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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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24.事件の顛末

 コヒを飲みながらまったりしていると

「そうか、カスミは人気者だな」

 ポツリとギルマスがこぼし、ヒルガさんに目配せをした。タウロスさんも片付けを終えていて

「我々はこれで失礼します」

「ご馳走様!」


 部屋は静かになった。そこでギルマスが話を始めた。


 今回の依頼は国から委託を受けたシュレーヌ侯爵家が、ミスリルを国に届けるという仕事を冒険者ギルドに依頼をした。

 鉱山は国が管理している。普通なら侯爵家の騎士団が運ぶが、今回は少し事情があって極秘だった為、騎士団を動かせず。


 貴族繋がりで依頼をギルマスが請け負い、極秘で依頼を青い稲妻に出した。その後に有名な野盗の拠点が近く、鉱物が狙われていると分かった。

 だからマジックバッグ持ちの俺に声がかかった。


 元々、ダークネス伯爵家という後ろ暗い貴族の裏をかくための作戦が、野盗の出現でややこしくなり、しかも何故か事前に依頼の話が他に漏れていたらしい。


 青い稲妻じゃない方のパーティー、白夜はなんと、そのダークネス伯爵家の推薦だったと分かった。

 何故そんな事が?

 不思議そうな顔をしていたら

「貴族の推薦を、依頼元の貴族の推薦と職員が間違えた…」

 貴族違いか!?なんにせよ、ハナから罠だったと。もう色々とダメだろ。


「完全なギルド側の落ち度だ。本当に申し訳ない。で、補償をな。まず、ランクを上げる。これはギルドに多大な貢献をしたという意味で。今はEランクだがDランクにすぐ上げる。アルパカや執事たちの働きも加味してな。カスミが討伐系の依頼をこなしたらCまでは私の権限で上げる。もちろん、相応の実力があると認められたらな!

 後は金だな。まぁ交渉次第だが、まとまるまではギルドから上乗せで、ひとまず30万リラ」


 ランクが上がるのは嬉しいし、30万リラも嬉しい。終わった事だし、少なくとも青い稲妻のみんなが納得してるなら妥当な金額なんだろう。


 元々の依頼は1万リラだし、実に30倍だ。死にかけたけどな。

「後は、ここの宿への滞在は残り5日分の金を貰っているが…その後の滞在は免除だ」

 えっと、無料?助かるな、それは。ここは部屋も広いし、小さいけどキッチンもある。

 庭付きでベッドもふかふかだ。


「それは助かる!」

「俺たちもこっちに移るぞ」

 青い稲妻のみんなだ。仲間が増えるな。

「わぁ嬉しい」

 お隣さんもいるんだ。

「よろしくな!」

 頷く。


 ギルマスは俺を見ると

「そんな感じでどうだろうか?」

「大丈夫だ。配慮してくれてありがとう!」

 ギルマスは驚いてから

「良かった…本当に。何か困った事があれば頼ってくれ」

 あ、なら聞こうかな。


「あの、俺は少し手作りの調味料とかを売ってて。ベルナ商会に卸してるんだけど、商業ギルドに登録が必要なのか?」

 ギルマスは少し考えて

「必要では無いが、あってもいいかもしれない。あちらも大きな組織だからな。貴族からの圧力は俺がそばにいればある程度は晒せるが、商人が取り込みに来たら厄介だぞ。娘をここに潜り込ませるぐらいやりかねない」


 怖いな、商人も。

「ベルナ商会は大店だ。後ろ盾にしつつ、ギルドにも守ってもらう方がいいかもな!」

「少し考える」

「大丈夫だ、あそこのギルマスは小さな頃からの知り合いだが。やり手なんだが正直でな、しかも有能と来た。あいつを敵に回してまで動く奴はいない。登録するなら紹介状を書いてやる」

「ならお願い!」

 優しく頭を撫でられた。相変わらず距離感がバグってるな。


「邪魔したな!」

 ギルマスと青い稲妻の面々は帰って行った。

 青い稲妻のみんなは別々の宿に泊まっていて、やはり不便だからとパーティーメンバーで同じ宿にするかと話をしていたらしい。


 そこで、今回の騒動によりギルドの宿を格安で使えることになり決めたと。ギルドも遊ばせるくらいなら、使って貰った方がいいと判断したようだ。

 さて、久しぶりにお風呂に入って寝よう。ふわぁお湯はいいねー!


 ベッドに転がる。

「コハク、おいで!」

 白玉もイナリもそばにいるけどね。伴侶だからコハクは特別なんだろう、多分。もふもふな体を抱き上げてベッドに入る。抱きしめるとふかふかしてて温かい。


「クリスもおいで?」

 と言ったら

「簡易ベッドを作りましたので、遠慮します」


 確かにもう一つベッドが部屋の反対側にできていた。そこにはクリスとトーカとリグ、カラスが集まり、リクは部屋の真ん中で横倒しだ。

 ま、ここは安全だしな。コハクをぎゅっと抱きしめて、耳にキスをして眠った。




 その夜、不思議な夢を見た。

 白い空間に白い髪に金色の目をした美女がいる。その人は俺を見て、頬を染めて走り寄り抱き付いた。

 草原のような爽やかな匂い。あれ、この匂いは…?


 手を引かれるまま進むと、大きなベッド。猫足で天蓋付きだ。透ける布を捲ると俺を連れてベッドに寝る。

 仰向けで、俺の体の上にはその美しい人。


 整った、作り物のような美しい顔が迫り唇が触れた。

 これは夢だよな?リアルな夢だな…唇の柔らかな感触まで分かるなんて。


 その人は服を緩める。白くてきれいな体には…たわわな胸が…ない。男?!

「我らに性別はない…」

 高くも低くもないとても不思議な声で

「カスミ…添い遂げよう」

 ん?どういう事だ…。お互いの素肌が触れる。少し高い体温が心地良くなめらかで柔らかい肌が感じられた。


 本当にリアルだ。夢、だよな?

「伴侶だからな…子を望んだであろう?」

 また唇が触れて…溶けるような感覚がした。魔力か、これは。なんて優しい魔力なんだ。ふわふわと漂うような温かさに包まれて目を瞑る。


 記憶はそこで終わっていた。

 美女?が何か言っていたような気がするが、俺はあまりの心地良さに意識を手放した。



*****



 私が初めて見た傲慢ではない人。笑顔の裏に邪悪を隠した大概の人間と違い、良くも悪くも何も考えていないカスミ。契りのことも知らず、なのにぐいぐいと押してくる。それが心地良くて、そばにいたくて。


 耳にキスをされた時は全身が震えた。望まれたと分かってとても嬉しかった。

 そもそもがただの獣だと思っていたくらいだ。自分は弱いくせに守るべきと勝手に考えて、カスミなりにお世話をしてくれた。同じ毛布にくるまると温かい。



 昔、郷の大人たちが言っていた。

 人は信用できないと。笑顔で我らを利用することしか考えないからな、気をつけろと。


 でも、我らを知らずに守ろうとするなどな。しかもまた増えたとか考えていたし。

 なのに、しっかりと食事や水を用意して甲斐甲斐しく世話をしてくれる。


 だから、子を望まれたから…私の亜空間に呼んだ。そこは伴侶と添い遂げる神聖な場所。

 まさか人間をここに連れて来るとは考えなかった。


 聖獣同士で契りを交わす事が圧倒的に多い種族。稀に、私のように外に出て人間と契約することもあるが、伴侶となるのはとても珍しい。

 イナリも契約はしたが、カスミが死んだ後は郷に戻って相手を見つけるのだろうから。


 カスミはまだ子供。でも人の命は短いから。少しでも早く子を成さないと。

 だから、今日は2人で…添い遂げよう。まだ小さくて頼りない身体だけど、大丈夫。私が導くから。


 そうしてその夜、2人で魔力を交じり合わせた。何度も、何度も…。あぁ、これが!

 同族とはもちろん、経験済みだが…全く違うと分かった。離さないよ、大好きなカスミ。




 翌朝、目を覚ますと腕の中には5本のしっぽ。コハクだ。わさわさ…ふかっとしてて気持ちいい。顔を埋めると後ろ脚で蹴られた。

(変態…)

 ははっ、このけしからんしっぽが悪い。


 首元には白玉、背中にはイナリだな。見ないで触るとまた大切なところを揉んでしまうかもしれないからな。後で首を撫でよう。

 にしても変な夢だったなぁ。


(夢な訳無いだろ!交わったんだ)

 ん?コハク。交わった…性別はない。白い髪に金の目。あれ、コハクの色だ。


「昨日のきれいな人はコハク?」

(当たり前だろ!後で、とか夜に…とか散々煽っただろうが)

 …確かに言ったが、まさかのそっちか?待ってって言ったよな、俺。まだ小学生だぞ?

(私は成人している!)


「なぁ、コハク。その…交わるってどんな風に?」

(体を触れ合わせて魔力を渡し合う行為だ!)

 トーカ、それだけ?良かった。別の想像をしたよ。

(粘膜も触れ合わせるんだぞ)

 …まさかの?コハクを見る。ツンを顎を上げる。

(あれだけ唇も体も触れ合わせたのに…)

 ぴょっ!?




粘膜は唇のことです…

体は温もりを伝えるために触れ合わせただけ



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