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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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1.転移した

 諸々の準備を終えて転移した先は草原だった。見渡す限りの草原に道がある。

 街は遠くにそれらしきものが見えた。多分、あれは街を囲う壁。

 ポーチから広辞苑を取り出す。

 お勧めの街という項目を開くと

「異世界初心者に優しいのは、ここから西へ3日移動した先のベルシティ。冒険者の登録がしやすく、治安も良い。広場でお店を無料で出すことも可能。持ち込んだ調味料は高価なので、非常に高く売れる」

 なるほど。

 近くの街という項目を開くと

「治安は悪く無いが、荒くれ者が多いモスシティ。異世界中級者向け」


 続いて野営の項目を開く。

「街道沿いには一定間隔でテントが張れる場所が整備されている。魔獣に襲われるリスクがあるので、夜の見張りは自己責任でする」

 さらに魔獣避けテントの項目を開く。

「異世界転移特典によるアップグレード魔獣避けテントはドラゴンでも大丈夫。高度な隠蔽によりスルーされる仕組み」

 よし、目指すぞ!ベルシティを。


 ちなみに、今の俺はアルパカとその背中に烏骨鶏。アルパカの背中には鞍があり、両側に荷物を乗せている。

 記憶にあるアルパカの2倍、大きさ的には馬に近いサイズ感だ。

 アルパカは魔獣なのか?


(上位の魔獣 土魔法と風魔法が使える。人を乗せて馬より早く走る健脚。他の魔獣はキックで仕留める)


 これは透視スキルにより視た。強いのは助かる。

 ポクポク歩いて行く。

 実はこの草原にちらほらと人が見える。同じような装備を身に付けているから、多分、同郷だ。

 俺は色々アップグレードしたから、見た目はこの世界に馴染んでいる。

 服装はシャツにズボン、皮のハーフブーツに皮のフード付きローブ。腰にポーチで斜めがけバッグ。 

 左腰には短剣と長剣。右腰に杖。そして胸当てと籠手。


 アルパカと烏骨鶏を連れている旅人だ。実はジョブを選んだ時、設定も選べた。元々、ジョブを選ぶと自動的に設定が付属していた。

 例えば勇者なら英雄とか、聖女なら聖なる者、とか。要は人としてのランクみたいなものだ。

 で、俺が選んだ具現化と回帰は惰民だった。そんな言葉あるんだなって感心しそうになった。

 でもな、変えられたんだよ。無料で。だから透視スキルで見た村人Bにした。


 村人Bは貧しい故郷を自ら出て来たって設定で、どこの街でも優しくしてもらえるらしい。村人Aは田舎者のくせにいきってる設定。無しだろ、そんなの。

 村人Cは村を追い出された設定。そんなの選択肢に入れるなよ!

 って事で俺は村人Bの設定だ。田舎から出て来た村人。共に生きて来たアルパカと烏骨鶏を連れて旅をする。


 ここで馬でも牛でも無いのがミソだ。

 牛にしようとしたんだぞ?でもな、透視スキルで見たら

(田舎者丸出しで笑われる要素しかない)

 と出た。でも牛乳飲めるしって思ったら

(安く買えるし、冷蔵庫がないから販売に向かない)

 さらに

(わざわざ選ぶ奴は頭悪すぎ)

 …お前こそ口悪すぎだろってスキルにツッコミを入れそうになったわ。 


 後、馬は高価だから、自ら出て来たわりに羽振りがいいと胡散臭く見えると透視スキルで視た。無しだろ。


 アルパカがお勧めなのは、力が強くて魔獣としても強いこと。健脚な事。丈夫な事。そして、定期的に毛刈りが必要で、その毛はとても高値で売れる事。

 いい事しかない。しかも、そんなに有用なのに、魔獣というだけでなんと5千Pだった。やっす!

 烏骨鶏と同じ値段だぞ?まぁ烏骨鶏は毎日同じ卵を2個産むからな。栄養的にもバッチリだ。


 とそんなこんなで、初期装備丸出しのみんなが近くの街に向かうのを尻目に、俺は反対方向のベルシティを目指した。

 ポイントはひとまず10万Pを現金化した。

 通貨はリラと言って、だいたい日本の1円くらいらしい。そう考えると聖剣が30万なら確かに安いんだろうな。ポイントもそれなりに残ってるから、必要に応じてそっちで買うのもアリかもな。

 と言ってもそれも透視スキルで視たからなんだが。


 アルパカはポクポク進む。しかし、見事に何もないなぁ。異世界あるあるで、もふもふと知り合えたりしないのかな?俺は断然猫派だ。あのしなやかな体、生き物のような尻尾。全ての仕草にキュンとする。

 まぁ、でももふもふってならアルパカでも充分か。

 どれくらい歩いたか、突然アルパカが止まった。俺を見る。

 なんだ?


(水寄越せ、気が利かないな…コイツ)

 …俺か?仮にも主人にコイツ?

(雇われだからな、主人はお前じゃない)

 あのキラキラしい女神か?

(ケッ!)

 ツバ吐きやがった。


 よく見ればもふいが目つきもわるいし、口を斜めにもごもごしてる様は太々しい。お目目まん丸のキラキラじゃ無いんだな。

(チッ)

 態度悪いな、コイツ。ま、それでもいて貰わないと困るし。

 水筒から桶に水を出す。

 ちなみにこの水筒も透視スキルで


「無限に湧き出る仕様にアップグレードしないやつはすぐ死ね!」

 と出た。ってかなんかみんな言葉悪くないか?

 って事があり、もちろんアップグレードした。しかもたったの1万P。

 だからドバドバとな。アルパカは屈むとべっちゃべっちゃと飲んだ。その背中を撫でる。ふかっとしてた。

 性格悪いし目つきも顔つきも悪いが、毛並みはさすがだな。


(フン、水は美味いな…)


 あれ、意外に素直?干し草を桶に入れてやればもっちゃもっちゃと食べた。これもアルパカや烏骨鶏を買うときに透視スキルで視た。だからエサも買ってある。


(名前をつけられてやってもいいぞ!)


 …もしやツンデレか?


 ごふっ…頭で鳩尾に一発入れられた。だが案外痛く無い。手加減してくれたのか?

 で、名前だな。うーん

「アル…」

 めっちゃ睨まれた。

「ラクダ…」

 また唾を吐かれた。あぶねーかかるとこだったぜ。

 んーじゃあ

「リク」

(リクー!)

 凄え喜んでんじゃんか。ま、名前ついて良かった。


「コココッ」

 とお前もいたな。烏骨鶏。

「カラス」

(僕はカラス!)

 やべっ決まっちまったぞ。全くカラスらしからぬカラスだが。まいっか。

 カラスにも水とエサを与えて進む。

 俺は歩きながら水を飲んだ。ついでに燻製チーズを齧る。なんか視線を感じる。


(寄越せ…)

 チーズって食えんの?犬も食ってるし大丈夫か。口元に差し出すと手ごと舐められた。ベチャベチャだ。

 うへぇ、これは嫌だな。

(美味い!)

 リクが感動してるが俺は手を何とかしたい。

 ウェットティッシュとかないからなぁ。何とかならんかなこれ。


 すると頭に声が聞こえた。

(回帰ジョブを発動しますか?)

 回帰…あっ、する!と考えれば手は元のきれいな状態に戻った。回帰スキル凄えな。

 具現化スキルでウェットティッシュ作ろうと思ったんだがな。ゴミになるし、回帰スキルの方がこの場合は良かったな。


(もっと食べてやるぞ)

 …素直じゃねーな。またその口に今度は放り込む。器用に食べるリク。

 歩きながら進む。人とはすれ違わない。陽が高くなって来た。転移したのは朝だったからな。

 どれくらい歩いたか、流石に腹が減った。


 広辞苑を広げる。

 道中の食事の項目だ。

「街道から外れて食べるか行動食」

 昨日食べ損ねた自前刺身定食を食べよう。

 ポーチから野営セットの机と椅子をだし、さらに刺身、サラダ、漬物、ご飯に味噌汁(溶かして飲むやつ)を準備した。

 お湯?それも例の水筒から。お湯って思えばお湯になる仕様。これもアップグレード仕様だ。

「頂きます!」


 醤油も買ってて良かった。

 う、美味い!マグロの赤身はサッパリ、ハマチは脂がのっていてとろける。イカは甘いしウニは濃厚。サーモン炙りは香ばしくてマグロの中トロはとにかく最高だ。

 夢中で食べた。ふぁ、堪らんな。

 これが補充されるんだぞ?

 毎日、ポーチからカバンに移し替えないとな。忘れそうだな。貧乏性だから毎日補充したい。


(具現化を発動しますか?)

 それだ!ポーチの中身をカバンに移す!

(具現化発動。自動移し替え化機能をポーチに付与しました。毎晩、移し替えをします。止めたい時は機能停止と伝えて下さい)


 よっしゃ!誰もいないところでガッツポーズをした。





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