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チートなジョブで転移無双  作者: 綾瀬 律


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15.化粧品

 調味料が減ってスカスカしたテーブルに片隅に、化粧品を置いた。

 隣のお姉さんが化粧品を見ている。

「試してみる?」

 クリスが試食の方を担当してくれる。

「ぜひ」

 食い気味に来たな。


 手の甲に一滴だしてくるくると馴染ませる。やり方を教えるよーと無邪気に言ってみた。ヤローの手は握らないぞ!

 柔らかい手だ、くふっ役得。

「どう?」

 見上げるとパインが目の前。眼福です。


「これは…凄いな」

 ちょうど頼んでいたポーチやバッグが出来上がったので、お金を払って受け取る。その後に今度はお姉さんが化粧水と美容液、髪の毛に付けるオリーブオイルを買った。お金が行ったり来たりだ。

 俺もお姉さんもホクホクだ。


 白玉にイナリとコハク、クリスにもそして、みんなには見えないけどそっこりテーブルの下でトーカにも渡す。

 おぉ、可愛い!

 白玉が小さな斜め掛けバッグ。目が水色だから水色だ。

 イナリは金色の体毛だから白、コハクは白いから青、トーカはエンジで、クリスは茶色。リクは紫でカラスが赤だ。


 クリスがちびっ子執事スマイルでドンドン調味料を売る。最後にやって来た筋肉が凄いおじさんが残りをまとめて買ってくれた。

 レストランをやってる人みたいだ。


 残ったのは化粧水と美容液、男性用化粧水。

 ここでもクリスが大活躍。ってか俺のジョブだよな?商売上手いな。実体化したら有能な執事だった件。

 で、売り切れた。


「そこのきれいなお姉さん。より美しくなりたいと思いませんか?」

 とか

「そこに渋いお兄さん、肌荒れにこの商品おすすめですよ」

 とか。ただでさえ目立つちびっ子執事。あら可愛いわねぇ、なんて言いつつ、誉め殺して買わせる。

 余も悪よのう…ってな感じだ。


 お昼にはクリスと交代でサンドイッチを食べて、午後2時には売り切った。

 俺って要らなくね?クリスだけで完結しそうだ。

 隣のお姉さんに声を掛ける。

「売り切れちゃったから帰るね!また来週会えれば」

「良かったな、買ってくれてありがと。私は水曜日と木曜日はここにいるから会えるさ」

 手を振ってくれた。よし、来週もぷるんを拝める。


 帰りにベルナ商会に寄る。

 扉を開けると目の前に知らない女性がいた。年は30後半くらいかな。ぴちぴちではないけど、まろやかな色気のある美人さんだ。でもちょっと圧が怖い。目を彷徨わせるとベルが奥から出て来て

「やあ、カスミ。待ってたよ!母様、いきなりはカスミが驚きます」

「あら、うふふっそうね」

 ベルのお母さんか、若いな。それにしても笑顔の奥の圧が凄い。


 ベルに連れられてまた応接室に。えっと対面に3人とベルの後ろにリノ。なんか怖い…。俺は1人だ。

 おどおどしているとベルが気を遣って場所を俺の隣に移してくれた。ホッとした。


「カスミ、たくさんで驚かせたね。紹介するよ。左が商会長の父、で母。あの調味料も化粧品も、みんな気に入ってしまって。会いたいって言うから。急でごめんな」

 そういうことか。ならまぁ納得か。


「初めまして。カスミ君。私がベルナ商会会長のベルリナだよ」

「初めてまして。ベルの母でアンナよ。あの化粧品はどれも素晴らしいわね!」

 体を乗り出してからアンナさん。思わずベルの腕に縋った。圧がね。


「お母様、カミスが怖がります」

「あら、ごめんなさい。ついね。女性は美容という言葉に弱いのよ!で、あの化粧品。我が商会にも売ってくださらない?」

 拒否は出来ない雰囲気だね、これ。


「あ、あの…男性用化粧水だけは数が出せない。違うものを作るので良ければ数もそこそこ用意出来るかな。他のは、時間貰えたら頑張る」

 あえて敬語は使わない。無知な冒険者を装うのだ。


「もちろん、男性用はどうでもよろしくってよ!女性用のがあれば。ねぇ、リノに渡したクリーム。あれも沢山欲しいけれど、出来るかしら?」

 ぶっちゃけスキル使えばなんとでもなるっていうかね?

 ただ、不自然だからほどほどにしないと。


「作る時間と詰める時間が有ればなんとか…」

「どれくらいかしら?」

 にっこり笑うアンナ様。笑顔の圧が凄い。しかし、俺も冒険者として活動したいしな。うーん…難しい。数もどれくらい作ればいいかな。ここで決めないとダメなの?


「母様、まずは数を決めないと」

「そうだぞ!彼は商人じゃ無いんだからな」

「アレだけの品物を売れるのだから立派な商人ですよ。ぜひ商業ギルドにも登録を…」

 それは嫌だ。

「アンナ、それを決めるのはカスミ君だ。強要してはいけないよ」

「でも、こんないい品…」


 俺は立ち上がる。

「今日は帰る。その話は保留で、調味料はリノに渡すので」

 部屋を出た。俺の人生は俺のものだ。勝手に決められるのは嫌だ。自分の時間をどう使うかは俺が決める。


「カスミ、待って。ごめん…」

「カミス、申し訳ない」

 俺は振り返って首を振ると、棚に調味料を出した。

「今日はこれだけ。次は1週間後。数はなんとも言えない。預かり証だけ貰ったら帰るよ」

 ベルもリノも申し訳無さそうにしている。彼らには怒っていない。女性は自分勝手だ。


 預かり証を貰って商会を出た。苦手だな、ああいう人。ベルとの付き合いも最小限にしないと。

 とぼとぼとギルドの宿に戻った。


 今日は和食の気分だ。でもなんだか鍋が食べたい。よし、味噌鍋だ。お餅買ってて良かった。

 豚バラ肉を切って、白菜も芯と葉に分けて切る。長ネギ、葛切り、ほうれん草。

 出汁を作って野菜を煮込む。肉、ほうれん草と葛切りは後で。


 味噌と唐辛子を少し追加。味を整えたら肉と葛切りとお餅。お餅がある程度柔らかくなったらほうれん草を入れて一煮立ち。

 うどんも湯通ししておく。


 さて、食べよう。嫌なことがあった時は美味しいものを食べるに限る。今日は夕食からビールだ。

 ごくごく、ぷはぁ、美味い!

 みんなの皿に熱々の鍋から野菜と肉を盛る。餅と葛切りは俺だけ。喉に詰まったら大変だからな。


 はふっうん、マジで美味い。スープに野菜と肉の旨みご出てるからな。堪らん。ビールをクビっとな。

 いや、熱々の鍋にビール…最高!!

 〆はもちろんうどん。卵とじだ。つるんっうはぁ、控えめに言って最高だね。止まらない。


 俺が食べ終わってもリクは寄越せ寄越せと煩いので、うどんはダメだから野菜と肉を追加で煮た。

 俺は作りながらビールとサラミだ。ついでに刺身も摘む。はぁ、スローライフだよな。目指すのは。


 あんな怖いおばさんに目をつけられたアクセクとか勘弁だわ。ま、無理のない範囲で…楽しもう。俺以外は簡単に作れないんだから。

 他に作れる人がいるならその方がいいだろうし。


 クビっと。ポテチも開けるか。バリバリッ美味いよなほんと。はぁ、日本はいい国だったなぁ。ふと感傷に浸った。


 俺はたまたま手持ちに大人買いしたものがあって、しかも持ち込めて、さらに復活させる事が出来る。アレが出来なかったら辛いよなぁ。まぁなくてもクリスがなんとかしそうだけどさ。ゼロからと一からじゃ雲泥の差だ。

 ほんと悪意を感じるよなぁ。


 と、飲みすぎたか。体を浄化して寝よう。

 そのまま這いずるようにベッドに向かい転がった。


 これが全部夢だったら…それはそれで嬉しいのになぁ。

 未練なんてない筈なのに、やっぱりあちらの世界を想い、少し切なくなった。




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