12.商売
作品設定変更しました。
純愛ですがBL要素があります。
苦手な方はご遠慮ください、今更で申し訳ありません。
「何を売るつもりなのかも含めて、奥で話をしようか?」
頷くと奥に向かう。
「お帰りなさい、ベルドラ様」
「ただ今。奥に入るから、紅茶持って来て」
「はい」
まだ若い店員さんに声をかけるとドアを開けた。いわゆる応接室だ。向かい合って座る。
「で、売り物が有れば見せてくれるか?」
まだ用意してないからな。
「少し作業しても?」
「構わない」
ドアがノックされ、若い店員さんが入って来て紅茶を置いた。
「あぁ、リノも同席して。カミス、彼はリノと言う」
「リノと申します。カスミさん」
「初めまして。呼び捨てでいいよ、リノさん」
「これはこれは、初めまして。では私も呼び捨てでお願いします」
辛子を取り出してボウルの上で細かくする。もちろんジョブで。サラサラのそれを紙に少し取って渡す。
ポーチからオークの生肉を取り出して七輪に乗せて焼く。
焼きながら柚子胡椒、柚子塩、柚子山椒、山椒パウダーを作る。後は黒糖。それを固めたものを粉末にする。胡椒も粗挽きにして岩塩を混ぜる。塩胡椒だ。
焼けた肉にそれぞれをかけたり載せたりした。
「良かったら試食してみて?」
先に柚子胡椒を乗せた肉を食べる。パクリッ美味い!やっぱり青山椒が良いぞ。臭みも感じない。
ベルとリノも手を伸ばす。小さな串を渡してあるからな。
「ん、これは…」
パクパクと食べている。イナリとコハクが膝に登って来たので食べさせる。白玉にもな。
「美味いな」
「とても美味しい」
「魔獣の肉だ」
驚いて
「これは、売れるぞ」
だよな?
「で、それは?」
紙に乗せて渡す。ベルは小指に付けて舐めた。驚いてるな、よしよし。
「カスミ、これは…?甘くてまろやかで」
リノも小指に付けて舐めた。驚いてるな。
「黒砂糖だ」
「黒砂糖…」
「これも故郷の甘味なんだ」
「そうか…」
元は商店で買ったけどな。
「これは、我々の店にも置きたいな」
でも大元のサトウキビは…買えるか?
(ジョブがあんだろ?頭悪いな!)
あ、そうだった。絞った後の茎がある。エンドレスだ!
「大丈夫だぞ!大量には無理だが」
その後は粉山椒と砂糖パウダーをベルの店に卸す事にし、その分、容器は安くしてもらえることになった。
「何個いる?」
「んー、100個ずつ欲しい」
それなら元々大口で割引があると言う。なので結局全て3割引で買えた。先に瓶を購入してもらう場合にはベル商店と同じ値段プラス中身。
小さな瓶の中身だけで800リラ取れると言われた。一味、二味、塩胡椒、柚子塩、柚子山椒、山椒パウダーで。
柚子胡椒と黒糖パウダーは1300リラ。高いなって思うけど
「魔獣の肉が上手く食えるなら安いぞ」
だそうだ。
で、瓶はそのままリノが馬1頭に載せて宿まで運んでくれると言う。リクにも載せると伝えて一緒に宿に戻った。
リノに礼を伝えて宿に入る。
さて、詰め替え作業だな。人手が欲しい。するとトーカが
(スキルが実体化するんだからジョブもできんじゃね?)
と言った。そっか、それならイメージとか考えなくても言葉で伝わるんだ。
丁寧な物言いなら、執事だな。
ポン
目の前に執事がいた。場違いなほど完璧な執事だ。三揃えが完璧だ。背筋が伸びてて気持ちがいい。
ただ、小さいけどな。見た目は6才くらいだ。
「私は具現化のジョブで具現化した具現化ジョブです」
ややこしいわ!
「名前を…」
やっぱりセバスチャン?
「…」
(ダッセー)
定番だよ、定番!でも慇懃に構えながらも拒否の姿勢。なら
「クリス…」
「私はクリス」
決まった。毎回ドキドキするわ、名付け。
「クリス、手伝って」
「お任せください」
ジョブだしね?で、あっさりと終わった。作るところまでは。中身を詰める作業は無理だった。
ん、待てよ。移し替える、移動。魔法で移動させる。ものが移動する魔法を具現化したらいいのか。
「では、僭越ながら私目が!」
はい、一瞬だった。
空間魔法になるのかね?ジョブだから厳密には魔法なのかわからない。でも魔法を具現化してるならやっぱり魔法なんだろう。
まだクリスを使いこなせてないのは分かる。トーカの出番かもな。そんなこんなで出来た。
リクが
(俺にも肉を食わせろ!)
あー試食は食べてないもんな。カラスもリクといたから食べてない。トーカは人に見えないからやっぱり食べてない。よし、肉を焼くか。
七輪に網を乗せて肉をじゃんじゃん焼く。フレーバーは好みでどうぞ。軽く塩胡椒はしてるからな。
横でパンを焼いて野菜を入れたスープを作る。トーカと、そして小さいクリスの分も椅子を作って、皿やカップに載せる。
パクリ、やっぱり柚子胡椒美味い。パクパク食べられる。ふぅ、お腹いっぱいだ。
「美味しいです、主」
小さな子供がその喋り方は変だぞ?しかし、見た目は普通じゃ無いが人間っぽい。身分証はあるのか?
上着の内ポケットから取り出したのは身分証。まじで?
…おい、村人Bの付き人って無理あんだろ?俺より立派な服着てるし。
深く考えても仕方ないか。
こうして明日の用意もできたので、久しぶりにシャワーの箱を出して入って寝た。
その内風呂も作りたいな。
翌朝、目が覚めた。でなんでクリスは俺の腕の中なんだ?そういえば寝る時にクリスを見たら
「私は執事です故、床で」
となり、流石にそんな小さい子を床って無理だろってなって一緒に寝たんだっけか。ぽかぽかしてるな。イナリとコハクは起きると毎回毛布の中に入り込んでる。
しっぽを撫でると嫌がる癖に、大体しっぽを顔に向けて寝てるんだ。変なやつ。
さて、顔を洗って朝ごはんだな。
そろそろ串焼きも無くなるな。広場に買いに行くか。
「広場で飯食うぞ!」
ぞろぞろと庭から外に出た。
広場に着くとあの串焼き屋に向かう。やっぱり売れてない。
「よお、串焼き100本くれ」
パッと顔を上げると
「ありがとう!」
焼き始めた。リクたち用に串から外したのと、自分用だ。クリスに渡したら自分で串から外してフォーク(どっから?)出して手を出す。ん?
「主殿、柚子塩を所望します」
かけろってか。ほいほい、と。
優雅にフォークで食べる。
「美味、ですな…」
もしゃもしゃ食べてる。有能なジョブだからな。
ドン
痛いってリク。どつかれた。
(早く寄越せ!クリスと同じ味のだ)
へいへい。コハクとイナリにも柚子塩をかける。俺も食べよう。うん、これはまた美味いな。
「な、なぁ…それ何かけてんだ?」
周りで見ていた冒険者風の少年が声をかけてきた。
「自家製調味料だ」
「それかけたら美味くなるとか?」
「食べやすくなるぞ!」
ゴクリッ
「2本分で10リラ」
「買う!2本くれ」
さっそくかけてやる。
「辛いのは大丈夫か?なら違う味に出来る」
「大丈夫だ」
10リラもらって柚子塩と一味をかけた。
パクっ、バクバク。
「美味い!どっちも美味いなこれ…」
普通のより量が多くて安い。でもやっぱり臭みがあって敬遠されていたようだ。少年なら稼ぎも少ないだろうからな。安いのは助かるだろう。
一緒にいた少年たちも買っていた。俺には10リラ払ってフレーバーだ。
「美味い!」
自分用の100本を確保していたが、フレーバー希望者が続出したから仕方なくそこにいた。
あれ?
「私にもそれぞれ頼みます」
リノだ。
「やっぱり美味しいですね。これは一味と柚子塩ですね。後で個人的に買いに来ます」
「よろしくな!」
「ありがとう!売り切れだ」
礼を言われた。俺の調味料の宣伝も兼ねてたからな!
「ん、いい宣伝になったからな」
手を上げて一旦、宿に戻る。
「リクとカラスは留守番…待て」
慌ててカラスのお尻に手を当てた。ポンポン。大切な卵だからな。
あ、お昼ご飯用に卵サンドと肉サンドを作るか。8枚切りの食パンを出して七輪で軽く炙ってマーガリンを塗る。フライパンで厚焼き卵を作り、肉を焼く。適当な大きさに切ってパンに挟んで出来上がり。
リクとカラスの分は宿に置いておいた。そのまましばしの休憩。まだ9時前だからな。イナリのしっぽをもふる。コハクの方がよりツンデレだから、イナリの方が大人しく撫でさせてくれる。もふもふもふ。とそろそろか。
「行ってくるからな、留守番頼むぞ!」




