120.擬人化からの…
なんか疲れた。今日はリグだな。何気にリグとはあまり話をしていない。クリスとトーカはしょっちゅうなんだが、リグを使う機会はそんなに無いからな。いや、まぉ食べ物ではよく使ってるが。
人型のリグとはあまり絡んで無い。だから緊張する。一応、唯一の女型だからな。
夜、リグを俺のテントに呼ぶ。
「リグ、おいで…」
緊張した顔で俺の手に手を重ねる。
「無理しなくていいぞ!まぁその…人としては定着しないが、する事はできるし。子供は産めないが」
リグは決心したみたいに顔を上げると
「なりたいです!ウルグ様の唯一に。だから…優しく、して…下さい」
なんかな、俺の罪悪感が鰻登りだぞ!別に襲いかかる訳じゃねーのに。
手を引いてそっと抱きしめる。
「震えてんじゃねーかよ。ま、ちっこい時に裸は見てるんだから気にするな!ちんまいおっぱいには感じないからな」
ぐはっ空気砲が飛んで来た。
「脱がされたいか?」
顔を真っ赤にしてぷるぷる震える。さりとて、自分で脱ぐのもって感じか。
そのままベッドに入ると粛々と脱がした。そして体を寄り添わせて…ゆっくりと魔力を交換して行く。
「あ…うん、はぁ…っ」
なんでみんな艶めかしい声出すんだよ!
「ん…あ、ダメ…」
ぐっなんか凄えやらしいことしてる気分だ。俺の胸に当たるリグの胸は細やかで、俺の息子はちんまりしてるぞ。安心しろ!
俺のメンタルはゴリゴリ削られながらそれでも眠れる俺ってある意味凄いな。
翌朝、目を覚ますと顔を赤くしたリグが俺を睨んでいた。可愛いなおい。体が密着してるからその細い体も温もりも良く分かる。
なんかツンツンしてるリグが可愛くて顎に手を当ててキスをした。寝ぼけてて深くキスをしたらしく
「あ…う、ん…」
その声でなんかまた眠くなって腰と背中を撫でた。あ、突起…肩甲骨みたいな突起だ。無意識に撫でたようで
「あ、あぁ…うん、はぁ…もうダメ、やめて…」
ん?目を開けると俺の胸に頬を当てて顔を赤くしていた。細い腰を抱き寄せて…あっいけるか。
「抱くか?」
バンッ
…ヒュってした。瞬時に縮こまったぞ?そしていつの間にか部屋にいた双子が凄い顔で俺を見てた。そう、満面の笑み。怖いっ美形の目が座った笑顔。
リグは俺の胸に顔を埋めてるし、しっかりと抱き付いている。そして
「優しく、して…」
待て、今言うのか?よりによって今。双子から冷気が。
*****
俺はリクに乗っている。
流石に連日のアレで俺の精神も疲れている。なんだか悪いことしてる気分になるんだ。しかも、結局。リグの希望で致した。
どうも初めてはほどほどのサイズがいいと。俺に失礼じゃね?それと馴染むためにも必要な儀式らしい。
クリスとトーカは男型だったからまぁ良かった。女型だと子供を産むためにはそれが必要だと。もちろんリグは知っていて、クリスからも言われていたとか。ウルグも承知の上だ。
教えといてくれよ。
あれから双子が大変だったんだぞ?
実はアマランに呼ばれた。
「カスミは自覚してないかも知れないが…ルキとロキは不安なんだと思うぞ」
その後、アマランから語られたのは俺は自分で解決しようとしてるということだ。どうやら俺は口下手で、だから圧倒的に言葉が足りない。
婚約者のうちはそれでも良かったが、結婚して子供を産んで男に戻ってからの俺はまた受け身で。
それが不安にさせてるんだと。
「あくまでも俺の推測だがな。もっと頼って欲しい。もっと求めて欲しい。そう思ってる。カスミは自分で何でも出来るだろ?アイツらは自分たちがカスミからどう思われてるか分からなくて不安なんだと思う」
俺なりに大切にしてるんだがな。
「言葉にして欲しい時もあるし、言葉にしないと伝わらない事もある」
「そうか…」
それは俺の転移に関する事まで話さないと難しい。やっぱりそろそろ、話すべきなんだろうな。
「アマラン、ありがとな。良く話をする」
明日、ルーガスに着くと言う日の夜。俺は双子を俺の亜空間に呼んだ。
縁側に並んで座る。
2人の手を握ると
「ここは、俺の故郷の…ある場所を模した風景なんだ」
「カスミの」「故郷」
「話してなかったよな。ガゼルだ」
双子は静かに俺を見つめる。
「ずっと気になってた」「カスミの故郷」
ふっと笑う。
「ちゃんと話をするから、待っててくれるか。俺にとっても…とても、話すのに勇気がいるんだ。2人を失うんじゃ無いかと、それが不安で…」
ルキとロキは
「何を聞いてもこの気持ちは変わらない」
「カスミが例え人じゃなくても平気」
笑ってしまった。なんだそれ。
「人だぞ!」
「ならいい」「実は100才でも構わない。僕たちを置いて死ななければ」
ドキッとした。何かしら感じることがあったのか?
俺は2人を抱き寄せて
「抱いていいか?2人が欲しい」
「うん」「いつだってカスミが欲しい」
そして、その夜は…頑張った。
そして翌日、着いた、ルーガスだ。2年ぶりだな…懐かしい。3年前の5月に、ここでプロポーズされたんだよな。
2人と寄り添って感慨に耽った。
セイが借りたあの屋敷はいつの間にかカミール商会のルーガス支店となっていた。買ったんだな。
微妙に部屋割りが変わったが(セイと同室から双子と同室になった)、それ以外は変わらない海の景色だ。
「漁業ギルドから呼ばれてるんだ!カスミ、行くぞ」
俺たちが動けば当然、他のメンバーも付いてくる。ちなみに身分証を持っているクリス、トーカ、リグは人として存在している。なんで身分証があるのか、それは俺がハイパー賢者だからみたいだ。
俺のジョブが作り出した、それが身分証を伴う理由らしい。みんな俺の従者だ。謎だが問題ないみたいだ。
で、ゾロゾロと漁業ギルドに向かった。
奥の部屋に恭しく案内され、ギルマスのシリウスがやって来た。相変わらずいい筋肉だ。
「カミーラ商会のセイルールだ。何か用だと聞いたが」
「ああ、来てくれてありがとよ。困ってんだよ…漁ができなくてよぉ。冒険者ギルドに緊急依頼出したが、受けれる奴がいなくてな」
眉を下げる。なんだろ?
話を聞くと、何か大きな魚なのか、が居座ってるらしくてもう何隻も沈没してるんだって。死者こそ出てないけど、漁にならなくて困ってると。
ルーガス産の魚が人気を呼び、人が来るようになった。今は夏、だから1番観光の人が多い時期。
それなのに新鮮な魚が取れない。それで困っていると。
「海に出てみないと分からんな」
「俺が船を出すからよ、探ってくれないか?冒険者ギルドに指名で調査依頼を出すから」
俺はセイに頷くと
「分かった」
と答えた。ギルド間のやり取りで、このまま漁業ギルドで依頼を受けられた。
「明日の朝イチで港に集合な」
「分かった」
こうして俺たちは市場で売ってた少ない魚を買った。
夜は海鮮バーベキューだな。
そしてもちろん、大盛況で終わった夜ご飯。
海を見ながら双子と並んで酒を飲む。セイ、アマラン、ウルグも婚約者と寄り添っている。
珍しくみんな酒をちびちび飲んでいた。きっと今夜、ナニするんだろう。
適当に解散して、双子と風呂に入る前に海岸に降りた。
並んで砂浜に腰を下ろす。みんなで海の音を聞きながらしばし静かな時間が過ぎた。
「俺はここから遠いガゼルの出身だ…」
双子は静かに聞いている。
「ガゼルは、この国にあってこの世界にない」
ルキがそっと俺の手を握る。ロキは俺を見て
「それは、つまり…」
頷く。
「俺はこの世界の人間じゃない」
息を呑む音がした。
「ガゼルは?」
「同郷はみんなガゼルだ…もっとも村人以外は違う」
それからは静かに転移からポイントでジョブとスキルを買った話をした。
「だからダブル…」
「ん、そうだな。それはまぁ、たまたま見つけて」
お買い得なジョブは2つ買えたと話す。殺し屋とかそんなジョブもあったと話す。
「俺のジョブは発動するためのスキルが必要で…いや、もしかしたら他のジョブもなのかもな。だから余分にスキルを買えたんだ」
「「…」」
「そのままの身分だと惰民だったんだぞ?酷いだろ。気が付いたから村人に変えた」
もう双子は相槌も打たずに聞いている。ただ、俺の手をしっかりと握って。
「それがカスミの秘密?」
「カスミはあちらと同じ年?見た目??」




