴルダ山の依頼だ」
リクなら半分くらいの時間で行けるかな。ボアは猪だから皮も使えるし、いいかも。
「じゃあそれにする」
ノナさんの窓口でギルドカードを出して手続きをしてもらう。ランクも上がった。
「気をつけてな!」
「うん!」
リクを連れて外に出る。カラスとスズメはお留守番だ。
北門から出てポクポク歩いていたら
(乗れ!)
リクに背中を向けられる。よじ登ると走り出した。相変わらず早いなぁ。流れる景色を見ながら…あれ、もう着いたの?
まだ30分くらいじゃない?
ちなみにクリスは具現化で空気に乗って滑るように進んでいた。なら俺もそれ出来るんだよな?後で試そう。
ゴルダ山に入って、クリスに空気の塊を出して貰い乗ってみた。結構バランス取るのが難しい。
何度も落ちた。
何故だ?クリスは得意げにスイスイ進む。
(ケックリスは自分の周りに空気の膜を張ってんだろ!)
クリス、俺にもやって?
「言われてませんので…」
なんだと!
「同じようにな!」
「畏まりました」
スイスイ進む。おぉー良きだね、これは。
(来るぞ!ボンクラ)
俺のことかな?トーカ。相変わらずお口が悪い。ま、確かに油断は禁物だ。空気から降りると剣を抜く。
ドドドドドッ
「ト、トーカ…なんか多くない?」
(10匹の群れ)
えっ?無理でしょ!
(クリスを使え)
具現化…あ、泥。
「クリス、俺の前方を泥にしろ!後、適当に落とし穴だ」
「畏まりました」
やって来たボアの群れは泥地帯にハマった。抜けて来たやつは落とし穴に落ちた。
「トーカ、これで全部か?」
(おうよ)
動かないボアに剣を振る。
スパンッ
コーティング凄えな…クビが吹っ飛んだわ。その後は落ち着いて首の後ろを突く。
穴に落ちたボアはすでに事切れていた。
「クリス、汚れを落として回収な」
「はい、主」
依頼はあっさりと達成。
(おい、寄り道だ!)
リク、命令なんだな。そのままリクの後ろを歩く。早いな…。息を切らしてついていくと、大きな木があった。
見上げるほどの高さ。そして金色の実がなっている。
(ゴールデンアップルとゴールデンピーチ)
「トーカ、貴重品?」
(名前聞いたらわかんだろ!)
へいへい。貴重品ね。
「クリス、枝から挿木して成長させられるか?」
「可能です」
「土ごと採取して…」
「部屋に置けるよう、鉢植えで持ち帰りましょう」
「庭に植えたらダメか?」
(そんな貴重なもん植えて、襲われたいのか!死ぬぞ)
トーカ、怖いよ。
「クリス、鉢植えで」
「もう出来ました!」
早くね?
「鉢植えを作って挿木にして、若木まで育てました。あなたの使えるジョブ、具現化のクリスです!」
サラッと自慢したな?よしよし、頭を撫でる。
適当に実も風魔法で収穫だ。
カプリッ
おぉ、瑞々しい。リク、白玉、イナリ、コハクにも食べさせて皮からリグに回帰させて持って帰る。一度で二度美味しい。
白玉、イナリとコハクは近くで何やら薬草や花を採取している。
俺は目についたキノコを見る。ぷくぷくととても美味しそうだ。
(猛毒のきのこ。需要はあるから手で触らず採取しろ)
「クリス、スコップで採って」
クリスが動く前に
ガサッ
「きのこだ…」
男の人が屈んで採取しようとした。
「あ、ダメ…」
「私が先に見つけたんだ!」
「いや、触ると毒が…」
「えっ?あ、ぐはっ…」
だから言わんこっちゃ無い。少し遅れて苦しみ出してしまった。
どうしよう、これ。
「し、少年…腰の袋に、はぁはぁ解毒剤が…」
近寄って腰の袋を取ると中から瓶に入った丸薬を取り出す。瓶を開けて
「いくつ?」
すごい汗をかきながら…何か言おうとしてパタンと力が抜けた。
(一つでいい。口に無理やりでも入れろ!)
顔を起こして口の中に捩じ込む。水を流し入れると、なんとか飲み込んだ。良かった…。
真っ青な顔は少し紫がかっていて危険なきのこだと分かる。
俺は浄化で彼の手をきれいにする。
「クリス、採取しておけ」
「はい!」
困ったなぁ。
「トーカ、どう?」
(解毒剤が効くているが、しばらく起きない)
むむっ。
「クリス、彼の空気の塊に載せて」
「はい」
そうして戻ろうとしたら
「ぐぁっ!」
「うわぁ…」
「あぁーー」
俺はクリスを見ると走り出した。リクはもう俺の先を走っている。
思いの外近くに例の薬草採取を俺に聞いた小さな子たちがいて、まさに大きな熊が子供たちに爪を振り下ろした。血が舞う。
また爪を振り上げる。させない!剣を抜き様に振り上げる。火を刃に纏わせ風魔法で飛ばす。
弾いた!皮か…なら。
「クリス、水の玉を熊の上に出せ」
「はい!」
水の玉の出現に合わせて今度は雷を剣に纏わせて風魔法で飛ばす。
せいやっ!
水が熊にかかり、そして雷が水に触れてバタバタと音を出す。
「ぎゃー!」
やったか?熊はドンと前のめりに倒れた。近づいて念の為、首の後ろを突く。
(感電して仮死状態だった。今ので仕留めたぞ)
ふう、魔法を弾くとはな…。




